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「さてと!」
空が気合を入れて手をパシッと叩く。 ファミレスから帰った俺達は今空の部屋に居た。 空の部屋は相変わらず綺麗だし女っぽい部屋だなぁと思っていると空の気合の入れた向きが俺という事にようやく気付く。
「何その手?」
「りっくん携帯出して?」
「え? なんで?」
「陸、いいから出しなさい」
空が手を差し出して早く俺に出せとせがむ。 そして海も同意見なのかそれを後押しする。
「いいから出して! あたし達に見せられないなんて事ないでしょ?」
まぁ別に何もやましい事なんてないし基本この2人の前にはろくなプライバシーなんてないしな。
俺は空に携帯を渡すと空は俺の携帯を操作する。 そして横から海も覗く。2人で何見てんだ? そして海と空は顔を見合わせて俺に携帯の画面を見せた。
その画面には先程連絡先を交換した志穂がメッセージを入れていた。 何々と俺も見てみる。
「今日は会えてビックリしたよ。 だからちょっと嬉しかった、高校は違くなるけどあんな感じでまた遊んでみたいな」
そう書いてあった。 うんうん、まぁ内容としては普通じゃないかな? 遊んでみたいは別に俺にとってはいいけど……
「これが?」
「もし、もし仮にこれが実現しちゃったらあたし達も付いて行くからね!」
「ええ!? そんなのアリ?」
「陸には女の子の扱い方わからなそうだし妥当かな」
妥当なのかそれ? いや、よくわかんないけどなんかこれは譲らないと変な凄味を2人から感じる……
「という事で万が一そうならないためにもりっくん上手く返信してね」
「そうね、陸が上手い事言えばいいだけだもんね」
「え〜、なんて打てばいいんだよ? そのまま放置でも良くないか?」
「放置はいくらなんでも酷すぎだよ、りっくん。 あたしや海ちゃんがりっくんに無視されたらどう思うか考えてみなよ?」
「陸最低……」
「無視なんかするはずないだろ? ていうかなんで俺の文句になってんだよ?」
志穂に変な感じで接してたくせに今度はどう思うか考えてみなよとかたまによくわかんない事言うよな……
「俺もビックリしたよ。そうだな、高校は違くなるけど気が向いたらな」
とりあえずこんな感じで返事しとくか。 気が向いたならという事で会うというのは濁してこれでいいだろ。 そして2人に文面を見せた。
「うーん、まぁりっくんならこんな感じだろうしいいかもね」
「空がそう思うんだったら私もそれでいいや。あ、陸。ほら……」
海がそう言って俺に自分の携帯を差し出した。 なんなんだ?
「陸の携帯だけ…… 見たのは不公平だから私のも見ていいよ? 別に隠したい物とかもないし」
「あ! 海ちゃん抜け駆けはズルい、りっくんあたしのも見ていいよ! はい!」
2人から携帯を差し出される。 え〜、俺そんなの2人に頼んでもないのに。 だけどそれはこいつらなりに俺が志穂の事で自分達が言った事で嫌な思いしてないかって気遣ってんだよな。
そして言われた通り2人の携帯を見てみる。 メッセージをやり取りしてるのは同級生もチラホラいるがほとんどは俺とばかり。海と空もよく互いにやり取りしている。
今日は俺の家に集合とかお昼は俺に何か作ってあげようとか…… そんなのを見てるとなんだか俺達いつも一緒だなと思えて笑えてきた。
そして画像も見てみると同級生と一緒に撮った写真や料理の写真などあるがやっぱり3人で撮っている写真が圧倒的に多い。
「陸、笑ってるけどなんかおかしな事でもあった? ああッ!!」
海が大声で叫んだと思ったら俺は海の携帯の画像から海が変顔をしている画像を見つけた。 なんだこれ? 空に送ってる……
海が俺からパッと自分の携帯と空の携帯を俺から取り上げた。
「見た? 見たのよね?」
「い、今のなんだ?」
「あははッ! 海ちゃんの罰ゲームあったの忘れてた」
「罰ゲーム?」
海はカァ〜ッと赤い顔をして恥ずかしがっている。 別に俺達今まで一緒にいたのに今更海の変顔見たってなんとも思わないけど。
「だって海ちゃんズルいんだもん、見てよこの豊満な胸! 栄養全部ここに溜まってるんじゃないってくらい大きい…… ズルい海ちゃん!」
そう言って空は海の胸を揉みだした。
「ふあッ…… そ、空、こら!」
「運動ろくにしてないから海ちゃんの体柔らかくて気持ちいい。 胸も大きくてこんなに体も触り心地いいなんて反則だよ。 あー、でもお腹はぷよぷよ。 海ちゃん少し太った?」
「もう! 陸の前で余計な事まで…… 空やめなさい! 陸が見てるでしょ!? ふ、太ってなんかないからね、陸!」
ていうか海は俺の着替えるとこ見ても何も無反応なくせにこんなので恥ずかしがるのか? なんだか笑ってしまう。
「り、陸! 笑わないで!」
「ハハッ、ごめんごめん。 なんか面白くてさ」
「空! 空のせいで笑われてるじゃない! 罰として陸も空も変顔しなさいよ!」
「あはは! 海ちゃん変顔したって可愛いからいいじゃん? でもりっくんの変顔ならあたしも見たいかも」
その後海と空に変顔を要求されてしっかりと写真に納められた。