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「りっくん、同じ高校受かるといいね!」


「空も陸もそんな不純な動機で高校選んだの? まったく……」


「海ちゃんこそあたし達と同じじゃん? 人の事言えないねぇ」


「2人とも黙れよ、俺を挟んで言い合うな、ウザったい」



俺は神城かみしろ りく。 そして少し気怠い顔をして空と話しているのは夕凪ゆうなぎ うみ、それとは正反対に元気にハキハキと俺と海に喋っているのが星野ほしの そら



俺達は幼馴染だ、3人揃うと陸海空とかネタみたいなんて俺達にとっては今更だ。



高校受験が終わり俺を真ん中に3人並んで帰るのがいつものパターン。 そして家も俺を挟んで2人の家がある。



なので幼い頃から俺達は仲が良かった。 いつも海と空が遊びに来て俺も海と空の家でよく遊んだ。 空は昔から元気な奴で海も昔は空みたいに明るかったけど15歳ともなれば落ち着いたのか少し大人っぽくなった。



対する俺は1人男だったので2人をよくからかったり意地悪したり泣かしたりでやりたい放題だったような気がする。 まぁ中学になる頃は俺も落ち着いたけどな。



そして歳を重ねるにつれて俺達の間でも微妙な変化はある…… ような気がする。 まぁないわけないか。



小学校低学年の辺りまでは一緒に風呂に入ったりもしたが今はそんな事はしないし(当たり前だが)、昔はなんの抵抗もなく触ったり体をくっつけたりしたけど今では幼馴染という関係もあって普通の人よりもタッチする程度だ。 あくまで俺の中ではだ…… こいつらの行動はたまに度を超す事はあるけど。



そして俺の家でよく風呂入っていったりその為に俺の部屋に服とか下着とか置いてたり結構私物も置いてたりで…… あれ? これって逆に男としてみてないんじゃね? いや、心を許しているんだろうと思っておくか。



でもこの2人は俺の事をどう思ってるかなんてわからない。 そこは男と女の違いだから。




「ねえねえ……」


「ん?」



空が俺の肩を突いて何か思いついたような顔をしている。 なんか面倒臭そうな予感。



「今日は受験の記念にりっくんのお家でパァーッとお祝いしよう!」



うわぁ、こいつ受かってもないのに何言ってんだよ? しかももし落ちでもしたらこの時やったお祝いって……



「まだ受かってもないでしょ? 空が1番危なそうなのによくそんな事思い付くね?」


「あうッ! 海ちゃん酷いよぉ〜! あたしもそうかもと思って気を紛らわそうとしたのに」


「てかまた俺の家かよ? そんなの海と空でやっとけよ。 俺は新しい高校だしあんまり知り合いもいないしで考えただけで緊張してるんだ」


「あら、私と空がいるじゃない? 寂しかったら構ってあげるわよ?」



そもそも構ってもらっても同じクラスになるかもわからないし友達出来なくて班決めの時とかハブにされたりしたらどうしようか? なんて事を俺は考えてるんだけど?



昔だったらなんにもそんな事考えないで行動してたから楽だったんだけどな、この歳で小学生みたいな行動しても浮くだけだし俺もそこら辺は大人になったって事か。



「それにしてもさぁ、早く高校の制服着てみたいね!」


「受かってから言えよなってもうつっこむのも面倒になってきた…… 」


「ねえ陸と空、もし不安だったら試験の答え合わせでもしてみようか? 」


「海ちゃん…… そんな怖い事あたし出来ない」



そう言う空に海は溜め息を吐いた。



「空ったら陸と遊ぶ事しか考えてないから受験危なくなるのよ? 頭は悪い方じゃないのに」


「つうかそれ、何気に俺の事も悪く言ってないか? 言っとくけど空がしつこく絡んで来るからこうなるんだろ?」


「もう! りっくんと海ちゃん酷すぎ! 2人してあたしに意地悪しないでよッ!」



俺だけ空にバシッと背中を叩かれた。 海にもやれよと海を見るととても冷めた目で俺と空を見ている。 ああ、こりゃ怖くて出来ないか……



家に着くと母さんが俺達を出迎えた。



「あらあら、受験終わったのね? 海ちゃんも空ちゃんも居るからお母さんあまり心配してないけどね。 とりあえずお疲れ様、海ちゃんに空ちゃんゆっくりしていってね」


「「はーい」」



何年経ってもここだけは変わらず海も空も自分の家に居るみたいにリラックスしている。 ていうかあんま心配じゃないのかよ?



それに空は微妙なとこなんだから居ても安心はしないだろうが。



「りっくん、お部屋行こーよ?」


「はいはい」


「私も行く」



俺の部屋に行きさも当たり前のように海は俺のベッドにドサッと寝転んだ。



「はぁ、眠い……」


「海ちゃん一緒に寝よう!」


「空が来ると煩くて眠れないのよ」


「知らないもーん! 海ちゃんあったかい」



空は海を抱きしめて抱き枕にしている。 海は居心地が悪そうだったけどだんだん寝息を立て始めた。 そしてそれにつられて空も。



人の家に寝に来たのか? なんていつもの事だけどな。 何をするわけでもなくこんな感じで俺達はいつも一緒に行動していた。



リビング行ってこようと立ち上がると腕をガシッと掴まれた、 空だった。 空は眠そうな顔をして端に寄り真ん中を開け俺をベッドに引っ張った。



「んん…… りっくんも一緒に寝よ? 」


「うわッ!」


「いたッ! もう…… 重いよぉ陸」



また2人に挟まれてしまった…… 昔ほどではないけどたまにこんな事はあったりする。



「ふあ〜ッ、陸のベッドは本当によく眠れる……」


「りっくんの匂いするもんね。 じゃあおやすみぃ……」



狭いけど2人の体温で俺もだんだん眠くなり瞼を閉じた。








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