僕は君の笑顔が好き
夏も終わって秋の訪れはそれとなく感じさせる気温。僕の横に君がいる。君はポニーテールの似合う可愛らしい女の子。僕より年上だけど、そんなの関係ない。タバコに火をつけて二人ならんで歩く。君から話しかけてくる。僕はタバコを吸いつつ君の話題に耳をかたむける。君の言葉はいつも誰かのことばかり。僕と君だけの共通の話題はない。でも、君の言うことならなんでも聞いてあげる。例えば僕たちは仲が良いけど恋人ではない。それじゃあ友達? 君はいったい僕をどう思っているの? 都合の良い話し相手? まあ、それでもいいけどね。だって君と少しでも長くいたいから。タバコをねじ消して最後のけむりを空に向かって吐き出した。君は相変わらず誰かの話を僕に言う。わかっている。本当は僕たちお互いに片思いなんだ、って。しかし、想いを伝えるのは、それって僕たちにとっては、薄い氷の上を歩くようなもので、あまりにも危険過ぎた。年の差を気にするのは僕だけじゃない。君の方が年上だから、きっと僕に気をつかっている。そういうのを取り払って、僕は君に好きと言いたい。あぁ、次で四回目になるのかな? 君に好きと言うならば。でも、君はバイクで笑顔を最後に見せて走り去った。なんだよ、なんで僕を三回もフッておいて、そんな笑顔が出来るの? けれども、僕は君の笑顔が好き。だから、また会おう。君の笑顔に会いたい。