エピローグ 遠い異国の終わらない夜
事件解決から数時間後……
ジルコット「お離しになってくれるかしら!?」
空茨里「あらぁ?まだお返事聞けてないんだけど」
ジルコット「わかった!わかりましたわ!貴方達の所で宝石商として働かせていただきますから早く蔓から離してください!締まる…」
空茨里「はぁい、言質いただきました。」
室伏「というかタベルって別にそういう意味じゃなかったのか…よかったのじゃ…」
空茨里「元々は仲間を失った私がどうにかして子孫を残そうとして編み出したものだしね…だから殺すなんてもってのほかよ」
ラテルーン「でも自由意志で出られないんですよね?」
空茨里「うん」
ラテルーン「やっぱ私も逃げようかしら…」
鬼火垣「迫られたらすぐ私を呼んでくださいね」
バルクヌングとの闘いが終わっても、解決すべき問題は多かった
ギャングが暴れたことによる人材の流出、そもそもここに残った人達も職を失った人ばかり、更にこの土地そのものに周りが忌避感を持たせてしまいどうしようかとなっていた。
室伏「……これはもしかして今度は異国での街づくりということになるのか??」
鬼火垣「まあ面倒見るって啖呵切ったようなものでしたしね…」
室伏「うむ!やるぞウチは!」
バルクヌング「流石はヤツの娘じゃ!我も手伝ってやろう!」
引岸「なんかほんとに仲良くなりましたね…いずれまた闘うことはあるのかもしれませんが…」
室伏「でもとりあえず今日は全てが終わった記念に…パーティなのじゃ!」
ラテルーン「また唐突ですね…でもそういうことも未来をよくすることがあるのかもですね」
引岸「とりあえず食材はここに持ってきましたよ」
鬼火垣「火はお任せください」
空茨里「豪華な席作ったわよ〜ほら2人とも座って座って〜」
ラテルーン「ちょっ、ちょっと!びっくりするじゃない!」
ジルコット「はぁ……とんでもないお方に目をつけられましたわ」
バルクヌング「賑やかでいいではないか!ん?雁斎よそれは…」
雁斎「久しぶりに酒でもと思ってな、あの時から残しておいた年代物だ。飲むか?」
バルクヌング「うまいなぁ!破天が昔人間の食べ物を勧めてくれた理由がよくわかる」
室伏「今日はみんなで夜を楽しく明かそうぞ!!」
そうして遠い異国での長すぎる一夜の思い出ができたのだった…
そしてそれが終わった次の日の朝…
室伏「さて…と何から手をつけようかの」
そう言って集まったみんなの前に、突如ポータルのようなものが現れる
鬼火垣「まだ敵襲が!?」
バルクヌング「ギャングの手のもの以外にもまだ敵がおるというのか??」
しかしそこに現れた御仁を見た引岸はすぐに手にかけていた剣から手を離す
引岸「…お久しぶりですね、鬼姫さん」
鬼姫「久しぶりだな、元気だったか?」
引岸「まあ…いろいろありましたがなんとか…」
鬼姫「そうかい…久しぶりだね雁斎」
雁斎「聞いてはおったが…そっちこそ元気そうで何よりだ」
室伏「お父様…この人は?」
雁斎「句崇刃鬼姫、あの小僧の母親だ」
室伏「句崇刃殿の!?はじめましてなのじゃ…」
鬼姫「雁斎の娘さんだね?よろしく」
バルクヌング「それでこやつは何をしにきたのだ」
鬼姫「息子から電話が来てね…どうやらブローチ経由で危険が迫ってることを知ったから助けに行ってやれってね…息子ながら勝手だけど苦労かけたからいうこと聞いて見に来たんだが…そっちの問題は解決したな」
室伏「今は村人のために街づくりをしようとしてるところじゃ!」
鬼姫「そうかい!ならウチにいるフェルヴェーレングの連中を使ってやってくれ!今暇そうだからちょうどいい」
空茨里「確かに助かりますね〜」
ラテルーン「しかしそれだけのためだけにわざわざここに来る必要はあったのでしょうか…」
