始まりは突然に3
「なっ…なんでここにいるんだ?…」
「なんでって、転校してきたからに決まってるじゃない!」
「いやー…マジ…えっ?」
あまりにも驚きすぎて焦る、それはそうだ、今朝あったばかりの人が突然隣にいれば誰だってビックリするに決まってる。
「ん?なんだ霧谷、知り合いなのか?」
先生が唐突に聞いてくる。
「いや…その…」
知り合いっていうか、顔見知り?
そんなことを思っていたらHRの終了の時間になった。
キーンコーンカーンコーン
「よし!じゃあ朝のHRは終わりだー。霧谷は放課後に職員室に来いよー、じゃあ皆がんばってなー。」
ガラガラ
先生は足早に教室を出て行ってしまった。
放課後て…これは男子からの嫉妬が凄そうだなぁ…はぁ…
しかし今問題なのはそんなことではなく。
「ねー麗!今までどこにいたのよ?アンタがどっか行くからアタシつまんなかったのよ?」
まるで昔の友達に会ったかのように、今朝あったばかりの人が話かけてきた。
「はぁ…」
「何よ?」
しばし嘆息しながらも聞きたいことを聞いてみた。
「そもそも、なんでアンタは俺の名前を知っていて、俺が引っ越してきたことも知ってるんだよ?」
「ん?そんなの簡単よ!」
そうして目の前の女の子は答えた。
「だって一緒に遊んだことあるじゃない!アタシたち、それに居場所ならすぐに家の人が捜してくれるし。」
「……えっ?」
「忘れちゃったの?アタシのこと守るって言ったくせに!さんざんその気にさせたくせに。」
「………」
なんだコレ、イジメ?ドッキリ?カメラでもあるの?
だいたい俺は女の幼馴染なんてのはい…いないし、そもそも会った記憶もない。
一人で混乱していると見かねた同じクラスの友人が話かけてきた。
「よう麗、朝からどうかしたのか?」
「ああ、荒ちゃん…」
この朝から爽やかに話しかけてきたのは俺の親友の「並木 荒生」
成績優秀でスポーツ万能、おまけに顔もカッコいいという完璧人間。
その長すぎず短すぎない金髪が特徴だ。
ちなみ俺は荒生だから荒ちゃんと呼んでいる。
「いや実は…ちょっと俺も訳わかんなくてさ…」
俺は荒ちゃんに事情を説明した。
「なるほど、確かに訳がわからん。」
荒ちゃんは苦笑いしつつ答える。
「麗、この人は?」
慣れ慣れしく今朝あった人が聞いてくる。
「アンタなぁ…」
キーンコーンカーンコーン
そんなやり取りをしていると授業開始の鐘が鳴りだす。
「とにかく、この話は昼休みにでも三人でしよう、麗も大分困ってるみたいだし。」
「助かる…」
持つべきものは友達である。
「いいわよ!認めないなら一から説明してやるわよ!」
こうして俺は、知らない人と荒ちゃんと昼飯を取ることになった。