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第陸話 誕生日に『おねしょ』疑惑

第陸話 誕生日に『おねしょ』疑惑


ルッツ・フォン・ヴィルヘルムに転生してから今日で、ついに1年が経過した。

とてつもなく長く濃密な時間であった。


1年が今日で経ったということ。今日は俺の誕生日なのだ。今、家族と一緒に誕生日パーティー的なものをしている真最中なのだ。


「「「ルッツ(様)誕生日おめでとう(御座います)!!!」」」

「るっつ、たんじょうびおめでとう!」


「あーがとう!」


たどたどしい声なのはレオナである。


活舌終わっているのは俺の声である。「ありがとう」と言おうとしたのだが、なかなかうまくいかないものだ。


精神年齢17歳+1歳=18歳 (の計算でよいかわからないが)の俺でも人に祝ってもらわれるのは

嬉しいものだな。


何も感じることはないと思っていたが、そうでもなかった。


「ルッツ、これがお父さんとお母さんからの誕生日プレゼントだ!」


そういって、お父さんは、俺に本を渡してきた。タイトルは『魔法について(応用)』というものだった。


これはリーゼに読んでもらった本は『魔法について(基礎)』というのだったから、これで、

もっと魔法に詳しくなれるかもしれない。


「お坊ちゃま、私からはこれでございます。実家からこっそ、いえ、もらってきた本でございます。

 もう誰も読まない本だったのでもらってきました。」


ん?いまこっそりと言おうとしなかったか?リーゼがそういって渡してきた本のタイトルは


『魔力の増やし方(秘伝)』というものだった。おおい、大丈夫か?秘伝って書いてあるぞ。何も知らないことにしよう。


レオナが俺に渡してきたものは箱だった。俺がナニコレ?みたいな顔をしていると、リーゼが

箱のふたを開けて、


「これは魔石粘土というものでございます。スライムの粘土を砕くことで、作られるもので、魔力を吸収する性質があり、魔力を吸収された人の考えたことに合わせて、形状を変化させることができるのです。こんな風に持った人の意志に合わせて形を変えることができるのです。ちなみにスライムの魔石は、レオナお嬢様が、倒して作ったものなのですよ。後で本と粘土は部屋に持っていきますね。」


リーゼは魔石粘土なる物を手に取って、小型の俺を作っていた。俺ってこんな顔なんだな。

なぜ自分の顔を知らないのに自分か認識できたのは服が同じだったからである。


ここまで、正確に作れるようになるのか。ってかこれ(魔石粘土)を作ったレオナってすごくね?

可愛いし。


ん?シスコンキモイだって?可愛いのだから仕方ないだろう。可愛いは正義と誰かが言っていたじゃないか。


俺の誕生日パーティーは何もアクシデントは起こることなく終わりを迎えるのであった。



俺は部屋に入ってさっそく箱を開けて粘土をいじってみる。何を作ってみようかな?


やっぱりここは理科っぽいものが良いだろう。理科といえば?化学、生物、物理、地学、これらに全てに通ずるものは何かないか?……水だ。


化学では水は水溶液など色々なところに出てくる。

生物だったら、例えば人の体内の5~6割が水だ。

物理だったら浮力などが水にかかわってくる。

地学では湿度の計算とかで出てくるぞ!


よし水を作ってみよう。ちなみに水の化学反応式は


H2 + O 2 → H2O 酸素の係数をそろえて、


H2 + O 2 → 2H2O 左辺の水素の個数をそろえて


2H2 + O 2 → 2H2O だな。  水素は他の原子と結合できる部分が1個しかない


それに対して、酸素は他の原子と結合できる部分が2個ある。物質っていうのは、結合部分が

全て使われた状態じゃないと安定しないから、基本はすべて使われた状態で存在している。


また、化学反応式は、反応前と後で、物質の量が変わってしまってはいけないから、

係数をそろえる必要があるのだ。


例えば、一番上の 化学反応式は、 左辺が水素2個、酸素2個 なのに 右辺が水素2個、酸素1個になってしまっている。だからとりあえず右辺の酸素を増やすために2倍する。


すると今度は水素が右辺が4つ存在することになってしまうため、左辺の水素を2倍することで、


左辺水素4個、酸素、2個、右辺水素4個、酸素2個とそろうのだ。


これを踏まえたうえで、魔石粘土で遊んでみよう。


すいそ、さんそ、すいそ、…


魔石粘土を触りながら、心の中で呟いてみる。すると粘土はだんだんドロドロになっていき、箱の中に落ちて液状になった。ちなみに色は水色だ。多分スライムの魔石をとったからなんじゃないか?


つんつん、と指で水をつついて遊んでいたら、急に頭が重くなってきた。魔石粘土の箱が傾いて、自分の体にこぼしてしまった。


そうか、魔力枯渇だ。しばらく魔力を使っていなかったからすっかり忘れていた。

俺は、倦怠感に耐えることができず、そのまま気絶してしまうのだった。


◆リーゼ視点


仕事もひと段落着いたので、ルッツ様に読み聞かせするために、ルッツ様のお部屋へ向かいます。


今日貰った本でも読んでいるのでしょうか?それにしてもあの子は本の内容を理解しているのかとても

気になります。


そう思いながら、部屋のドアを開けると、ルッツ様が、魔石粘土…?なぜか液体状になっているものをこぼしたまま。寝ていらしてました。この匂いは、おねしょも?


「坊ちゃま!大丈夫ですか?」


そういって私はルッツ様に近づき、おでこに手を当てました。


「少し熱がある。それにすごい量の汗。」

この症状は魔力枯渇の症状に似ている。…そうだ、きっと魔石粘土を触りながら、おしっこが出そうになって、それで、魔石粘土がおしっこに形状を変えるのに魔力を吸収してしまった…これしかないですね!


私は片付けるために、液体状の、魔石粘土に触れて、固体状にして、箱に戻します。


これでも、私は、魔力操作が得意なので、魔石粘土とおしっこを分けるのなんてお茶の子さいさいです。


するとおむつにおしっこだけが残るので、変えてあげます。拭くときに、優しくポンポンと拭くのがコツなのです。


旦那様が一回取り替えた時はゴシゴシやって肌が荒れてしまったのです。

そうならないようには、こするというよりは軽くたたくような感じで、拭くのがいいのです。

拭き終わったので、新しいおむつに交換です。これで終わりです。


ずっとやっていると慣れてくるものです。男の子は久しぶりだったので、心配でしたがよかったです。


今後もこのようなことが起きる可能性があるので、旦那様に一応報告しときましょうか。


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