第拾話『透明』の魔力
次からしばらく内容暗めです。
第拾話『透明』の魔力
「では、魔法の勉強を始めましょうね。【神聖魔法】は、主に回復や浄化などを得意としているわ。
【回復魔法】の上位の魔法で、四肢の欠損なども相応の魔力を使えば再生させることもできるのよ。」
それは、何回か聞いたな。
「回復系統の魔法は主に、6種類あり、<ヒール>、<ハイヒール>、<エリアヒール>、
<エリアハイヒール>、<オールヒール>、<エリアオールヒール>よ。<ヒール>は切り傷擦り傷など軽いものを治癒することができ,<ハイヒール>は、切り傷などの深いものも治癒させることができ。
オールヒールは欠損レベルのケガを治癒させることができるわ。」
「しょうひまりょくあ?」
「消費魔力のこと?それは人によるから一概には言えないわ。だいたい高くても300くらいよ。人によっては【魔力制御】とかで消費魔力を削減できるけどね。どうしてそんなことを?まあ、とりあえず、ヒールから練習をしてみましょう。」
なるほど。消費魔力はそのような感じなのか。やっぱり俺の魔力が異常なのだろう。
だが何故こんなにも魔力の上昇率が高いんだ?転生特典か?
まあ、考えていても答えが出ないものに時間をかけていても仕方がない。
時間は刻一刻と過ぎているのだ、こんなことを考えている内にも寿命は短くなっているんだ。
「じゃあ、ルッツとりあえず魔力の色を見ようか。えっと、まず、魔力がたまっている、魔力だまりが
あるからそれを意識してみて。見つけられたら。魔力を手に集めるように意識して、
体内から外に出すようにしてみて。」
ふむ。魔力循環の技術はみな知らないのか?秘伝の本だからなのか?でも半世紀進んだって言ったんだけどな。
まあいいか。細胞から。毛細血管へと魔力を輸送するように意識して、指先から、空気中に向けて、
放出するように意識してみる。
……………!!
色のない魔力が空気中に放出され、反動で風が発生する。俺を中心に円を創るように風が吹き抜ける。
「透明……。これほどの魔力量がすでに……?それにこの出力速度……。こんなの私より多いし
速いじゃないの......。」
俺が魔力を出し、色がなかったことを確認したとたん、何かぶつぶつといいながら黙り込んでしまった。
「ルッツ、いい?よく聞いてね。自然状態で出した魔力が透明の人はとても魔力が多いの。
でも、良くないこともあって、攻撃魔法、もしくは回復魔法のどちらか一方が使えない可能性があるの。
攻撃魔法は、魔力が強い順に紫、青、緑、黄、橙、赤で、回復魔法は、その逆なの。紫ほど、攻撃性が高くて赤になるほど低いの。だから回復魔法は、魔力の色が赤ければ赤いほどいいの。」
魔力にそんな仕組みがあったとは、もしや俺は【神聖魔法】を持っているのに使えない可能性があるのか。
ふむどうしたものか、まあ、【神聖魔法】が使えないと決まったわけではない。ポジティブに考えていこう。
「ちなみに、私には二つ名があって、『紅焔の聖女』っていうのがあるんだけど、私の魔力が赤なのに
【爆炎魔法】と【神聖魔法】が使えるのが由来なのよ。まだ幼いルッツに言っても理解できないかもね。
でも【神聖魔法】が使えないかもしれないってことは覚えておいてね。
もし使えなかったら攻撃魔法を覚えればいいのよ。私が教えてあげるわ。とりあえず2歳になったら、
また教えてあげるわね。なにか分かるかもしれないしね。ちゃんと喋れるようになったら、イメージが試薬なって魔法もうまく使えるようになるしね。」
そういいながら、お母さんは力のない笑顔を俺に向けるのだった。
◆
【神聖魔法】が使えないかもしれないといわれてか、1年が経った俺はやっとまともにしゃべれるようになった。
1年たった俺のステータスはこんな感じだ。
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名前:ルッツ・フォン・ヴィルヘルム
年齢:2歳
種族:人間
性別:男
状態:良好
職業:なし
加護:■■■■■■
称号:ヴィルヘルム家長男、転生者(ステータスボーナス:知力+500)
LV:1
体力:36/36
筋力:17
防御力:10
魔力:1,002,177,153,236/1,002,177,153,246
知力:36(+500)
魔力抵抗:12
俊敏:19
幸運:10
スキル
【観察眼】
【神聖魔法】LV:1
【魔力回復速度上昇】LV:10
【魔力操作】LV:10
【魔力制御】LV:7
【魔力圧縮】LV:10
【計算】LV:8
【幻妖花の■■】LV:1{【光合魔成】【魔呼吸】
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魔力が1兆を超えた。魔力圧縮は最初一か月やっただけで、それ以降やっていなかったがそれでも、
個の魔力の増え方だ。以前よりさらに、魔力の上昇率が上がっている。何の影響なのだろうか。
今日は待ちに待った【神聖魔法】の訓練の日だ。活舌も前よりだいぶ良くなった。
朝ごはんを食べ終え俺は今庭に向かっている。
庭から周りを見渡す限り、森しか見えない。どんだけ田舎なのだろうか。
◆
「ルッツ、今日は早起きね。じゃあ、さっそく【神聖魔法】の発動練習をしてみようか。
詠唱は『聖なる力よ、彼の者を癒し給え。【ヒール】』よ。これは、私たちが住んでいる国で使われている詠唱よ。国によって詠唱が違うのよ。
何故かって言うと、昔戦争があったときに、自国の者か他国の者かを区別できるようにするために、別々に詠唱ができたのよ。
詠唱は実際のところは必要ないんだけどね。イメージが苦手な人は、言葉に出した方が明確にしやすいからっていう理由もあるわね。じゃあ、魔法を発動してみて。」
そういうと、お母さんは、自分の腕をナイフで少し切って、俺に腕を出した。これを治療せよということなのだろうか。息子の前に自分のケガした腕を出すのはどういう心境なのだろうか。
イメージするのはiPS細胞だ。分化前の細胞をイメージして、周りの細胞と隣り合わせることで、遺伝子情報をコピーさせ、傷口をふさぐ。山中伸弥様!!
「せいなるちからよ、かのものをいやしたまえ、【ヒール】!」
すると神々しい光とが灯るとともに、ツェツィーリアの腕の傷口が再生した。
「すごいじゃなない!一発で成功できる子はなかなかいないのよ!あと【神聖魔法】が使えたのは良かったけど、
これで、攻撃魔法が使えないことがわかったわ。でも、【神聖魔法】を鍛えれば攻撃はできなくても耐えることはできるから、剣も練習居ないとね。ハルトが教えてくれるかもね剣もたくさん練習するのがいいわよ。」
──この時は誰もあんなことになるとは考えてすらいなかった。
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