第32話:結城有紀の葛藤と佳奈子の策略
真壁基氏と真壁碧純は、アパートでの朝を迎えていた。
碧純が朝食を準備しながら、昨夜の出来事を振り返った。
「お兄ちゃん、委員長からメッセージ来てたよ。ユエルのこと秘密にしてくれるって」
「あぁ、律儀な子だな。お前のおかげで誤解解けたんだろ」
「そだね~。お兄ちゃんの健康管理、私がしてるから変な心配ないよね」
「ポイント高いな」
「うん、妹的なポイント。お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててね」
「あぁ、見てるよ。お前、俺の大事な女だからな」
碧純が顔を赤らめ、朝食を運んだ。
「いただきます」
「いただきます。お兄ちゃん、今日何するの?」
「異世界冒険の原稿進める。編集者に進捗報告だ。お前は?」
「学校だよ。あゆちゃんと委員長のこと話そうかな」
「ギャル系の友達か。お前、クラスメイトと仲良くなってるな」
「うん、だよね~。お兄ちゃんと一緒なら、ママの策略も笑えるよ」
「俺もだ。お前がいてくれるから、なんでも乗り越えられる」
二人は笑い合い、朝を穏やかに過ごした。
その日、碧純は学校で久滋川亜由美と昼休みに話していた。
「碧純ちゃん、委員長と仲良くなったの?」
「うん、昨日ちょっと話してさ。お兄ちゃんのこと誤解してたみたいで、謝ってくれたよ」
「へぇ~、『筑波のエルフ』が謝るなんて珍しいね」
「うん、優しい子だよ。お兄ちゃんの車見てびっくりしてたけど」
「痛車だもんね。面白いお兄ちゃんじゃん」
「うん、だよね~」
一方、結城有紀は教室の隅で一人考え込んでいた。
「真壁さんの兄が先生…バーチャルユエルとして関わってるなんて、世間は狭いでござる」
昨夜の雷雨での出会いを思い返し、彼女は葛藤していた。
「先生が逮捕されるようなことはないでござる。良かったでござるが…学校でどう接すればいいでござるか」
結城有紀は、基氏の作品のファンであり、アドバイザーとしての役割に誇りを持っていた。しかし、クラスメイトの碧純がその妹だと知り、秘密を守る重圧を感じていた。
放課後、図書委員の仕事中、結城有紀が碧純に近づいた。
「真壁さん、昨日のお礼でござる。先生の車、驚いたでござるよ」
「うん、ごめんね。変な車で…でも、お兄ちゃん優しいんだ」
「分かってるでござる。先生の作品愛、素敵でござる」
「うん、だよね~。委員長、お兄ちゃんのこと内緒にしててね」
「当然でござる。学校では秘密でござるよ」
二人は笑い合い、友情がさらに深まった。
夕方、アパートに戻った碧純が夕飯を準備した。
「お兄ちゃん、実家から野菜届いてたよ。炒め物にするね」
「美味そうだ。ありがとな、お前」
「そだね~。お兄ちゃん、編集者に報告どうだった?」
「順調だよ。ユエルの取材が役立ってる。お前、読みたいか?」
「うん、読みたい! お兄ちゃんの異世界、応援するよ」
「お前が最初に読む読者な。感想頼むぞ」
「お兄ちゃん、それポイント高いよ!」
「またポイントか。なんの特典だ?」
「私がずっとそばにいる特典。お兄ちゃん、私と一緒に頑張ってね」
「あぁ、お前がいてくれるから、俺も頑張れるよ」
食後、基氏が原稿を進めていると、佳奈子から新たな荷物が届いた。
「お兄ちゃん、またママからだよ」
「何だ?」
開けると、さらに派手なコスプレ衣装とコンドーム、そして手紙が入っていた。
『碧純、基氏を現実に戻してね。衣装着て誘惑してみて。孫楽しみにしてるわ』
「お兄ちゃん、ママの策略エスカレートしてる…」
「母さん、本気すぎだろ。けど、お前と一緒なら笑いものだ」
その時、結城有紀から碧純にメッセージが来た。
『真壁さん、先生に昨日のお礼伝えたでござる。学校では内密にしてるでござるよ』
「委員長、ほんと律儀だね。お兄ちゃん、ユエルって委員長なんだよ」
「そうか。世間狭いな。お前のおかげで誤解解けたんだろ」
「うん、だよね~。お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててくれるからだよ」
「お前が大事だからな。母さんの策略も、ユエルの波紋も、お前と一緒なら平気だ」
二人は笑い合い、佳奈子の策略と結城有紀の葛藤を乗り越える絆を確かめた。




