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第拾陸話 『死の森』

試験がやっと終わりました......。

第拾陸話  『死の森』


「次はね、誰にも見つからない場所に移動しましょう。あなたは魔力を制御できていないから、制御できるまでは人と近づかないほうがいいと思うの。【魔力制御】はすでに機能していないわ。』


(どうやって?そんな場所あるの?)


【あるわ、それはこの世界では、死の森と呼ばれている魔力濃度が濃い森よ。あなたの魔力なら襲われることもないし、人、近づいてくることもない。カルメラのスキルを、ちょっといじって、【時空魔法】というものを作ったから、それを使って、転移をして移動しましょう。その前に服を着たほうがいいと思うけどね。】


ステータスを確認してみる。


(……本当だ【神聖魔法】が、

 【回復魔法】、【創造魔法】、

 【時空魔法】になってる!)


『本来神聖魔法とは神の奇跡と呼ばれるものを起こす魔法だったの、でも、ニンゲン達はその奇跡を回復に利用する以外のことを思いつかなかったの。本来はその3つのスキルだったのだけれど、いつの間にか統合されてしまった。まぁ、【回復魔法】は、体の傷の再生の促進、【創造魔法】は、再生する時の血肉として使えるし、【時空魔法】は、その再生までの時間を短縮できる。統合したほうが回復の時間が、

短縮される。これはニンゲンたちの戦争において、便利だったのでしょうね。』


(気になったんだけど、その【時空魔法】で転移ってどういう仕組みなの?)


【確かヒッグス粒子が、って!魔法に原理なんて求めちゃいけないのよ。私たちは神なんて呼ばれてるけど、私よりも、創造神様よりも高次元の神のような存在だっているはずなの。だからそういう存在が定義して作られたルールであって、私たちが理解するなんて不可能だわ。】


(つまりネアが理解できていないから追求しないでくれって意味ね。了解了解。)


【ムカつくなぁ。これでも私は魔法を司る神なの。こんな魔法が使えたらなって思えたら使えるのだから

 原理なんてわからなくても仕方がないじゃない。ほら転移、転移。座標は私が指定するから目をつぶってヘリウムになったつもりになってもらえば。その前服よ。服。さすがに裸のまま過ごすのなんて私でもいやよ。】


(とりあえず、そこにある焦げたカーテンでも羽織っておくか。)


普通に歩ける体に感動しながら、崩壊した家の残骸まで歩き、カーテンをはぎ取って、マントのようにかぶった。


【カーテンでも無いよりはマシね。じゃあヘリウムになったつもりで転移するね。】


(ヘリウムになる。なるほどわかりやすいたとえだ。つまり自分の質量が小さくなると思えばいいわけか。ちいさくなる。小さくなる。何故水素じゃないのか気になったけど何も言わないことにした。

どうせなら素粒子まで分解すればよいのに。)


目をつぶりながら質量が小さくなることを唱えていると突如浮遊感を感じた。


【もう目を開けても大丈夫よ】


目を開ける。あたりは一面森のようだ。木が生い茂っていて、俺のいる場所は日陰になっている。

木は大体10m前後の少し黒い色の木に覆われている。


(なにここ?禍々しすぎだろ?)


【そりゃだって、人が近づけないレベルの魔力と魔物がいるのだから禍々しいに決まってんじゃないの。】


(いや、俺がその魔物に食われたら終わりじゃね?)


【大丈夫よ。今のカルメラは魔力垂れ流しで、魔物が怖がってるから。悪魔が森に来たとでも思ってるわよ。】


カルメラは現時点で存在している生物の頂点といわれるレベルで魔力が多かった。

故に、少量の垂れ流し──たとえ1%だとしても2千700億の魔力が流れているのだ。

Sランクの魔物でも多くて5万程度である。自身の540億倍の魔力の生き物が現れた時点で

気絶するレベルなのだ。


【あなたには今、【魔呼吸】と【光合魔成】と【魔力回復速度上昇】のスキルがあって、

 太陽を浴びているときは、1割×レベル×2のスキルが2個とそれを1.5倍するスキルだから

 10%×10×2×2×1.5=600%つまりあなたは1分で自分の魔力総量の6倍を生産している状況なの

 溢れたそれが血管内で結晶化してるから激痛が走るのよ。1秒に直すと2.7兆の魔力を回復する

 ことに相当するの。】


(さすが魔族を殺すための呪いだね。)


【そうね。私の目標はディーヌを殺すことと、時空神アイルズーン様の封印を解くこと。それをするためにはあなたの力が必要なの。でも、12時間ごとに戻らないとあなたの魂が死んじゃうから、戻った後の体でも生活できるようにあなたがすることは2つ。1つ目は【創造魔法】で人口精霊を作って、常時精霊を顕現させて魔力のよって回復速度を下げられるから。2つ目はあなた自身の強化よ。元の体で歩けるように筋力を戻すこと。何年か経って、あなたの元の体についての問題が解決したら、人里まで行きましょう。冒険者ギルドにでも入って、情報収集するのもいいかもね。それで、あなたの家族が見つかるといいわね。』


(……見つかったらいいね。それで、【創造魔法】で作る精霊ってどんなものでもいいの?)


『えっと。そのうち人のいるところに行くのであれば【人化】は使えたほうがいいと思うわ。

あとはなるべく高スペックにすることね。そうすれば必要な魔力量も増えて、魔力の回復量が抑えられるから。精霊を作る前に、仮拠点を作らないと。さすがに吹き曝しの状態で、一晩明かすのはさすがにあれだし。』



(それもそうか。どうせならそこらへんに生えてる木を使うか。【時空魔法】!)


【時空魔法】で空間を切断し木を切る。イメージはアナログをデジタルに変換する感じで。

家を建てる時用の嵌める溝も用意する。倒した木を【時空魔法】で重力を操り、家の壁を形成する。

屋根を付けたら完成だ。


(うん。なかなかいい仕上がりだ。)


『あんた、家にどうやって入るつもり?入口なさそうだけど……?』


(あ、忘れてた。)


この後、もう一回家を分解して作り直しました。

仮拠点のイメージは豆腐建築ログハウスみたいな感じです。

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