第玖話 『異世界転生』は楽じゃない。
ルッツ君は前世の人物のことをほとんど覚えていません。たまに名前だけを覚えていたり、家族構成などを覚えていたり、それくらいです。漫画やアニメの知識は残っていますが、他人とともに行動した記憶はほとんど残っていません。
第玖話 『異世界転生』は楽じゃない。
俺が魔法を使えないかずっと考えながら過ごしていたところ、レオナがリーゼと庭で魔法を
練習しているのを窓越しに聞くことができたのだった。
◆
「まず前回の復習から始めましょう。前回教えたのは【ヒール】でしたね?
詠唱の言葉は覚えていますか?」
前回って、俺その前の練習の時の聞いてないんだけどな。いつやってるんだろ。
「えっと、せいなるちからよ、かのものをいやしたまえ【ひーる】だったとおもいます」
これは『聖なる力よ、彼の者を癒し給え【ヒール】』って言っているのかな?
「正解です。これは【神聖魔法】の下位の属性、【回復魔法】の初級魔法の詠唱です。
今は、まだ魔力総量が少なく【神聖魔法】レベルの魔法は使えないので、初級魔法で練習です。
【神聖魔法】は特に基礎が基本となり、また大切なので、しっかりと練習していきましょうね」
バスケ漫画のゴリラも基本が大事って言ってたしな。
「今日は、状態異常を治す、【カーム】という魔法の詠唱を覚えましょう」
「【かーむ】?」
「そうです。【カーム】です。高位の呪いなどは解除できませんが、軽い、麻痺や毒などなら、 解除することができます。誘拐などされることはないほうが良いのですが、そういう輩が持っている毒は解除できるので、覚えておくと便利ですよ」
ゆ、誘拐……。物騒な世の中だな。地球と違う世界だということを忘れると痛い目に合いそうだ。
「りーぜ、えいしょうはどんなかんじなの?」
「それはですね、えーっと、聖なる力よ、彼の者に憑く悪しき力を浄化し給え【カーム】です。それでは、私がちょっと毒を飲みますので、解毒してくださいね?非致死毒ですし、私は、毒耐性も持っているので私の心配はしなくてよいですよ?」
身を削ってまで、メイドは主人の子供を育てなければいけないのか?
ハルト、、、お前、そんな奴だとは思わなかったよ。
「では、毒を飲んでみたので、まほうを、をつかってみてください…」
「せいなるちからよ、かのものにつくあしきちからをじょうかしたまえ!【かーむ】!」
「しっかりと、げどくできていますね。魔力は黄色ですね。この調子で、どんどん覚えていきましょうね。
今日新しく覚えることはここまでにして、残りは、魔力がなくなるまで……」
◆
このようなことがあった。俺もやってみようと思う。
まずは、【ヒール】をやってみようと思う。
「へいなるひはらよ、はのものをひやしはまへ【ひーふ】」
駄目だ。活舌が終わってるせいか、魔法が発動しなかった。
無詠唱とかできるんじゃないの?ニートな転生の話だと無詠唱でも魔法が使えたってのに。
あれ?でも最初は呪文を唱えていたか?
しかし、【観察眼】が心の中で、問えるだけで使えるのはなんでだろう?