鬼姫「鋭いねお嬢さん、私がここまで来たもう一つの理由…それはアンタとサシで話がしたいからだよ、バルクヌング」
バルクヌング「……我か?」
鬼姫「あぁ…込みいった話だから他の人は外してもらうよ…」
〜そうして2人きりになった〜
バルクヌング「それでこの我に話とは?」
鬼姫「破天のことだよ…死んだよ、私とその息子が殺した…」
バルクヌング「………そう、か」
鬼姫「正直手をあげれられるもんだと思ってた」
バルクヌング「雁斎の娘と戦う前ならそうだったかもな…アイツは最後になんと?」
鬼姫「ボクを見てくれてありがとうと息子に…」
バルクヌング「そうか…」
鬼姫「アイツは昔から疎まれていた、だから人間の友達なんて1人もいなかったし、ましてや命を狙われることも…」
バルクヌング「壮絶な人生経験だな…」
鬼姫「私はそういうのに縛られず人に接していきたいと考えていたからアイツとも交流を持った。アイツの心の虚無を埋めてやれるならと…」
バルクヌング「…優しいじゃないか」
鬼姫「だが付き合いの途中で家の政略結婚でお見合いした鷹矢凪さんとの交流もするようになった…彼も破天とちゃんと向き合い接してくれる好漢だった」
バルクヌング「……なにかあったのか?」
鬼姫「破天は元より人の付き合い方を知らなくてしょうがない人間だ、そこに私が交流することで彼は少しずつでも普通に接していけるといいと思ってた、それは鷹矢凪さんとでも同様だった。でも…」
バルクヌング「なるほど…取られると思ったのか」
鬼姫「まともな人を知らないアイツにとって私は毒のように甘かったんだろう…だからそんなときにいきなり現れた婚約者に敵意を向けてしまった」
バルクヌング「………」
鬼姫「それからどんどんと疎遠になって、ついにアイツは夫となった鷹矢凪さんを刺殺し、私を意識不明にしてつい最近まで目覚めないようにしていた…話はこんなところだな…」
バルクヌング「それを我に聞かせてどうしようというんだ?」
鬼姫「……………」
そこで鬼姫は涙を流す
鬼姫「………ほんとは!私がアイツを救うべきだったんだ…彼が私に好意を抱いていたことも知っていた。でも私はそれを知らぬふりをしてもっと彼の理解者を増やそうと考えてしまった!彼にとって本当に必要なのは私だけだったというのにな…」
バルクヌング「……それは少し違う」
鬼姫「…………」
バルクヌング「アイツとはそれなりに前からの付き合いだったが、よく自分に構ってくれた女の話を我にしてくれたことがある…それがお主だったんだな」
鬼姫「アイツはなんと?」
バルクヌング「……楽しかった、だとよ。アイツは本当に心の底から笑うやつじゃなかったが、お主の話をするときだけは心の底から笑っておったぞ。だから何も救えなかったなどというな、確かにアイツの心は何度の交流で多少なりとも救われているはずだ」
鬼姫「………ありがとう」
バルクヌング「それについ最近まで意識不明だったのだろう?だったらその生命維持は誰がやってたというのだ」
鬼姫「……!まさかそこまでやってくれておったのか…」
バルクヌング「まあそっちはお主を独占したかっただけなのかもしれんがなw」
鬼姫「おい……!故人に失礼だぞ………でも、アンタと話せてよかった。今度イストリアに帰ったらちゃんと墓を建ててやるとするかね…」
バルクヌング「話は終わりか?これから忙しくなるから多少は手伝ってやらんとな」
鬼姫「そうだな…戻るとしよう。話を聞いてくれた礼に今度は息子を連れてまた来ることにするよ、アンタも気になるだろう?破天を打ち破った男のことを」
バルクヌング「確かにな…話を聞いてみたいし、叶うことなら本気で闘ってみたいものだ」
鬼姫「嫌がっても私が無理やりやらせるから気にしなくていいぞ」
バルクヌング「大変そうだな…息子さんよ」
