開演ノ四 電極娘、エレミ・バイト
前回のあらすじ
次なるセブン・アンタゴニアスの討伐にエラン・テルーガを選び、引岸と共に向かう、煙を使った部下の攻撃や本人の似力により劣勢になるが、対抗策を持った室伏によって一刀の元に勝負は決した。残るセブン・アンタゴニアスは3人だ
鬼火垣「これで残り3人ですね…しかし敵がいうには残りはセブン・アンタゴニアスのトップ3ですか、これからは私達も更に頑張らなければいけないですね」
室伏「そうじゃな…順番通り3→2→1の順でいいじゃろ」
ラテルーン「適当すぎませんか…まあでも強さ順で倒していくのも悪くはないと思います。3位のエレミ・バイトさんならこの街にいると思いますよ」
室伏「そうなのか、早速向かうとするかの」
ラテルーン「あの、気をつけてくださいね?特にtop3の人達はそれぞれかなり慎重に行動しています…故にどういう戦法なのか、どういう似力を使ってくるのか伝わらないように徹底されているので…」
鬼火垣「何があるかわからないのでしたら、私からまたついていくことにしましょうか。最悪似力でなんとかなりますし」
〜そうして2人はエレミ・バイトの元に…〜
エレミ「あれー?噂の異国人、もうきたじゃん!これは同接爆上げマチガイナシじゃん!」
鬼火垣「なんだかストリーマーみたいな感じですね…慎重とはなんだったのでしょうか」
室伏「とりあえず戦闘…ということになるのかの」
エレミ「ま、そうだね〜とりあえずファンのみんなー!囲んで囲んで〜!」
そう号令すると2人を囲むようにファン達が現れる
鬼火垣「なるほど、物量ですか」
〜そうしてファン達と2人の戦いが始まる〜
鬼火垣「いくら人数が多くても幽霊をどうにかできますか?」
グエー!
見えない感覚が…
室伏「とりあえずこの杖の殴打を喰らっておくのじゃ」
グエー!
ご褒美です!
エレミ「ちょっとー?君達はボクのファンでしょー?早くアレ?やっちゃってよ」
鬼火垣「アレ?」
そういうとファン達が2人をそれぞれ1人ずつかなり狭く囲みこむ
室伏「むっ…邪魔なのじゃ〜!」
鬼火垣「その程度で!」
2人はファンをどかそうと攻撃し、突破口を作るが…
エレミ「はい、しゅーりょー」
その言葉と共に突破口を作った隙をつかれ後ろにいたファンから首筋に何かを刺される
室伏「痛ッ…何をしたのじゃ」
鬼火垣「何か刺されましたが、別に体の動きが鈍くなったわけではない…しかし何をしてくるかわからないと言っていましたね。ならば除去するしかないですね」
そうして幽姫が刺されたものに手を伸ばそうとするが…
エレミ「だからぁ…しゅーりょーって言ったじゃん!」
鬼火垣「ガッ…アッ……」
室伏「鬼火垣殿!!」
エレミ「どーお?これがボクの超常似力、プラグインハイボルテージだよ!ボクが作る特殊なプラグを差し込まれた相手はボクの気分一つで一生電気ビリビリの刑だよ、強さも調節できるから便利なんだぜ」
鬼火垣「グッ…ウゥ、確かに恐ろしい似力ですね…」
エレミ「うっそ!結構高めの威力で放電したんだけどな…ま、いいやならもっと強くするだけだもんね」
室伏「や、やめるのじゃ!!」
鬼火垣「こ…の程度!ゥ…グアアアア!」
最初の方は耐えていた鬼火垣も流石に威力の上がり続ける電気に耐えられず、膝を地につけ倒れてしまう。
室伏「鬼火垣殿ぉぉ!!」
エレミ「はいこれでおひとりさん完全制圧ぅ!後はこのガキだけなんだけど、どういうわけか生かして連れてこいって言われてるんだよね〜。んじゃまあとりあえず気絶するくらいの電気からいってみようかぁ!」
そうして似力を行使するが、室伏は動き出し、エレミに攻撃を仕掛ける!
エレミ「え!?このガキ電気の影響を受けてない!?なんで!?」
室伏「(鬼火垣殿が稼いでくれた時間のおかげである程度の絶縁性を加算龍強化したタオルを首に巻くことはできたが…)」
エレミ「へぇー?なるほど、確かに恐ろしい似力だね。でも状況を打開できる程の時間はなかったんじゃないの?」
室伏「それでも!このプラグさえ取れれば!」
エレミ「上等じゃん!お前ら!妨害しろ!」
そうして室伏は妨害をいなしつつ、プラグが取れる隙を探した…そして
室伏「やった!取れたのじゃ!」
そしてついにプラグを取ることができたのだが…
エレミ「ヨソミ!厳禁だよ!」
室伏「ガッ…………」
しかしプラグを取るため頭を下げていたときにファン達に紛れて近づいていたエレミに気づかず、バットによる手痛い殴打を受けてしまう
エレミ「ふー危なかったけどこれで2人とも討伐完了!だね!とりあえずそのガキは連れてかなきゃいけないから拘束して箱にでも入れとけ」
そういって踵を返そうとしたエレミの前に2人のファンが吹き飛ばされてくる
エレミ「テメェ…まだやる気なんかよ」
室伏「あ、諦めないのじゃ……」
エレミ「へぇ〜?諦めなければ、努力すれば、状況がなんとかなると思ってるんだ?そんなことあるわけねぇだろうがァァ!」
室伏「えっ…?」
エレミ「努力すればなんとかなる??諦めなければ??そんな世界ならボクは今頃こんな惨めな思いをしなくても済んでるのに!!あのボクを認めたがらないクソ親も!努力し続けても認めようとしないクソ上司も!諦めることすら許さないこの世界も!!全部全部全部ゥゥゥ!!!」
室伏「お主……」
エレミ「フゥ……でもいいもんねー!ここならみんなが配信を見てくれる!ボクを否定する人間なんて何処にもいない!みんながボクをおだててくれる!
