第31話:バーチャルの波紋と母の策略
真壁基氏と真壁碧純は、アパートで佳奈子からの新たな荷物に困惑した朝を迎えていた。
碧純が朝食を準備しながら、昨夜の出来事を振り返った。
「お兄ちゃん、ママまたコスプレ衣装とコンドーム送ってきたね。すごい執念だよ」
「あぁ、母さん、孫に夢中すぎる。お前のおかげで笑いものだけどな」
「そだね~。お兄ちゃんの健康管理、私がしてるから変な心配しないで欲しいな」
「ポイント高いな」
「うん、妹的なポイント。お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててね」
「あぁ、見てるよ。お前、俺の大事な女だからな」
碧純が顔を赤らめ、朝食を運んだ。
「いただきます」
「いただきます。お兄ちゃん、今日何するの?」
「異世界冒険の原稿進める。編集者にユエルの取材報告も送る。お前は?」
「学校だよ。あゆちゃんに荷物の話して笑いものにしようかな」
「ギャル系の友達か。母さんの策略、お前と一緒なら笑えるな」
「うん、だよね~。お兄ちゃんと一緒なら、ママの思惑も怖くないよ」
「俺もだ。お前がいてくれるから、なんでも乗り越えられる」
二人は笑い合い、朝を穏やかに過ごした。
その日、碧純は学校で久滋川亜由美と昼休みに話していた。
「碧純ちゃん、ママまた変な荷物送ってきたの?」
「うん、コスプレ衣装とコンドームだよ。孫欲しいって本気すぎ」
「ははっ、すごいね。お兄ちゃん、どうしたの?」
「びっくりしてたよ。私も笑っちゃったけど、ママの執念すごいよね」
「面白いね。痛車のお兄ちゃん、優しいんだね」
「うん、ちょっと変だけどね。昨日、委員長とも話してさ」
「委員長? 『筑波のエルフ』?」
「うん、誤解解けて良かったよ。お兄ちゃんのこと変な人じゃないって分かってくれた」
「へぇ~、いい関係だね」
「うん、だよね~」
一方、結城有紀は教室で昨夜の出来事を思い返していた。
「真壁さんの兄が先生…バーチャルユエルとして関わってたなんて、世間は狭いでござる」
彼女は誤解が解けた安堵と、新たな秘密を共有する緊張を感じていた。
放課後、図書委員の仕事中、結城有紀が碧純に近づいた。
「真壁さん、昨日はありがとうでござる」
「うん、こちらこそ。委員長、お兄ちゃんのこと内緒にしてね」
「当然でござる。先生にも秘密でいいでござるよ」
「うん、ありがとう。お兄ちゃん、変な車だけど優しいんだ」
「痛車、笑ったでござる。でも、先生の作品愛を感じるでござる」
二人は笑い合い、友情の芽が生まれた。
夕方、アパートに戻った碧純が夕飯を準備した。
「お兄ちゃん、実家から山菜届いてたよ。天ぷらにするね」
「美味そうだ。ありがとな、お前」
「そだね~。お兄ちゃん、ユエルの取材報告どうだった?」
「編集者に送ったよ。お洒落なサラダ専門店の話が役立った。お前、読みたいか?」
「うん、読みたい! お兄ちゃんの異世界、応援するよ」
「お前が最初に読む読者な。感想頼むぞ」
「お兄ちゃん、それポイント高いよ!」
「またポイントか。なんの特典だ?」
「私がずっとそばにいる特典。お兄ちゃん、私と一緒に頑張ってね」
「あぁ、お前がいてくれるから、俺も頑張れるよ」
食後、基氏が原稿を進めていると、佳奈子からメッセージが届いた。
『基氏、碧純をよろしくね。孫楽しみにしてるわ。衣装着て現実に戻ってね』
「お兄ちゃん、ママまただよ…」
「母さん、執念深いな。けど、お前と一緒なら笑いものだ」
その時、結城有紀から碧純にメッセージが来た。
『真壁さん、先生にバーチャルユエルのこと秘密にしててござる。学校でも内密でござるよ』
「委員長、律儀だね。お兄ちゃん、ユエルって委員長なんだよ」
「そうか。世間狭いな。お前のおかげで誤解解けたんだろ」
「うん、だよね~。お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててくれるからだよ」
「お前が大事だからな。母さんの策略も、ユエルの波紋も、お前と一緒なら平気だ」
二人は笑い合い、新たな絆を確認した。




