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Bloody flower  作者: 佐惟
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プロローグ

 痛みに悶え、今にも息絶えそうな、 空を羽ばたく獣から、少し小柄な女性はなんのためらいもなく飛び降りる。その後に続きニ人の男女も飛び降りていくが、ためらう少年もいた。

「大丈夫だよ!  今までなんとかなってきたんだし、今回もなんとかなるよ!」

 水晶のような綺麗な瞳を細め、少女はニッコリと微笑む(わら)う。さりげなく手を握る少女は、いつでも大丈夫だと言わんばかりに落ち着いている。

 少年は深く息を呑み、まぶたを閉じる。

 獣に致命傷を負わせた戦闘機も、時期に追いついてくる。もっとゆっくり心の準備をしたいところだが、そんな時間はもうない。

 もう一度、大きく息を吸い、呼吸を整える。

「大丈夫です!!」

「うん! じゃあせいのでいくよ!!」

 ギュッとお互いの手を強く握る。声かけは二人同時だ。

「せーーーのっっ!!」

 空中に身体を放り投げる。息も出来ないような風に引き離されないように、さらに手の力を込める。

「ジヴァ!」

 少女が、小柄な女性の名前を叫ぶ。

「いつでもいい!」

 先に飛び降りていた彼女たちとも、なんとか手を握り、大きく円を作る。

 少女は目をつむり、小さな声で長い呪文を詠唱している。

 誰もが息を呑み、静かに見守る。

 間も無くして、大きな瞳が姿を表す。その虹彩はまるで一輪の花のような形をしていた。

「通せ、わたしたちの新たな道よ、開け!!!」

 下を見ると文字通り、新たな道が開いていた。神秘の類とされるレベルの魔術を用いて、〝世界の層〟を()()()のだ。

 ここから先はどうなるか、誰も想像の出来ない世界である。

「いいか? 誰も欠けることは許さないし、はぐれるのだってわたしが許さない」

 女性は落ち着いた声で、ゆっくりと、はっきりと言い放ち少しの微笑みを浮かべる。

「覚悟もできてるな? 逃げ道なんて、多分死んでも無い。だからこそ──」

「勝ちに行くんでしょ? 絶対負けないよ。誰の思い通りにもさせないから」

 少女は珍しく真剣な表情で、裂けて深い暗闇へと続く〝世界の層〟を睨みつける。

 二人の言葉に、それぞれが思いおもいにうなずく。

 凄まじい速さで修復を始める〝世界の層〟は、周囲の物を全て飲み込んでいく。

 次第に遠のいていく意識の中で、不思議と温かな光を感じた。


──彼らは花に選ばれた。世界を護る、神秘の花に。

  彼らは神秘に選ばれた。世界を護る、生贄に。



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