そうして2人で会話を終えた後、これからの街つぐりについて話し合うことになったのだった…
室伏「それからのことを話す前に句崇刃殿がよく事件がひと段落ついたらファイリングをしてまとめると言っておったような気がするのでウチも結局その後ギャングやウチ周りの人間がどうなったか話すとしようかの」
アレハンドロ
似力返しの縫口
自分の質問に対しての返答が本当か嘘かを判別できる
一番最初に戦ったアレハンドロは結局釈放された後、ファッションデザイナーとしてやり直したいとの申し出をジルコットを通じて相談された。なので今はウチが作る街で洋服店を営んでもらおうと考えている。ちなみに女性服を作るのがすごくうまいのじゃ
カロン・オーデハイム
似力蜘蛛の領域
時間をかけて生成する蜘蛛の巣の絵に踏み入った相手を拘束する
カロンも釈放されたのだが…どうやらどうしても卑怯なことがしたいと言って皆を呆れさせたが、お父様がギャンブラーになってみてはどうじゃ?というのでやってみたところ…かなり上位まで登り詰めたらしい。まあ本人が満足してるならいいのじゃ
ラト・ラテルーン
似力特異点ノ未来人
未来を見ることができる、更にその未来を少し変えることができる
結局彼女は広い世界で自分の力を試したいということでここを去ることになった。しかし去り際に空茨里殿に連絡用のスマホを渡していたのでいつかまた会うこともあるだろうと信じて見送ったのじゃ
エラン・テルーガ
似力捻屈折
周りの物体の屈折率を変える
エランは元々情報屋なのもあって、上手いこと釈放を早めて出てきた後はまた情報屋として拠点のない生活で転々としてるみたいじゃ。まあ声をかけられたら場所を貸すくらいのことはしてやるのじゃ
エレミ・バイト
似力プラグインハイボルテージ
似力で生成した特殊なプラグを刺した相手を感電させる
エレミちゃんはジルコットが司法取引を持ちかけるよう働きかけたことでそれを受け入れてすぐに出てきた。元々のファンも似力で従わせてだけなのもあって同接1からの配信者スタートだったのじゃが、今は1万超える人が見てくれる超大人気ストリーマーになっている。ウチもつい最近コラボ配信をしてファンを大いに沸かせたものじゃ、ちなみに次のコラボ配信に句崇刃殿を呼び寄せようとウチに相談を持ちかけてきたが、そもそも探偵事務所所長になったので忙しそうで無理だったのじゃ…
ジルコット・エンプティ
似力宝装千輝
身につけた宝石の種類によって、基礎的な強さが向上する
ジルコットは先の宣言通りにウチの所で宝石商を営んでいる。元々顧客の多かったこともあって街づくりの資金源で逆に頼っている所もあるくらいじゃ…
しかしどうやら空茨里殿のことがトラウマになってしまったようで…毎回会うたびにネズミみたいな動きをするようになって可哀想なのじゃ…
屋我利 屋
似力崩界の理
いろんなものを崩し、それに伴った副次的な効果を得られる
結局、こやつを復活させることは叶わなかった。そもそも復活させたものバルクヌングではなく、たまたま復活していたのをバルクヌングが恩を売るよう嘘をついていただけであったらしいしな…。正直こやつのやったことを許すことはできない、実際殺害したという事実も知ってしまった。でもウチは最後に少しでも謝ろうと思って出たあの少しの言葉を信じてやることにして墓は建てた。安らかに眠るのじゃ…
バルクヌング
似力(?)暴力破壊神話
殴った相手に禁則事項を付与させる(似たような箇所には一回まで、同じ禁則事項は一日一回まで)
結局仲良く(?)なったあと、街づくりの基礎になる建物を建築してもらったりしてかなり大助かりなのじゃ。本人曰く暴れても問題ないような決戦場を作ってリベンジしたいと言っておりウチも受け入れている。次に戦うときはどうなるのか…ウチも負けておられないのじゃ!
