再会~探し求めるその想いは恋にも似て~
あなたに会いたい。
会って、渡したい物があるの。
初めて会ったあの日から、あなたのことが忘れられない。
あなたはもう、わたしのことなんか覚えていないかもしれないけれど……。
あれから十五年も経ったのね。
わたしはきっと、あの時のあなたの年齢を追い越してしまったわ。
煙草も吸える歳になったんだよ。
ねえ、どこにいるの?
探しても探しても見つからない。
もう会えないのかしら?
どうしても届けたいものがあるのに……。
今日も人ごみの中、あなたを探す。
予感がするの。
今日こそあなたに会えるって……。
ほら、いたわ。
たくさんの人の中、あなただけが特別に見える。
でも、ここではまだ会えない。
もっと人の少ない所でないと。
やっと二人っきりになれたわね。
あなたは不思議そうにわたしを見つめる。
わたしが誰だか分からないのね。
でも、わたしは忘れないわ。
両親を殺した憎い男の顔を。
あの日、あなたが落としていったライター。
それで、わたしはあなたに火をつける。
そんな顔しないで。
せっかく忘れ物を届けてあげたんだから。
あなたの体から火をとり、煙草を吸う。
今日の一本はどうしてこんなに美味しいのかしら?