第37話:友情の訪問と兄妹の日常
真壁基氏と真壁碧純は、アパートで穏やかな週末の朝を迎えていた。
碧純が朝食を準備しながら、昨日の会話を思い出した。
「お兄ちゃん、有紀ちゃんまた来たいって言ってたね。楽しみだよ」
「あぁ、ユエルか。お前が友達連れてくるの、嬉しいよ」
「そだね~。お兄ちゃんの健康管理、私がしてるから安心だよね」
「ポイント高いな」
「うん、妹的なポイント。お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててね」
「あぁ、見てるよ。お前、俺の大事な女だからな」
碧純が顔を赤らめ、朝食を運んだ。
「いただきます」
「いただきます。お兄ちゃん、今日何するの?」
「異世界冒険の原稿進める。週末だし、ウォーキングも行く。お前は?」
「有紀ちゃん来るから、準備するよ。お兄ちゃんと一緒なら楽しいよ」
「俺もだ。お前がいてくれるから、なんでも乗り越えられる」
二人は笑い合い、朝を穏やかに過ごした。
その日、昼過ぎに結城有紀がアパートを訪れた。
「お邪魔するでござる」
「いらっしゃい、有紀ちゃん!」
「お、有紀ちゃん、よく来た。お兄ちゃん嬉しいぞ」
「キモい、お兄ちゃん。普通に友達来てるよ」
「田舎っぺがハブられてないか心配してたんだ」
「やめてよ、キモ」
兄妹のやりとりに、結城有紀が笑った。
「先生、碧純ちゃん、仲良しでござるね」
「うん、だよね~。有紀ちゃん、クッキー持ってきた?」
「うん、昨日焼いたでござる。先生と碧純ちゃんに御礼でござるよ」
可愛いリボンのクッキーを渡すと、基氏が笑った。
「ありがとう。ユエル、お前のおかげで原稿進んでるよ」
「先生の作品愛、素敵でござる。拙者も助かってるでござる」
「お茶入れるね。大子のお茶、飲んでよ」
碧純が淹れたお茶とクッキーをリビングに並べた。
「いただきます。色薄めなのにしっかりした味、美味しいでござる」
「有紀ちゃん、話し方疲れない?」
「平気でござる。慣れてるでござるよ」
「そっか。昨日のお風呂、ちょっとびっくりしたけど、お兄ちゃん優しいよね」
「お風呂? でござるか?」
「うん、一緒に入ったの。昔よく入ってたから」
「羨ましいでござる。拙者、一人っ子でそういうのなくて」
「有紀ちゃん、来てくれるなら、いつでも一緒だよ」
「ありがたくてござる」
三人はクッキーを食べながら笑い合った。
その時、佳奈子からメッセージが届いた。
『碧純、基氏を誘惑した? 衣装着て現実に戻してね。孫楽しみにしてるわ』
「お兄ちゃん、ママまただよ…」
「母さん、執念深いな。けど、お前と一緒なら笑いものだ」
結城有紀がクッキーを手に持ったまま言った。
「母君、面白い方でござるね。昨日のお荷物も笑ったでござる」
「うん、ママ変わってるよ。有紀ちゃん、また来てね」
「うん、ぜひでござる。先生、原稿の服選び、また相談したいでござる」
「頼むよ、ユエル。お前のおかげでリアルな女子高生書ける」
「お兄ちゃん、私もいるのに…」
「碧純は大事な妹だ。モデルじゃないよ」
「そだね~。お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててくれるよね」
「あぁ、卒業まで待つって決めた。お前が楽しく学校生活送れるなら、それでいい」
「お兄ちゃん、それポイント高いよ」
「ポイントばっかりだな。お前と一緒なら、なんでも乗り越えられる」
結城有紀が微笑んだ。
「先生と碧純ちゃんの絆、素敵でござる。拙者も仲間に入れて欲しいでござるよ」
「うん、有紀ちゃん、いつでも来てね。お兄ちゃんと一緒なら、もっと楽しいよ」
夕方、結城有紀が帰る際、基氏が痛車で送った。
「有紀ちゃん、また遊びに来てね」
「気をつけて帰るでござる。ごちそうさまでした」
家に戻り、碧純が基氏に言った。
「お兄ちゃん、有紀ちゃん楽しそうだったね。私たち、実の兄妹じゃないの言わなくていいよね?」
「あぁ、お前の気持ち分かってる。言わなくていいよ」
「うん、お兄ちゃんが分かっててくれるなら、それでいいよ」
静かな約束を交わし、二人は絆を深めた。




