魔法と圧政
地下に降りると、そこには大都会が広がっていた。
眠らぬ街、ダリア。ここはそう呼ばれているらしい。
文字通り太陽が出ないせいで、ここにいる人間はみな、五感以外の能力を手に入れていた。
…己の身を守るために。
魔法。
俺たちは、(いや少なくとも俺は)この能力があればなんでもできるなーって思っていた。
まあ、中二病が抜け切れていないせいなのだが。
リーナの話によると、ここの魔法は早い話努力らしい。
遺伝によって使える種類がある程度制限はされるが、それも努力で何とかなるらしい。
さっきからツッコミたくてしょうがなかったのだが俺はここまで精巧に世界をつくってはいない。
どーなってるんだか。
「さて、じゃあ俺も魔法の勉強してみるかな!」
「すごーく言いにくいことなんだけど…」
「な、なんだ?まさか俺には使えなかったりするのか!?」
マジかよ。ここまできて。
「違うの、もう努力の必要がないの!!」
ああ、また権限か。もう言わなくてもわかるっつうの。
「それで、なんで魔法が必要なんだ?ここは地球レベルの技術があるってのに。」
「決まってるでしょ。人間どうしの戦いよ。ここには太陽がないから植物もあんまり育たない。魚はとっくに絶滅してる。肉類が少々生産されてるだけ。食糧の奪い合いは当然起こるわ。」
「なるほど…つまり日光がある地上に上がれるよう、放射線の除去が必要になるってわけだ。」
「察しがいいわね。それじゃあ…」
リーナがここまで言いかけた時、この街の役所前で突然、俺と同じ年くらいの一人の少年が怒号を上げ始めた。 周りには人だかりができている。
「お前ら役人どもが食糧を独り占めするせいで俺たち庶民が飢えることになるんだ!現に俺の母さんは餓死してしまった!食糧の均等配分を我々は要求する!」
なんだろう、抗議デモだろうか。まあ、魔法がある社会で身分もクソも無いと思うが。
ぼーっと現場を見ていると、役所の中から鎧を着たごつい兵士が何人かでてきた。
一人の兵士が、持っていた剣を無言で少年らに向けた。すると剣先から大蛇をかたどった紫色の光が現れ、飲み込む要領で少年たちを縛り付けてしまった。これが魔法か。
「いまのは<ポイズン・バンド>という魔法ね。対象の自由を奪い、毒によって徐々に弱らせる阻害系魔法よ。」
こいつは俺より高位の権限をもっているらしい。俺は見ただけで何の魔法かはわからない。
余談だが、魔法には攻撃系、支援系、阻害系の魔法があるらしい。詠唱が必要だが何度も使いつづけるうちに要らなくなるようだ。
つまり、あの兵士はあの魔法を何度も使っているということだ。デモに来る人々を次々に苦しめているのだろうか。
兵士たちは少年らが声を上げられなくなると、役所の中に連行して行った。
「あ、そうそう、一応今の子があなたのつくった主人公よ。」
「ふーん。そうなんだー。」
「ってええええ!?どうしてくれんだよ!中行っちゃったぞ!いいのか?」
「ま、ここはあなたの判断に任せるわ。」
リーナは不敵な笑みを浮かべていた。
魔法が登場しました。
疾走感がなかなか出ません。