ここまでがギャング達とバルクヌングのファイリングじゃ!次はウチの周りの人間達などについて話そうかの
引岸厳斗
似力斬座上
幽霊のような武者を呼び出す。特訓のおかげかいろんな型を持っており、それぞれ得意不得意がある。
引岸殿はこの街で道場を作りたいと言い出した。突拍子とない話と思ったがcome・me区の名織組のような組織を立て、警護に用立てたいとのことだった。特に反対することもなかったのでこれからも精進してもらいたいものじゃ
鬼火垣幽姫
似力幽隷葬壇→鬼火の大妖怪
鬼火の妖体を扱ったり、何もないところを燃やしたりできる
鬼火垣殿はこの街に電気を流すために、今は火力発電所の所長になっている。所長といっても従業員は鬼火だけなので実質ワンオペじゃな…物を燃やしてタービン回しをしているわけじゃないので環境にも優しくかなり安く電気が使えて助かるのじゃ!しかも炎の維持の鍛錬になると本人も気に入っているみたいでうまく噛み合ったみたいでよかったのじゃ
空茨里榴根彩
似力荒蕗蘭雨根→アルラウネの大妖怪
植物を扱って相手を締め上げたり、他者を回復できたり、自分の中に人間とかを保存できるらしい
空茨里殿は植物庭園の管理長として日々植物の世話をしつつ、観光客にいろいろと解説したりなどをしているらしい。職務が終わるとジルコットにちょっかいをかけに行ったりするのが少し困りごとじゃな…それでもラテルーンのことがかなり恋しいのかいつかは追いかけて旅に出るとも言っていたな、またそのときは彼女と会えるといいのじゃ
室伏雁斎
似力???
そういえばお父様が闘ってるところを見たことがないのじゃ…
お父様は前よりも元気になったせいか、最近は体を動かすことが多くなってきた。それは喜ばしいことではあるのじゃが…最近飲酒量が格段に増えてきてるのじゃ!お友達の信館殿はそれで飲酒控えさせられたのじゃから気をつけてほしいのじゃ…
句崇刃鬼姫
似力???
息子に似力を与えてから何もないのはちょっと寂しいとかなんとか言って新しいのを持っているらしいのじゃが教えてくれないのじゃ…
鬼姫殿が連れてきてくれたフェルヴェーレングの人達はかなり真剣に街づくりに取り組んでくれて助かるのじゃ。中にはここに移住したいと言ってくれる人もいて良かったのじゃが…作業中に見てるとなんだが独裁者みたいに見えて嫌なのじゃ。お父様は相変わらずなところもあるなと言っておったのじゃが、一体若いころはどんなお方だったんじゃろうか…怖くて聞けぬのじゃ
そして最期はこのウチじゃが…
結局は村人達を救ってくれた英雄として崇め奉られ、その後は流れで作った街の長として日々他の人を助けつ助けられつつ生活しておるのじゃ。いろいろ大変なことも出てくるじゃろうが…ウチには大事なものがたくさんある。私の中で光り輝く力とその先で待ち受ける未来のために頑張ろうと思うのじゃ。それで今は何をしているのかというと…
句崇刃「なるほどな…その街ができたから是非きてくれと?」
室伏「そうじゃ!ポータルはそのまま置いてくれてるからイストリアからそのまま来れるのじゃ!」
句崇刃「そうだな……1ヶ月後でいいか?思ったよりまだ予定が開かなさそうでな」
室伏「構わぬぞ!いつでもウェルカムじゃ!」
句崇刃「……母さんから聞いたぜ、頑張ったじゃねえか」
室伏「そ、そんなこといきなり言われても恥ずかしいのじゃ…」
句崇刃「そんなことねえさ、死闘を行った相手と仲良くなるなんて相当なことじゃできねえよ。それに似力もすごくなったみたいだな!見せてもらうのが楽しみだ」
室伏「ふふん!いつか句崇刃殿を追い越す日も遅くないのじゃ!」
句崇刃「……いいや、既に追い越されるところは追い越されてるよ。あまり自分に謙遜しなくてもいいぜ」
室伏「そ、そうか?とりあえず1ヶ月後の訪問を楽しみに待ってるのじゃ!」
そうして電話を切ろうとするが…
句崇刃「待った、最後に一つ聞かせてくれ。今回の事件、見事に解決したんだが今それが終わってどう感じてる?」
室伏は少し考えて
室伏「そうじゃな…色々な人の有り様、解決に向かうための努力、それ以外にも色々なことを学んだ…でも事件が終わってひと段落した今はな…」
そうして室伏は笑顔を咲かせて句崇刃に言い放つ
楽しかったのじゃ!
〜完〜




