第肆話 『窓ガラス』から状況理解
ガラスの加工って意外と難しいんですよね。キャピラリーチューブというものを自作する機会があったのですが、うまくいきませんでしたね。現代の科学技術ってすごいと思いますが、それ以上に昔のガラス職人さんはすごいと思いました。
第肆話 『窓ガラス』から状況理解
◆主人公視点
奴が出た時からしばらく経ち、俺が生まれてから、8か月が経った。
あの一件いらい、少しリーゼと仲良くなった。
家の近くの森で、魔物の動きが活性化しているらしく、父さんや、母さんが家にいる時間が減ったので、お世話はほとんどリーゼにしてもらっている。これも少し関係あるかもしれない。
1か月前くらいから、ハイハイの練習といわれ、柵のあるベッドから、ついに解放された。
しかし、いざ動こうとすると、力が入らなく、全然前に進まないのだ。こんなに大変だとは聞いていない
リーゼが、俺の少し前に、物を置いて、俺に興味を惹かせ、ハイハイの習得を促そうとしてくる。
「ルッツ様~、こんなおもちゃもありますよ~」
呑気な声で呼びかけてくる。精神年齢が高校生の俺の興味を惹くものはなかった。ここでハイハイしたら負けな気がする。
ある日、リーゼが机で本を読んでいた。
「りーぜ!」
俺がリーゼを呼ぶと、
「ルッツ様、どうされましたか?ああ、これですね?」
俺が、目線で本を見せろと訴えると、リーゼは俺に近づいてきて、俺の目の前に置いた。
「これは本というのですよ~。これでいろいろなことを学ぶことができますよ~。 これは図書室からこっそり拝借してきたものですけど。」
こっそりって……。
俺は前世では、本と友達だった。べ、別に友達が少ないから、仕方なくとかではないぞ?
主に理科に関わる物かラノベを読んでいたな。
さらに、この世界がどのくらい発展しているかは知らないが、
家とかを見る限りあまり発展はしていないように思える。窓ガラスがクラウン法で作られているから、
産業革命をまだ迎えていない頃レベルだろう。
そこまで、家も劣化はしていないように思えるので、古い窓ガラスでもないと思われるので
発展度はこの家と同じくらい、───産業革命前くらいという理解でよいと思う。
ちなみにクラウン法とは、吹き竿というので、溶けたガラスを膨らました、ガラス球を竿から切り離して回転して、遠心力によって平らにする。
竿からガラスを切り離した時にガラスの中央に竿の跡が円状に残るので牛乳瓶の底みたいな形になるらしい。それで、できたガラスを枠にはめ込むことで窓ガラスができる。
それに、魔法があるから、余計に発展の速度が遅いのかもしれない。どんな魔法がこの世界にあるのか
俺はまだ知らないが。
脱線してしまったがつまるところ、紙というものはとても貴重なのである。その紙をたくさん使った本が、図書室がこの家にあるのだ。本とはたくさんあるだけで、一財産となりえるのだ。
興味を惹かないわけがない。そのうえ、見たことない本だと思うと考えるだけで頬が緩んできてしまう。
本の内容を確かめるために動かしにくい手をどうにか使って、本を頑張って開いてみるが、そこには知らない文字や、複雑な図形が書かれていて、理解することができなかった。
「あー、うー……。」
俺が悲しみに暮れていると、
「ルッツ様は本に興味がおありなのでしょうか?これから、少し読み聞かせをしてみましょうか。
文字習得の促進にもなるでしょうし、やってみますか。」
「!!!!!」
そこに救世主リーゼが現れた。最近、リーゼの株が俺の中でうなぎ上りである。
「私は、そろそろ、夕食の準備をしなければなりません、ですからこの本を読んで、待っていてくださいね。夜に本を読み聞かせてあげますので、それまでいい子にしていてくださいね。」
これを普通の赤子に伝えても、普通は伝わらないだろう。リーゼは分かっているのだろうか?
◆
リーゼがいなくなった。することは決まっている。図書室探しである。俺は、まだ、リビングと寝室
しか見たことがない。廊下が長かったことくらいしかわからない。
廊下の方へとでてみた。図書室がないか探してみる。
数分ハイハイをして、進んでいると、本のマークが、扉の上にあるところを見つけた。
開けてみようと思う。びくともしない。どうしたものか。
そういえば魔眼があったな、つかってみるか。
(【観察眼】)
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名前:図書室の扉
品質:B
レア度:C
<説明>
図書室の扉。魔力によってロックがかかっている。魔力を流すことで、扉が軽くなり、開けることができるようになる。また、魔力が少ない者や持たないものは、開けることも入ることもできない。また、内側から開ける分には魔力を消費しない。
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なるほど、魔力を流せば、動かせるのか。そういえば、俺自身も鑑定って出来るのかな?
よし、やってみるか。
(【観察眼】)
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名前:ルッツ・フォン・ヴィルヘルム
年齢:0歳
種族:人間
性別:男
状態:良好
職業:なし
加護:なし
称号:ヴィルヘルム家長男、転生者(ステータスボーナス:知力+500)
LV:1
体力:12/12
筋力:8
防御力:6
魔力:12/32
知力:12(+500)
魔力抵抗:8
俊敏:2
幸運:10
スキル
【観察眼】
【神聖魔法】LV:1
【魔力回復速度上昇】LV:2
【計算】LV:8
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なるほど、こんな感じなのか。魔力が20減っているな。ってことは、【観察眼】で消費する魔力は,
1回10って所か。
あと残り12あるから、どれだけ扉動かせるか、試してみるか。
魔力を流すか。いつもは、考えたことなかったな。いつも魔力を使用しようと思って使ったことなかった
からな。何で使えたんだろうな。ん?急なダジャレごめんって。
とりあえず、体に魔力という何かをイメージしてみる。それを、毛細血管の中の赤血球が、酸素と同じように魔力を持って手の先へ運んでくれるようにイメージする。すると、手に何とも言えぬ「なにか」が集まったような気がする。
いざ、扉に触れてみる。少しずつ扉が開いていく。しかし、ある一定のところまで、開いたところで、
急に倦怠感が襲ってきた。魔力枯渇のことをすっかり忘れていた。俺は、倦怠感に抗うことができず、また気絶してしまうのであった。
中学生の頃は、『中学n理科をひとつひとつわかりやすく。』(nは学年)をよく読んでいましたね。
授業では習わないことなども書かれていたので、とてもオススメですよ。
BTB溶液の正式名称とか、リトマス試験紙はリトマスゴケといわれるコケの色素を抽出しているとか......。
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