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ちょっとした短編集

フィナーレの幻想灯

作者: 山鴎 柊水

 光を灯す街路地は今の僕に眩しすぎた。

 こんな色とりどりの街並みが目の前にある。

 輝くここはパレードの中だ。みんなが踊り、騒いでいる。

 プラカードには“GO GO! GO!!”


 お祭りは続く。僕はあの娘と出会ったよ。

 名もない花を持っていき、言葉足らずのメッセージ。

 音楽が響き渡り、街の空気の調べ。

 一緒にうれしい気持ちをクラッカーが弾き飛ばす。

 歓声は声をかき消し、埋もれてしまう。


 ビルが照らす月明かり、どうして、そんなに寂しく光る。

 ぽっかり空いたナイトディ、色あせた木々、一人寂しく歩いていく。

 ふと見上げると、看板が、

 そこには、“finale”

 鳴り響く調べとともに、消えていく、この思い。



 色あせた道をとぼとぼと、雨降るなか、傘をさし。

 ブルーな大地が広がる。みんながいない、静かでいる。

 携帯電話には“NO NO NO”


 ある場所で、僕はあの娘と出会ったよ。

 名も知らない君と、話したあのころの。

 雨音が聞こえて、街のそぞろ夢の中。

 一緒に寂しい気持ちを会話で消し去ったら。

 言葉と文字で埋めつくし、融け行ってしまう。


 暖かいキャンドルの灯り、どうして、そんなに優しく光る。

 あいて塞いだレイニディ、手をつなぐ、一緒に歩いていく。

 ふと見上げると、看板が、

 そこには、“finale”

 光消えることなく、灯すよ。この思いを。



 看板には、“finale”

 それは終わりと始まりの合図。

 見た瞬間、生まれていく、この思いを胸に。


 歌は終わる。光は消える。街は静かに眠る。

 それでも、続いていく、やさしい風に乗り。

 消えることない灯。

 ずっと、“finale”の文字が、看板から消えることはない。

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