この世界では絶望なんてしなくていいんだよ!アハ!アハハ!アハハハハハハハハハハ!」
そう言いきるとエレミは持っていたバットを室伏の前に構える
室伏「お主はそれでいいのか?」
エレミ「あ?」
室伏「一時の気の迷いで世界を閉じこもらせて、それでそのまま一生を終える。それでいいのか?」
エレミ「別にいいじゃん?どうせこの先もボクが認められることは、ない」
室伏「別に配信をやめろと言っておるわけじゃない、ギャングなどやめて真っ当な配信者として生きることもできるはずじゃ」
エレミ「普通の配信者?今更無理だよ、またアンチコメントに心を痛めて引退するのがオチだ」
室伏「しかし…」
エレミ「うるさい!変わりたくなんてない!はやく…はやく!!」
早 く ボ ク の 前 か ら 消 え て よ
エレミがバットを振り下ろす…
しかしそのバットは振り下ろされる前に持ち手以外の部分が溶け出していた
エレミ「う、うわぁぁぁ!何が起きてんだよ!?」
室伏「まさか!?鬼火垣…ど…の…?」
室伏の向いている方向には鬼火垣がいるはず…だった。
しかしそこにいたのは人間体ではあるもののその姿はまるで妖怪のような出立ちだった
エレミ「テメェ!この死に損ないが!ブッ殺してやる!!」
エレミは似力を使うが何も起こらない
エレミ「えっ、なんで…あっ!プラグが…燃えてる…」
エレミが困惑している隙に鬼火垣が室伏を抱え込み距離を取らせる
室伏「鬼火垣殿…でいいんじゃよな?」
鬼火垣「すみません…驚かせてしまったでしょうか?」
室伏「いや…助かったのじゃ、その姿は?」
鬼火垣「私の似力が幽霊を扱うっていうのは…嘘なんです。本当の私は鬼火の大妖怪なんです。」
室伏「父上から聞いたことがある、妖怪の種族の中で最も優れたものが名乗ることが許される」
鬼火垣「それの鬼火が私なのです、幽霊を扱っているのはあくまで見えない鬼火の幽霊を使役しているのでその子たちに頑張って貰ってるだけです」
室伏「そうか…隠し事がわかって距離が縮まった気がするのじゃ」
鬼火垣「そう言ってくださるとは…嬉しいです。ちなみに空茨里ちゃんも大妖怪ですよ」
室伏「サラッと重要情報じゃな…だから知り合いじゃったのか」
エレミ「なーに呑気に話してやがんだテメェら!ちょっとビックリしたがまだ負けてねえ!お前ら!サッサとその2人にプラグ埋め直せ!」
そうしてファン達が2人に近寄るが鬼火の大妖怪の周りの燃え盛る空気に全く近づけないどころか火傷や火が移る始末になっていく
熱い!うわぁぁあ!
こんなこともうやってられるか!
逃げろー!逃げろぉぉー!
エレミ「あ、おい!待てよ!ボクにはお前らがいないと!お前らがいない、と…」
そうしてファン達は1人残らず逃げていき、いつの間にかエレミと室伏と鬼火垣だけが残る…
鬼火垣「さて…この不届者をどうしましょうか…」
エレミ「ヒッ!?嫌だ!死にたくない!」
鬼火垣「別に殺すわけじゃ…ウッ…」
室伏「どうしたのじゃ!?」
鬼火垣「(不味い…大妖怪の力を使った反動の破壊衝動が…)」
鬼火垣が燃え盛る手をエレミにかけようとする
エレミ「嫌だ!まだ生きてたい!ボクにはまだやりたいことが…」
室伏「2人共!ウチを見よ!」
この一言で鬼火垣は正気を取り戻し、エレミは落ち着く
室伏「エレミ殿、貴殿はまだやり直せる。ウチが力を貸そう、また一から配信業してみないか?」
エレミ「………できるかな、ボクに」
室伏「できる!何故ならお主のファン1号はこのウチ!なんじゃからな!」
エレミ「フッ…アハハ、何それw」
鬼火垣「室伏様、ありがとうございます。危うく取り返しのつかない所になる所でした。まだまだ鍛錬が必要ですね」
室伏「……皆で頑張ればいいのじゃ」
エレミ「ボク、いかないと」
室伏「……お勤めか」
エレミ「まあ…ここまでくるのにいっぱいいろんなことやっちゃったからね。でもまた帰ってくるよ、ここにボクを大切に想ってくれるファンがいるもんね!」
室伏「ああ!待っておるぞ」
2人はグータッチで別れる
鬼火垣「…帰りましょうか、みんなのところへ」
室伏「そうじゃな!」
残ったセブン・アンタゴニアスのtop3は情報があまりない戦闘となった。エレミ・バイトのプラグインハイボルテージによって電気を浴びせられ2人共が傷つけられる。諦めない室伏にトラウマを刺激されたエレミは殺そうとしたが、鬼火の大妖怪だった鬼火垣の力によって勝利を収める。しかし力の代償にエレミが巻き込まれようとするとき、室伏が2人を助けることでエレミと和解し、友情が芽生えた後室伏は帰路につくのだった。
開演ノ五に続く……
???「あら〜残念ねぇ、あの子なら盛大に壊れてくれると思ったんだけど」




