道化(仮)
新作を1話だけ投稿ということで中途半端な終わり方をしております。
まだ連載するかどうかは分かりませんがよろしくお願いします。
「人間は1人で生きることができない」
そう言った女の子がいた。
「でも私は違うの。私は1人で生きられるの」
僕はただただ見ているだけだった。その子を前にして見ることしかできなかった。
誰よりも強くて誰よりも弱かった道化師を。
「私は違う。だから死ぬの」
そう言った彼女の顔は笑っていた。
笑っている仮面をつけたただのピエロだった。
「じゃあね」
そう言った彼女は次の日から僕の前に姿を現すことがなかった。
その女の子は死んでしまった。
その女の子は最後までピエロだったのだ。
「うーん、この件は内緒にしておいてね、うちのサーカスから死人が出たなんて聞いたら誰も見に来てくれないでしょ?大丈夫。彼女はただ逃げただけだ。生きていることから逃げたやつのことは何も気にしないでいい。少なくとも君は今、心を殺して仮面をかぶらないといけないんだからねピエロくん」
僕はその1週間後、そのサーカスをやめることとなる。
〇
「困ったなあ・・・・・」
カバンのなかに入っているチラシを読みながら僕はにぎわっている街中を歩く。
「いつまでもフリーのピエロじゃあ、生活が厳しいな・・・」
日本はサーカスが流行していた。
理由などなく、普通に何かが流行るように、芸能人が着ていた服が流行ったりするのと同じように広がっていった。
無理に理由をあげるならそれはただ上手いサーカス団があったということ。
それを見た人が口コミで広げていき、そしてそのサーカス団が儲けると聞いた他の人たちが新たにサーカス団を作って・・・といった感じである。
今では毎日どこかのサーカスが自分の街に来て上演していくといった流行りっぷり。
しばらく衰えない人気になるだろうとも言われている。
その話をきいた僕は11年前、7歳の時にとあるサーカス団へと入団して、そこをやめて、今に至るというわけだ。
「はぁ・・・・・・・・」
というか本当によく6年近くもフリーでやっていけたものだな・・・と1周回ってポジティブになってくる。
「今日、この町でやるのは・・・『歌劇団』と・・・・・・『びっくりボックス』?」
僕は毎日サーカスを見て、自分の入りたいサーカス団を決めている。
でもどれも中途半端に終わってしまってなかなか続かない。
なので今日も街を移動しながらサーカスのチラシを見ていたのだが・・・
「『びっくりボックス』?そんな名前のサーカス団今まで見たことないな・・・」
自慢じゃないがサーカス団に受かっては落ちてを繰り返した僕は何年もフリーのピエロを繰り返していたため、色々なサーカス団(数年分)を知っている。
しかしこの『びっくりボックス』は聞いたことのない名前だった。
「最近できたサーカス団なのか?」
最近できたばかりならば僕が知らない場合もある。
サーカス団は1日、2日ぐらいその街でサーカスを行なった後、すぐに移動する。
僕自身も色々なサーカス団を探しているため1つの街にとどまることが少ないため、合わないサーカス団とはとことん合わない。
「そう考えると最近じゃなくても今まで予定が合ったことのないサーカス団かもしれない」
僕はそう決めるとその『びっくりボックス』のチケットを買おうとチケット売り場へと急いだ。
〇
サーカスには2種類ある。
ジャグリングや綱渡り、あとはライオンの火の輪くぐりなど世間一般に、サーカスが流行っていなかった時期でも知っているようなことをするサーカスを『実体サーカス』という。
そしてそれらの種目に手品的要素を足したもの。超人を見て驚くだけではなく現実にはありえないことを行うようなサーカスを『幻想サーカス』という。
『幻想サーカス』の方は結構過激な種目が多く、15歳以上じゃないと見れないということが法律で決まっているため人気は普通の『実体サーカス』より下がってしまう。
15歳以下の人でもたまに忍び込んで見ることもあるが、それは当然他の人に内緒にしなければいけないため、口コミが広がっていかないのだ。
そして僕の今から見ようとしている『びっくりボックス』という名前のサーカス団は『幻想サーカス』の方だった。
「場所は・・・ここから5分・・・」
ピエロの免許である『ピエロライセンス』を持っている人は優先的にサーカスを見ることができてそしてお金を払わなくていい。
僕はお金がなくて払えないことはしばしばあるが、優先的に見るのは少し気がひけるので今までその権利を使ったことはない。
今回は『幻想サーカス』で大して人もいないはずだという予測をたてて優先的に見れる権利を使うことにした。
そして歩くこと5分。携帯を見ながら進んでいると場所につく。
しかしそれは信じられない光景だった。
「なんだよ・・・ここ・・・?」
そう僕が見たかったのは『幻想サーカス』。
大して人気のないサーカスのはずだった。
なのに。
それなのに。
そこにあった光景は・・・・・・・
「入口に・・・人が並んでる・・・?」
入口だけじゃない。
その公演場所のテントの隙間から見ようとしている人もいるため周りにたくさん人が並んでいる。
「なんでこんなに人気があるんだ?」
見た目は赤と白のしましまでできたでかいよくある普通のテントのようなもの。
他にも特に変わったこともないはずなのに・・・。
「あぁ、そういえば・・・・・・・」
僕は自分のしょっているバッグの中からさっき見ていたチラシを読む。
そこにはこのサーカスの紹介文があり、それを見てさらに驚愕することになる。
「・・・・・・・・・・・・・宇宙人に神様、そしてペガサスなど見たことのないもの、ことがいっぱいつまったびっくり箱。『びっくりボックス』今日上演・・・・・・・」
前半からものすごい胡散臭い感じがするんだけれど。
それに騙されてみんなここにいるのだろうか?
「まぁ、見ればわかるか・・・」
僕はチラシをもう1回読んで、それを握り締めながらテントの中へと入っていく。
この小説の説明ということで基本サーカス団の話になります。
もちろんファンタジーということで普通のサーカスにはないようなことが多々出てきたりします。
サーカス団どうしのバトルやらアクションも予定しております。
とここまで書きましたがこれは実は一番書きやすくて現在3話まで書き終えています。
2話ぐらいまでは投稿するかもしれません。
もしよければそれも見てやってください。
感想などなど待っています。
ではまた次回。