第30話:クラスメイトの疑惑と兄妹の絆
真壁基氏と真壁碧純は、アパートで佳奈子からの荷物に驚いた朝を迎えていた。
碧純が朝食を準備しながら、昨夜の出来事を振り返った。
「お兄ちゃん、ママの荷物すごかったね。コスプレ衣装にコンドームって…」
「あぁ、母さんやりすぎだよ。孫が欲しいのは分かるけどさ」
「そだね~。でも、お兄ちゃんの健康管理は私がやるから、変な心配しないで欲しいな」
「ポイント高いな」
「うん、妹的なポイント。お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててね」
「あぁ、見てるよ。お前、俺の大事な女だからな」
碧純が顔を赤らめ、朝食を運んだ。
「いただきます」
「いただきます。お兄ちゃん、今日何するの?」
「異世界冒険の原稿進める。編集者と打ち合わせもある。お前は?」
「学校だよ。あゆちゃんに荷物の話でもしようかな」
「ギャル系の友達か。お前、ママの思惑笑いものにしてやる気だな」
「うん、だよね~。お兄ちゃんと一緒なら、ママの心配も笑えるよ」
「俺もだ。お前がいてくれるから、母さんの過剰な期待も気にならん」
二人は笑い合い、朝を穏やかに過ごした。
その日、碧純は学校で久滋川亜由美と昼休みに話していた。
「碧純ちゃん、昨日何かあった?」
「うん、ママから変な荷物届いてさ。コスプレ衣装とコンドーム入ってたんだ」
「え!? 何!? すごいね、ママ本気じゃん」
「うん、お兄ちゃんを現実世界に引き戻したいみたい。孫が欲しいって」
「ははっ、面白いね。お兄ちゃん、どうしたの?」
「びっくりしてたよ。私も笑っちゃったけど」
「優しいお兄ちゃんじゃん。痛車乗ってるんだよね?」
「うん、『お兄ちゃんのためならパンツもあげるよ』ってやつ…」
「それ、ライトノベルだよね? お兄ちゃん、作家じゃないの?」
「うっ…いや、違うよ。変な趣味なだけ」
慌ててごまかす碧純に、あゆみが目を輝かせた。
「ほんとかなぁ~。でも、面白いお兄ちゃんじゃん」
「うん、だよね~」
一方、結城有紀は教室の隅で二人を見ていた。
「真壁さんの兄が茨城先生…世間は狭いわ。誤解してたけど、良かった」
彼女は昨夜の雷雨での出会いを思い出し、安心していた。
放課後、図書委員の仕事を終えた碧純が教室に戻ると、結城有紀が近づいてきた。
「真壁さん、少しお話しできる?」
「え? 委員長、うん、いいよ」
二人で図書室の隅に座ると、結城有紀が切り出した。
「昨日、ごめんなさいでござる。勘違いしてしまって」
「うん、大丈夫だよ。私もお兄ちゃんのこと誤解してたし」
「先生のお兄さんで良かったでござる。バーチャルユエルとして関わってるから、驚いたでござるよ」
「私もびっくりしたよ。委員長がユエルなんて」
「内密にしてくださいでござる。学校では知られたくないでござる」
「うん、約束する。お兄ちゃんにも言わないでね」
「当然でござる。先生には秘密でいいでござる」
二人は笑い合い、誤解が解けた。
夕方、アパートに戻った碧純が夕飯を準備した。
「お兄ちゃん、実家から猪肉届いてたよ。シチューにするね」
「美味そうだ。ありがとな、お前」
「そだね~。お兄ちゃん、今日委員長と話したよ」
「ユエルか? 何だ?」
「昨日誤解してたって謝ってくれた。お兄ちゃんが変な人じゃないって分かって安心したみたい」
「そうか。良かったな。お前のおかげで誤解解けたんだろ」
「うん、だよね~。お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててくれるからだよ」
「お前が大事だからな。母さんの変な荷物も笑いものだ」
「うん、ママの思惑、笑っちゃうよね。お兄ちゃんと一緒ならなんでも平気だよ」
食後、基氏が原稿を進めていると、佳奈子から荷物が届いた。
「お兄ちゃん、またママからだよ」
「何だ?」
開けると、さらに派手なコスプレ衣装とコンドームが入っていた。
「ママ、本気すぎる…」
「母さん、孫に執着しすぎだろ」
佳奈子のメッセージが届いた。
『碧純、基氏を現実に戻してね。孫楽しみにしてるわ。衣装着てみてね』
「お兄ちゃん、ママの思惑、すごいよ…」
「俺とお前が一緒なら、母さんの期待も笑いものだ。お前がいてくれるから、俺は十分だよ」
「お兄ちゃん、それポイント高いよ」
「ポイントばっかりだな。お前と一緒なら、なんでも乗り越えられる」
二人は笑い合い、新たな波乱を乗り越える絆を確かめた。