続けて二歩目
△月◯日
本日もお菓子を持ってセレネの部屋へ。
いつものとおり、菓子の入った袋を見せながら中へ入ろうとしたら。
セレネの姉上が仁王立ちして立ってた。
「もうこれ以上、セレネに菓子を与えないで。」
そう言われた。
何故だ。この作戦はセレネの母上から授かったものだぞ?
そう反論すると、毎回大量にそれも夕食前に持ってくるのはダメだと。
セレネは大好きなお菓子でお腹いっぱいにさせて、夕食を食べなくなったそうだ。
それは、私が悪かった。
未来の私の花嫁が身体を壊してはマズイ。
素直に謝罪を述べたら、セレネの姉上はそっと私の頭を撫でてくれた。
その時フワリといい匂いがして、ちょっとだけドキドキしたのは、誰にも内緒だ。
△月△日
2番目の兄上に
「セレネの姉上は、婚約者がいるぞ。」
と、すれ違い様に言われた。
兄上?兄上??
△月×日
今日はチョコレートを1粒だけ。
それだけだと、寂しいので、また私の宝物から…と悩んでいたら、メイドたちにめちゃくちゃ止められた。
解せぬ。
カブト虫の幼虫だぞ?
泣いて喜ぶと思うのだが…。
そう言ったら、「別の意味で泣き叫びますよ。」
と言われ、庭に咲いている花を小さな花束にして、持っていけとアドバイスを受けた。
なんの花かは、わからないけど、とても可愛くて、まるでセレネみたいだなと思ったので、アドバイスに従うことにした。
一本一本丁寧に摘み、小さなブーケにして。
また、私の色のリボンを巻いて。
チョコレートと一緒に、テーブルの上へ置いてこよう。
いつか、この花を君の綺麗な髪に、私の手で。
飾れる日が来ることを願って。
△月◇日
昨日の花は「マーガレット」
花言葉は「真実の愛」
そんなメモが私の机の上に置いてあった…。
あ、兄上?兄上ですよね???
怖いです。本気で怖いです。
やめてください、本当に。
でも、
─真実の愛。
セレネに、その思いをいつか伝えられたら。
あと5年?それとも10年?
私の手を取ってくれる日に、きっと。
△月□日
最近また、護衛だの、従者だのと周りがうるさい。
そんなもの、いらないのに。
先日も護衛候補とか言われ、数名挨拶にきたが、お決まりの上辺だけのおべっか使いばかりだった。
あぁ、だけど1人だけ、毛色の変わった奴がいたな。
っと、毛色の変わったと言えば、セレネの部屋に真っ黒な犬がいた。
しかも、セレネに思い切り抱きしめられてて、あろうことか、一緒にベッドで寝てた!
毛玉のくせになんて生意気な。
私だって、セレネに抱きしめられたい。
いや、むしろ抱きしめたい。
私だって、一緒のベッドで…。
所詮あやつは、単なるペット。
そのうち、私はその上をいってみせる!
でも、セレネ。
お願いだから、私のリボンをその毛玉の首に巻くのはやめて欲しかった…。