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1話 「天ぷらa」

 

 僕は死んだ。

 あっけなく、車に轢かれて命を落とした。

 けれど、なんの運命のいたずらか、僕は異世界へと転移し、異世界を救う英雄になることになったらしい。車に轢かれ、命を落とした瞬間、いつの間にか真っ白な世界にいた僕は、自らを神様と名乗る女性にそう伝えられた。

 今までマンガやアニメでそんな展開を見たことがあったけれど、まさか本当にそんなことがあるなんて思いもしなかった。

 まあ、でも。

 異世界に転移するなんて、とても楽しそうだし、別にいいかな。

 これからのことに期待しながら、神様が転移のためか呪文を唱えているのを見つめていると、いつの間にか僕の身体は光に包まれていった。

 そして、視界が光に包まれた後、すでに僕は異世界にいた。

 目の前には森の中に佇む一軒家。はてさて、この家には何があるのだろう。もしかしてここに住めということだろうか。

 そんなことを考えていると、一軒家から女の人が出てきた。

 その人には、2本の角が生えていた。


 ------


「こんにちは、私の名前はステラ よろしくね、異世界の人」

 ステラと名乗る女性は、微笑を湛えながら僕に手を伸ばしてきた。とても綺麗な人だった。腰まで伸びる黒髪に、夕陽に赤く輝く巻き角。吸い込まれそうな金色の瞳に、整った顔つき。そしてスタイルの良さ。僕はドキマギしながら握手に応じた。

「こんにちは、僕の名前は神林佑太郎です えっと、異世界から来ました」

「ユータロー君だね うん、いい名前だ さ、立ち話もなんだし、部屋に上がってよ」

 ステラさんは大きく頷くと、僕を家の中へと手招いた。それを断る理由もなく、彼女の後を続いて家の中へと入った。

 異世界の家と言う割に、家具などは僕の世界でも見たことのあるものばかりだった。僕が今まで見てきた異世界ものと言えば、中世の頃の世界観に転移したりすることが多かったから、古いタイプだったけれど、冷蔵庫やガスコンロがあるのは意外だった。

「ん? 何か気になるものでもあったかい?」

 テーブルにコーヒーの入ったカップを並べながら、ステラさんは尋ねた。僕は慌てて首を振り、コーヒーを淹れてくれたことにお礼を述べた。

「いやいや、気にしないで お客様をもてなすのは当然のことだからね さあ、それじゃあお話を始めようか、ユータロー君 何か、聞きたいことはあるかい?」

 ステラさんは、コーヒーに角砂糖を1つ落とし、ゆっくりとスプーンでかき混ぜながら僕に問いかけた。

「はい とりあえず、この世界について教えてください ここはどこなんですか?」

 コーヒーを混ぜ終わり、スプーンをテーブルに置くと、一口、美味しそうにコーヒーを飲んでから、ステラさんは答えた。

「この世界の名前は、マキスマザハ 世界と世界の狭間の世界さ」


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