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第拾壱話 『魔血晶病』

調べたりしながら、執筆しているのですが、物質の性質や製法が間違っていたらすみません。



第拾壱話 『魔血晶病』



俺が毎朝、【神聖魔法】の練習をしていたのに、起きなかったので、様子を見に来た。

「具合が悪そうね。体温計を持ってくるわね。」

しばらくすると、金属光沢のある10cmくらいの棒を持ってきた。


「ルッツ、大丈夫?体温計ってみて。はい、これ。」

お母さんはそういうと、体温計みたいな魔道具を渡された。この魔道具は昔にいたすごい魔道具職人によって作られたらしい。多分異世界人だろう。

そう俺は熱を出したのだ。【神聖魔法】を練習して、1年と少し経った時だった。


魔道具をわきに挟む。しばらくするとピー、ピーという音が部屋に響く。

体温計には、312と出ていた。312という数字は多分絶対温度なのだろう。


絶対温度とは、水の凍るときの温度を約273Kケルビンとしたときの温度だ。

世の中には華氏と摂氏というものがあったけど、熱エネルギーの観点から考えるときに絶対温を

用いたほうが都合がよかったらしい。


というわけで絶対温度を日本で使われていた、摂氏に直すには312-273=39というわけだ。

つまり39℃の熱である。


俺は痛い頭でこんなことを考えながら、魔道具をお母さんへと渡す。

すると

「すごい熱ね。しばらく安静にしてないとだめよ。リーゼを呼んでくるわ。リーゼは、

薬を創るのも得意なのよ。」

部屋を出てしばらくすると、リーゼが入って来た。


「失礼します。ルッツ様、とりあえず解熱剤だけ飲んでおいてください。様子を見て、

これで治らなかったら、追加の薬を創りますので、安静にしていてくださいね。」


「はい、わか、った。」

声を出すのが精いっぱいだった。前世を思い出す。俺は喘息を持っていたから、発作が起きた時は、

呼吸をするのが苦しくて、しゃべるのも精いっぱいだった。


「あーん」

リーゼが、くすりを飲ませてくれる。

にっが。まっず。薬がめっちゃくちゃまずかった。

「まずい……。」

「でも飲まないと風邪が治りませんよ?」

「うー。」

「今日は、良く寝て、体の調子を整えて下さいね?」


そういい、リーゼは部屋を出て行った。俺は、しばらくすると眠気が襲ってきて、程なくして寝てしまうのであった。


熱が出た時から、1か月が経った。症状はさらに悪化し、熱は下がらなかった。

さらに体中に激痛が走るようになった。


母さんはすぐに医者を連れてきてくれた。最初はリーゼの薬を飲んで様子を見ていたのだが、

追加の薬をもらっても治らなかった。


医者の見た目は、眼鏡をかけた。灰色の髪の毛の40~50くらいのおじさんだ。


「これは!もしや、『魔熱病』と『魔血晶病』!!人族で、これになる者がいるとは……。」

ナニッ?人族では、ならない病気なの?どんな病気なんだ?


「先生、ルッツの病気はどのような、物なのでしょうか?」

とお母さんは医者に問う。


「『魔熱病』とは、身体に対して、魔力が過剰にあり、暴走してしまう病気のことだ。これの治療法は、常に魔力を放出し続けて、体にある、魔力を減らせば、暴走が治り、症状は回復するだろう。もしくは、体の成長によって治るだろう。」


まさか、俺の魔力の特訓がこの熱の正体だとは。何で俺はこんなことをしてしまったんだ。

これから楽しい異世界ライフを過ごそうと思っていたのに。


「問題なのは、『魔血晶病』だ。これは魔力が体内で、結晶化してしまい、体中の、血管が傷ついてしまうんだ。治療法も特になく、鎮痛剤を摂取し続けるしかない。俺が知っているのはこれくらいだ。常に【回復魔法】で回復できればよいかもしれないが、【回復魔法】で、回復ができても、すぐにまた傷ついてしまうからな、このこが死ぬまで、ずっと【回復魔法】を使ったまま、魔力枯渇をしないやつはいないだろう。この病気は、治すことはできない。役に立たなくて済まない。」


「……先生、本当に『魔血晶病』は、治らないのでしょうか?この子は、本当に、一生このまま、過ごさなければ、ならなのでしょうか?」


母さんは泣きながら、医者に尋ねる。

こんな、俺のために、泣いてくれているんだ。すべて俺が悪いというのに。俺が魔力を増やそうとしなければ......・


「あぁ。ただ、魔力を常に放出し続けて、鎮痛剤を飲んでいれば、多少は楽に過ごせるかもしれない。歩くくらいなら、可能になるかもしれない。もう走れはしないかもしれないが。鎮痛剤もずっと飲んでいたら、効かなくなっていくだろう。あと5年生きられれば良いくらいだ。

