第参話 蠢く『黒い影』
ゴ〇ブリが出てくるので注意してください。
第参話 蠢く『黒い影』
◆主人公視点
気絶して、目が覚めたら、次の日になっていた。なぜか周りの人が何を言っているか理解できるようになっていた。やっとチートが起動したのだろうか?
やはり、あの男は父親だったようだ。名前はハルトというらしい。その時に花の詳細を見れたのは、魔眼らしい。どうやら、物を鑑定することができるようだ。だが、鑑定をするときに、魔力を消費してしまうため、魔力枯渇で意識を失ってしまったようだ。
いったい言葉が理解になったのは何故なのだろうか。しかし、言葉が理解できるようになったのは朗報だ。
俺にも魔法が使えるのか!!と感動してしまった。仕組みがどうなっているのかをいずれは
解明したいところだが、ファンタジーに原理など求めてはいけない。
カサカサ.......
な、何の音だ?ま、まさかこの異世界にもあの黒い奴がいるわけではないだろうな?
や、やめてくれ。お、俺は、虫が、超苦手なんだ。別に嫌いなわけじゃないんだ?
ほ、ほら、食物連鎖的にはさ、虫がいないと、ヒトって生きていけないわけじゃん?
だ、だからさ、一応は感謝をしてるわけ。わ、わかる?
で、でもそれとこれとは、話が別なんだよ?
───あの時を思い出した。あれは確か小6の夏休みの時だった。抜け落ちてほしくない記憶は抜け落ちているのに、消えてほしい記憶は鮮明に覚えているのはなぜなのだろう?
俺はおばあちゃん家に、泊まりにいっていた。ある日の風呂の出来事だった。俺が風呂に入って、シャワーチェアー(お風呂の椅子?)に座って、頭を洗っていた時のことだった。
背中が何かを這ったような気がした。それは背中を経て、自分の左足へと到達した。
俺は急いで、泡を流し、左足を見ていると、そこには奴がいた。
俺は発狂した。それでも、男かって?それなんて言うか知ってる?男女差別っていうんだよ。
今この世の中はダイバーシティつまり多様性という言葉があるんだ。政治家たちが多用してるあの魔法のような言葉さ。
何とは言わないが、わかるだろう?あいつだ。古生代の石炭紀から、しぶとく生きているあいつだ。
例えがわかりにくいだって?スー君と清宮はこれで伝わるぞ。ん?だれだ?スー君と清宮って?前世で友達だった人なのだろうか?
転生前へと現実逃避を試みたがどうやらできなかったようだ。
俺は、意を決して、音のする壁の方へと顔を向けた。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛!!」
そこには、10~20cmあるんじゃないかってレベルのゴ〇ブリがいた。
(【観察眼】!)
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名前:なし
年齢:0歳
種族:ビックローチ
ランク:1
性別:オス
状態:良好
称号:嫌われ者
LV:1
体力:52/60
筋力:3
防御:150
魔力:5/5
知力:31
魔力抵抗:240
俊敏:33
<説明>
みんなの嫌われ者。どこにでも生息しており、生命力、繁殖力がともに高い魔物である。
そのうえ防御力も兼ね備えているので、冒険者は討伐にとても苦労する。
生体になると大きいもので1mを超える固体もいる。見つけ次第、倒すことが勧められている。
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やはり魔物というものが存在するのかこの世界には。しかし、不安になって来たぞ。虫がすべて1mこえるとなると、俺の命が持たない。クモ(蜘蛛)は例外だが。っていうか、耐久力高過ぎじゃね?あとその地味に減ってる体力は何で?
クモは奴を食べてくれるから、俺はクモのことを、陰で、崇めているのである。特に何もおこらないが。
それにしても、地球にいた奴が可愛く見えて…来ることはないが、これと比べればまだましだ。
それより早く逃げなければ!俺はベッドから降りようとするが、柵が邪魔で、首が座ったばっかりの俺に降りることは難しい。
く、くそ───。俺の人生はここまでなのか!!
