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第44話:絆の果てと新たな旅立ち

 真壁基氏と真壁碧純は、アパートで最後の夕方を迎えていた。

 碧純が卒業式を終え、荷物をまとめながら、静かに基氏の部屋に近づいた。すると、聞き慣れない声が漏れてきた。

『あぁぁんあんだめそんなに激しくしちゃ壊れちゃうよ、お兄ちゃん、あっ、中にちょうだい…』

「ちょっとお兄ちゃん、有紀ちゃんに変なこと言わせないでよ」

 勢いよくドアを開けると、結城有紀バーチャルユエルと作品の話だと思い込んでいた碧純の顔が真っ赤に変わった。そこには、エッチなゲームをプレイしながら自家発電中の基氏がいた。

「うわ、バカ、ドアはノックしてからにしろよ」

「ごめんなさい…ごゆっくり~」

 恥ずかしさで顔から火が出そうな碧純が慌ててドアを閉め、リビングに逃げ込んだ。

 数分後、二人が気まずそうにリビングで向き合った。卒業式の制服姿の碧純が、深呼吸して切り出した。

「さっきはごめんなさい」

「学校行ってる最中にすべきでした。ごめんなさい」

 お互いに頭を下げて謝ると、碧純が静かに言った。

「でもね、お兄ちゃん、妹物でそういうことは…ちょっとね」

「だって、二次元妹が好きなんだからしょうがないだろ」

「二次元妹? 三次元は?」

「二次元妹美少女がいい」

「キモ」

「キモくない」

「ママに聞いて判決もらいます」

「うわ、お前、それは反則だぞ」

『お兄ちゃんが妹物エロゲーをして一人でエッチなことしてました。判決を』

 素早くメッセージを打ち、送信した碧純が笑った。

「うわ、碧純、本当に送るか。それ父さんだぞ」

「あっ、間違った」

 急ぎすぎて忠信に送ってしまい、すぐに返信が来た。

『父さんはお前達の子供が抱きたい』

「パパ公認になっちゃったね」

「高校卒業までは絶対にそういうことしないって約束したよな」

「お兄ちゃん、そういうことってどういうこと?」

 いたずらっぽく笑う碧純の微笑みが、今までで一番輝いていた。基氏が真剣な目で答えた。

「っとに、変なこと言わすなよ。セックスはお前の卒業式の後、俺も童貞卒業するの、分かったか」

「キモ」

 言いながら、満足げにニッコリする碧純に、基氏が柔らかく笑った。

「そだね~。お兄ちゃんの健康管理、私がずっとやってきたから安心だよね」

「ポイント高いな」

「うん、妹的なポイント。お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててくれたよね」

「あぁ、見てたよ。お前、俺の大事な女だ。ずっとそうだった」

 夕飯の準備を終え、二人がリビングで向き合った。碧純が卒業証書を手に持つ。

「いただきます」

「いただきます。碧純、卒業おめでとう」

「お兄ちゃん、ありがとう。今日で高校終わりだね」

「あぁ、お前が楽しそうで良かった。俺、ずっと我慢してきたよ」

「うん、分かってる。お兄ちゃんの気持ち、ずっと感じてたよ」

 二人が静かに食事を進めると、結城有紀からのメッセージが届いた。

『碧純ちゃん、卒業おめでとうでござる。先生と碧純ちゃんの絆、素敵でござるよ。拙者、応援してるでござる』

「有紀ちゃん、律儀だね。お兄ちゃん、私たち見ててくれたんだ」

「ユエルには感謝だ。お前のおかげで友情できたし、俺の作品も進んだ」

「そだね~。お兄ちゃんと一緒なら、なんでも乗り越えられたよ」

 食後、佳奈子からの荷物が届いた。開けると、コスプレ衣装とコンドーム、手紙が入っていた。

『碧純、基氏を誘惑できた? 卒業おめでとう。孫楽しみにしてるわ』

「お兄ちゃん、ママ最後まで諦めなかったね…」

「母さん、執念深いな。けど、お前と一緒なら笑いものだ。お前がいてくれたから、俺は十分だよ」

 碧純が立ち上がり、基氏に近づいた。

「お兄ちゃん、それポイント高いよ」

「ポイントばっかりだな。お前と一緒なら、なんでも乗り越えられた。卒業した今、どうする?」

「うん、分かってるよ。お兄ちゃん、私のことずっと大事にしてくれたよね。私もお兄ちゃんが大事だよ」

 基氏が碧純の手を取り、静かに見つめた。

「お前が大事だから、卒業まで待った。お前の笑顔が俺の未来だった」

「お兄ちゃん…私も待ってたよ。お兄ちゃんと一緒なら、どんな未来も楽しいよ」

 二人が抱き合うと、忠信からのメッセージが届いた。

『基氏、碧純、卒業おめでとう。父さん母さん、お前達の幸せが孫だ。ゆっくりでいいからな』

「パパとママ、ずっと応援してくれてたね」

「あぁ、俺たちの絆が家族の願いだったんだ。お前と一緒なら、なんでも叶えられる」

 涙を浮かべる碧純が、基氏の胸に顔を埋めた。

「お兄ちゃん、これからもずっと一緒だよ」

「あぁ、ずっと一緒だ。お前が俺の大事な女で、俺がお前のお兄ちゃんだ」

 リビングに静かな感動が広がり、二人は新たな旅立ちを迎えた。結城有紀の友情、家族の支え、そして何より二人の絆が、未来への道を照らしていた。



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