 

ただ、鎮痛剤を使って、過ごすかは、子ども自身にと決めさせたほうが良いだろう。このまま生きていても苦しみが長続きするだけだ。かってに、長生きさせて苦しめるのはかわいそうだろう。どうだ。少年。これは残酷な話だ。悪く思わないでくれ。君は、まだ生きたいか?死にたいか?どっちだ?」


まだ少しでも希望があるなら。幸いにも自分は【神聖魔法】が使える。痛みはあっても死ぬことはない。

鎮痛剤を飲んでいれば、まだしばらくは生きていけるかもしれない。


「──しに、たくない、です。」

沈黙が部屋の中を支配する。


「──わかったぞ、少年。だがそれは茨の道だ。薬は俺が作ってやる。俺が、お前が諦めないかぎりは、ずっと一緒にいてやる。俺の名前は、ラティス・ルヴィアだ。」


「あり、がとう、ございます。おれの、なまえは、るっつ、で、す。」

俺は熱と激痛に耐えながら、お礼を言ったが意識を失ってしまうのであった。



リーゼがルッツの部屋にやって来た。


「リーゼ……?」

ベッドに寝ていたルッツはリーゼが入ってきたことに気づいた。リーゼが泣きながら入って来たため、

ルッツはぎょっとした。


「ルッツ様、申し訳ございません……。わ、私が本を持ってきたせいで、こんなことに。」

リーゼは自分がルッツの誕生日に渡した『魔力の増やし方(秘伝)』という本のせいで、病気になってしまったと思っていた。


つまり自分のせいで、ルッツが臥せってしまったと思っていた。あながち間違いではないのだが、本来普通の1歳児に見せてもない量が理解できるはずはなかった。


「リーゼ。謝らないで。悪いのは、俺なんだ。俺は【観察眼】というのが使えて、幻妖花に魔力を与えると、魔力の成長を促してくれるって言う結果が出たんだ。だから、リーゼは、悪くないんだ。」

ルッツはリーゼに説明した。


「それでも、私の持ってきた、本が要因になってないとは、言い切れません。」

リーゼはとても責任を感じていた。長い人生の中でも一番ともいえるほどに。


「それなら、俺から提案がある、んだ。どこかに、白い岩がある、山があると思う。それをとってきて、鍾乳洞にある石、なるべく、これも、白いのが良いと思う。その二つを粉上になるまで、砕いて、加熱して欲しい。そうしてできた奴、はお酒に溶けにくい白い粉になるんだ。それを俺に分けて欲しいんだ。

おねがい、できる?」


そう、これは炭酸水素ナトリウムの製法だ。トロナ鉱石と二酸化炭素を混ぜて加熱するとできるらしい。

炭酸水素ナトリウムと聞いて、何それと思う人もいるかもしれないが、別名重曹だ。アルコールに溶けないという性質があるらしいぞ。重曹はお菓子を作ったり、掃除の助けにもなったりする優れものだ。まあ、何に使うかはまだ秘密だ。 


「そ、それは、危険な粉ではないのですか?」

リーゼは危険な薬なのではないかと心配する。


「ちゃんと、作ることができれば、問題ないはずだよ。食べ物を作るのにつかったり、掃除にも、使えたりするはずだから、使えるようになると、便利なはずだよ。」


「そ、そうなのですか。でもその知識は一体どこでお知りに?」

疑問に思ったリーゼが問う。なにせルッツは屋敷から外に出たことがないのだ。このような知識を知る機会はないはずなのだ。


「えーと、そ、それは図書室の、本のどこかに、かいてあったかなぁ?そ、それに書いてあった、お菓子を作ろうかな、って。あ、あとその白い粉が出来たら、それに加えて、砂糖も持ってきてくれると、うれしいよ。作ったものを、リーゼにも、上げるから。」


図書館にあったというのは嘘だ。ただ、ばれたらヤバそうではあるが。


「わかりました。ではその『白い粉』ができしだい、ルッツ様の部屋へ持ってきます。では

なるべく早くとってきてまいりますね。」


そう言って、罪悪感を抱えたままリーゼはルッツの部屋を出ていくのであった。


水の凍る温度は実際は273.15Kなんですけどね......。きっと魔道具職人の方が、めんどくさがって小数点以下をなかったことにしたのでしょう。



『魔血晶病』は全身尿路結石みたいなものです。この病気になった過去の人物は痛すぎて自死する人がほとんどだったとか。

 私は尿路結石にはなったことはないので、どのくらい痛いかはわからないのですが、半月板と前十字靭帯断裂よりも痛いそうなので(これは経験済み←痛すぎて泣けなかった)、死ぬほど痛いんでしょうね。




お読みいただきありがとうございます。評価やブックマークをしていただけるとモチベーション向上につながりますので、よろしくお願いします。

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