──ド、ドッドッ.......。
誰かの足音がする。誰でもよいから助けてくれ。
「坊ちゃま!大丈夫ですか!」
「りーえ!りーえ、りーえりーえ!!」
俺はベッドに臥せながら、左手で、奴のいる方を指さしながらリーゼの名前を呼んだ。
リーゼと言おうとしたが、口が回らない。
「お坊ちゃまが喋って?しかも泣いて、ん?ああ、あれはビックローチの赤ちゃんですね。あれが嫌なのですね?私が殺って差し上げましょう」
リーゼ頼む。一生のお願いだ。一刻も早く奴の魔の手から俺を解き放ってくれ、、。
途中で、殺るとか言う言葉が出てきたのは無視するから。
「【魔力弾】!!」
リーゼは右手をビックローチの方へと構えると、何か威圧感のあるような見えない塊を、
音速を超えそうな勢いで発射した。すると、ビックローチにあたり、ビックローチは、衝撃によって気絶し、床へと落ちた。ソニックブームが発生し、周りに風が吹いた。すこし、家の壁が少し、へこんだ気がするが、
気のせいだろう。
リーゼは奴を拾い、窓の外へと投げた。すると、すごい勢いで、見えなくなるまで飛んで行った。
リーゼは窓を開けたまま、「【ウォータボール】」とつぶやき、それで、手を洗った。
「お坊ちゃま、お怪我はありませんか!?」
「うわあぁぁぁぁぁん!!りーえ!!!」
俺は精神年齢が17歳?なこと忘れてリーゼに抱き着いてワンワン泣くのであった。
◆リーゼ視点
旦那様が帰ってきて、1日が経ちました。まさか、歩いて帰ってくるとは思いませんでした。
まあ、幻妖花が手に入ってよかったです。
私が朝食の準備を始めようとしたときのことでした。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛!!」
なんと、ルッツお坊ちゃまの叫び声が聞こえてきたのです。
「急いで、向かわなければ!」
私は、準備を中断し、急いで、ルッツお坊ちゃまのお部屋へと向かいました。
奥様は、まだ寝ていらっしゃるようです。
「坊ちゃま!大丈夫ですか!」
私はドアを開け、ルッツお坊ちゃまの方へ顔を向けると、ルッツ様がなんと泣きながら、
私のことを読んでいたのです。
「りーえ!りーえ、りーえりーえ!!」
今まで、あまり泣かなかった、ルッツお坊ちゃまがどうしたのでしょうか。
しかも、生まれてからわずか3ヶ月という期間で、しゃべるとは、何か特別なスキルをお持ちなのでしょうか?
いえ、今はそれを考えているときではありません。
「お坊ちゃまが喋って?しかも泣いて、ん?ああ、あれはビックローチの赤ちゃんですね。あれが嫌なのですね?私が殺って差し上げましょう。」
魔物と戦うのは久しぶりですね。ここら辺は、旦那様や、奥様の手によって排除されていますからね。
この程度の魔物でしたら、魔力をぶつけるだけで気絶するでしょう。雑魚の部類ですし。
それにしても、どこから入ったのでしょうか?早く片付けるとしましょう。
「【魔力弾】!!」
私はビックコックローチに右手をかざし、魔力を練り上げ、塊にし、飛ばしました。
潰れるといけないので、威力はだいぶ抑えてあります。
魔力弾はビックコックローチに当ったが、威力が衰え切らなかったため、壁が少しへこんだ。
しかし、リーゼはそれを見なかったことにし、魔力弾があたり、気絶した、ビックコックローチを拾い上げると、腕を思い切り振りかぶり、窓の外へと投げた。
ビックコックローチは汚いので、手を洗いますか。私が風を引くことはあり得ませんが、ルッツお坊ちゃまに
もしものことがあったらいけません。
「【ウォータボール】」
私は、窓の外に水の弾を浮かべ、手を洗いました。その水はそのまま、窓の外へ捨てました。
「お坊ちゃま、お怪我はありませんか?」
私が問うと、ルッツお坊ちゃまは、よっぽど怖かったのか、再び大声で泣き始めました。
「うわあぁぁぁぁぁん!!りーえ!!!」
私は、ルッツお坊ちゃまが、泣いたのを見て少し安心しました。
あまりにも赤子とはかけ離れた雰囲気でしたので、こういう一面?があると安心しまます。
私は、ルッツお坊ちゃまが、泣き疲れて、寝てしまうまで、抱っこをしながら、背中をなでなでしました。
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