表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/46

第32話:結城有紀の葛藤と佳奈子の策略

 真壁基氏と真壁碧純は、アパートでの朝を迎えていた。

 碧純が朝食を準備しながら、昨夜の出来事を振り返った。

「お兄ちゃん、委員長からメッセージ来てたよ。ユエルのこと秘密にしてくれるって」

「あぁ、律儀な子だな。お前のおかげで誤解解けたんだろ」

「そだね~。お兄ちゃんの健康管理、私がしてるから変な心配ないよね」

「ポイント高いな」

「うん、妹的なポイント。お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててね」

「あぁ、見てるよ。お前、俺の大事な女だからな」

 碧純が顔を赤らめ、朝食を運んだ。

「いただきます」

「いただきます。お兄ちゃん、今日何するの?」

「異世界冒険の原稿進める。編集者に進捗報告だ。お前は?」

「学校だよ。あゆちゃんと委員長のこと話そうかな」

「ギャル系の友達か。お前、クラスメイトと仲良くなってるな」

「うん、だよね~。お兄ちゃんと一緒なら、ママの策略も笑えるよ」

「俺もだ。お前がいてくれるから、なんでも乗り越えられる」

 二人は笑い合い、朝を穏やかに過ごした。

 その日、碧純は学校で久滋川亜由美と昼休みに話していた。

「碧純ちゃん、委員長と仲良くなったの?」

「うん、昨日ちょっと話してさ。お兄ちゃんのこと誤解してたみたいで、謝ってくれたよ」

「へぇ~、『筑波のエルフ』が謝るなんて珍しいね」

「うん、優しい子だよ。お兄ちゃんの車見てびっくりしてたけど」

「痛車だもんね。面白いお兄ちゃんじゃん」

「うん、だよね~」

 一方、結城有紀は教室の隅で一人考え込んでいた。

「真壁さんの兄が先生…バーチャルユエルとして関わってるなんて、世間は狭いでござる」

 昨夜の雷雨での出会いを思い返し、彼女は葛藤していた。

「先生が逮捕されるようなことはないでござる。良かったでござるが…学校でどう接すればいいでござるか」

 結城有紀は、基氏の作品のファンであり、アドバイザーとしての役割に誇りを持っていた。しかし、クラスメイトの碧純がその妹だと知り、秘密を守る重圧を感じていた。

 放課後、図書委員の仕事中、結城有紀が碧純に近づいた。

「真壁さん、昨日のお礼でござる。先生の車、驚いたでござるよ」

「うん、ごめんね。変な車で…でも、お兄ちゃん優しいんだ」

「分かってるでござる。先生の作品愛、素敵でござる」

「うん、だよね~。委員長、お兄ちゃんのこと内緒にしててね」

「当然でござる。学校では秘密でござるよ」

 二人は笑い合い、友情がさらに深まった。

 夕方、アパートに戻った碧純が夕飯を準備した。

「お兄ちゃん、実家から野菜届いてたよ。炒め物にするね」

「美味そうだ。ありがとな、お前」

「そだね~。お兄ちゃん、編集者に報告どうだった?」

「順調だよ。ユエルの取材が役立ってる。お前、読みたいか?」

「うん、読みたい! お兄ちゃんの異世界、応援するよ」

「お前が最初に読む読者な。感想頼むぞ」

「お兄ちゃん、それポイント高いよ!」

「またポイントか。なんの特典だ?」

「私がずっとそばにいる特典。お兄ちゃん、私と一緒に頑張ってね」

「あぁ、お前がいてくれるから、俺も頑張れるよ」

 食後、基氏が原稿を進めていると、佳奈子から新たな荷物が届いた。

「お兄ちゃん、またママからだよ」

「何だ?」

 開けると、さらに派手なコスプレ衣装とコンドーム、そして手紙が入っていた。

『碧純、基氏を現実に戻してね。衣装着て誘惑してみて。孫楽しみにしてるわ』

「お兄ちゃん、ママの策略エスカレートしてる…」

「母さん、本気すぎだろ。けど、お前と一緒なら笑いものだ」

 その時、結城有紀から碧純にメッセージが来た。

『真壁さん、先生に昨日のお礼伝えたでござる。学校では内密にしてるでござるよ』

「委員長、ほんと律儀だね。お兄ちゃん、ユエルって委員長なんだよ」

「そうか。世間狭いな。お前のおかげで誤解解けたんだろ」

「うん、だよね~。お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててくれるからだよ」

「お前が大事だからな。母さんの策略も、ユエルの波紋も、お前と一緒なら平気だ」

 二人は笑い合い、佳奈子の策略と結城有紀の葛藤を乗り越える絆を確かめた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