どうしようかな?また、魔力圧縮とか始めようかな?最近、は魔法が使えないからいいやと思って、
増やしてなかったんだけど、一応ステータス見てみるか。
(【観察眼】)
*************************************************
名前:ルッツ・フォン・ヴィルヘルム
年齢:1歳
種族:人間
性別:男
状態:良好
職業:なし
加護:■■■■■■
称号:ヴィルヘルム家長男、転生者(ステータスボーナス:知力+500)
LV:1
体力:24/24
筋力:12
防御力:8
魔力:150,323,855,443/150,323,855,453
知力:24(+500)
魔力抵抗:10
俊敏:12
幸運:10
スキル
【観察眼】
【神聖魔法】LV:1
【魔力回復速度上昇】LV:10
【魔力操作】LV:10
【魔力制御】LV:6
【魔力圧縮】LV:10
【計算】LV:8
【幻妖花の■■】LV:1{【光合魔成】【魔呼吸】
*************************************************
見ればわかる通り、魔力を圧縮循環させていない。
魔力が腐るほどあるというのに、何たるざまだ。
コンコンコン
ドアがノックされた。
「失礼します。坊ちゃま、夕飯でございます。本は閉じて、リビングへ行きますよ」
俺は、何かを考えてるときはとりあえず本を開いておいて、変に疑われないようにしている。
夕飯の時に、魔法の話でもしてみるか。
◆
「「「大地の恵みに感謝を」」
「「かんしゃを」」
これはこの世界でのいただきます的な奴だ。
今夜は離乳食の方だ。
「はい、あーん」
リーゼにあーんをしてもらっている。この精神年齢であーんをされるのは結構恥ずかしい。
「もぐ」
もぎゅもぎゅもぎゅ
ニンゲンって食べるとき一口30回噛んでから飲み込んだ方がいいらしいぜ。俺はそんなことやらないけどね。
今、魔法について聞いてい見るか。
「りーぜ、まほう、つかいたい」
俺が、そういうと、
「魔法ですか?そうですね。ちょっと待っていてください」
そういって、リーゼは、リビングからどこかへと、ドアを開けていった。
「ルッツ。あなたも魔法がつかいたいのねぇ。私が使える魔法だったら教えられるわよぉ。
レオナも魔法の練習頑張りましょうねぇ。このままだとルッツにぬかされちゃうかもよぉ?」
これはツェツィーリアが人をいじるときのしゃべり方だ。最後が間延びしたような感じだ。
「もっとがんばる……」
「その調子でがんばるのですよぉ~」
しばらくするとリーゼが何か四角い石のようなものを持って帰って来た。
「これは、魔法の適性を調べることができる魔道具です。結構質の良いものなので、様々な種類の属性が
調べられますよ。過去に勇者が召喚されたときに、作られたとかないとか……。話がそれましたね。
それではこれに触れてみてください。」
なんかスマホみたいな感じだな。というよりむしろスマホでしかない。
スマホってスマートフォンって言ってるけど、あれって電子計算機っていうんだっけ?
まあいいや、そういわれたので触ってみる。
「あっ、結果が出ましたね。えっと……!!すごいです!なんと【神聖魔法】を使えますよ!これは【回復魔法】の上位のモノで、奥様が得意とされている魔法ですよ。時間があったら、奥様に魔法を直々に教わってみるのもいいかもしれませんね。今後開花する可能性があるのは、【火属性魔法】と【土属性魔法】ですね。
【神聖魔法】」と【火属性魔法】は奥様譲りですね。【土属性魔法】は旦那様譲りでございますね。
ちなみに無属性魔法は誰でも覚えられるので、この魔道具は対応してないのです。」
へー。魔法の適性って遺伝するんだな。
「【神聖魔法】と【火属性魔法】は私が教えられるわよ。明日から練習してみる?小さい頃から特訓すればするほど、魔力が増えやすくなる傾向にあるのよ。どうする?」
なるほど、やはりこの世界でも小さいころから訓練すれば魔力が増えやすいのか。もちろん答えはYesだ。
「やる。」
「わかったわ。明日が楽しみね。その前に、しっかりと食べないとだめよ。ただでさえ私のおっぱいあまり飲まなくて、身長が低いんだから。離乳食は食べるからまだいいけど。」
赤ちゃんの、飲まなければ本能と、俺の理性が混ざって、少ししか飲まないという結果になり。
俺は少し成長が遅いらしい。だって、この年になって、女の人に吸い付くとか拷問だぞ。
お前ら羨ましいとか思っているかもしれないが絶対そんなことないぞ。一生もののトラウマだ。
二度と経験したくない。次に転生できるとしたら、7歳くらいの子に転生するか、転移が良い思う。
異世界転生は思ってるほど楽じゃないぞ。
お読みいただきありがとうございます。評価とブックマークをしていただけたら、モチベーションが上がるのでお願いします。