第22話:趣味の共有と実家への計画
真壁基氏と真壁碧純。
アパートで朝を迎える。
穏やかな光。
リビングに朝陽。
碧純がキッチン。
朝食の準備。
卵を焼く音。
トーストの香り。
碧純がスマートフォン。
見ながら言う。
笑顔で。
「お兄ちゃん、私、『青春豚野郎』の続き観たよ」
「ほんと切ないね」
「だろ」
「あの兄妹の関係が俺の作家のルーツなんだ」
「お兄ちゃん、私のこと書いてるよね?」
「フィクションだって…」
「まぁ、ちょっと似てるかもな」
「そだね~」
「お兄ちゃんの趣味、もっと知りたいな」
「お前、アニメで俺に近づこうとしてるのか?」
「うん、2.5次元くらいまで引き戻したいからさ」
基氏がコーヒー。
啜りながら笑う。
カップが揺れる。
「何!?」
「三次元に戻す気か?」
「お前がいるだけで十分だよ」
「お兄ちゃん、それポイント高いよ」
「またポイントか」
「なんの特典だ?」
「私がずっとそばにいる特典」
「お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててね」
「あぁ、見てるよ」
「お前、俺の大事な女だからな」
碧純が顔を赤らめる。
朝食を運ぶ。
卵がふわふわ。
「いただきます」
「いただきます」
「お兄ちゃん、今日何するの?」
「原稿進めつつ、次の取材考えるかな」
「お前は?」
「学校だよ」
「あゆちゃんとアニメの話するつもり」
「ギャル系の友達か」
「お前、友達増えたな」
「うん、あゆちゃん面白いよ」
「お兄ちゃんの趣味の話も聞いてくれるし」
「俺の趣味って、オタクってだけじゃなく?」
「うん、寺社仏閣とか史跡巡りとか」
「あれ、いい趣味だよね」
「そうか」
「お前も興味あるなら、今度一緒に行こうか」
「ほんと?」
「デートみたいで嬉しいよ」
「デートじゃなくて取材だよ」
「けど、お前が楽しけりゃいいか」
二人が笑う。
朝を過ごす。
穏やかな時間。
その日。
碧純が学校。
昼休み。
久滋川亜由美と話す。
教室の窓辺。
「碧純ちゃん、週末何かした?」
「うん、お兄ちゃんと神社行ったよ」
「筑波山神社ってとこ」
「デートっぽいね」
「お兄ちゃん、優しいんだ」
「うん、ちょっと変だけどね」
「趣味が寺社仏閣巡りでさ」
「へぇ~、渋いね」
「私、弟しかいないから憧れるよ」
「中二病の弟、面白いじゃん」
「バカみたいだよ」
「昨日も包帯巻いて何か宿ってるって」
「ははっ、お兄ちゃんも昔そんな感じだったよ」
「オタクっぽいよね」
「どんな感じ?」
「うーん…アニメ好きで、史跡巡りも真剣にしてるよ」
「私も一緒に楽しみたいって思ってる」
「優しい妹だね」
「いい関係じゃん」
「うん、だよね~」
碧純が笑顔。
基氏の作家活動。
隠しつつ。
ごまかす。
胸が温かい。
夕方。
碧純が帰宅。
キッチンへ。
夕飯の準備。
鍋の音。
「お兄ちゃん、実家から猪肉届いてたよ」
「シチューにするね」
「美味そうだ」
「いただきます」
「いただきます」
「お兄ちゃん、私、お兄ちゃんの趣味一緒に楽しみたいって思ってるよ」
「へぇ、どういうことだ?」
「寺社仏閣とか史跡巡り、面白そうだからさ」
「お兄ちゃんのルーツにも近づけるかなって」
「お前、俺の過去に興味あるのか?」
「うん、お兄ちゃんのこと全部知りたいから」
「支えたいし」
「ありがとな」
「お前がいてくれるから、俺も三次元が楽しいよ」
「お兄ちゃん、それポイント高いよ」
「またポイントか」
「次はどこ行きたい?」
「実家帰る時に、日立の一本杉寄りたいな」
「パパの手紙で猟手伝えって言ってたし」
「猪か…SUV買ったら帰るか」
「痛車じゃ無理だな」
「イラスト塗り直そうよ」
「スクール水着なんてやめてよね」
「新刊に合わせて変えるのもありだな」
「バカ兄貴!」
「やめてよ!」
碧純が蹴りを入れそう。
基氏が逃げる。
笑い合う。
「お前、実家帰るの楽しみにしてるだろ?」
「うん、パパとママに会いたいし」
「お兄ちゃんと一緒ならもっと楽しいよ」
「俺もだ」
「父さんの猟手伝うのも悪くないな」
「母さん達、俺たちのこと応援してくれてるし」
「うん、ママの手紙にも『幸せになってね』って」
「次帰る時、ちゃんと話そうね」
「あぁ、正直に言うよ」
「お前と一緒なら、なんでも乗り越えられる」
「お兄ちゃん、私もだよ」
「ずっとそばにいるからね」
食後。
基氏が原稿。
机に向かう。
碧純が提案。
キッチンから。
「お兄ちゃん、次帰る時、軽トラで冷凍庫運べるかな?」
「父さんの軽トラなら余裕だろ」
「冷凍庫置くならガレージか」
「うん、冷凍食品充実してるし、猪肉も保存できるよ」
「確かに」
「父さんに牛肉頼むなよ」
「飼い始めるぞ」
「ははっ、パパならやりそうだね」
「田舎の証明だな」
「今度、温泉も連れてってやるか」
「お兄ちゃん、それポイント高いよ!」
二人が笑う。
家族との未来。
具体的に計画。
ワクワクする。
その夜。
碧純が自室。
サブスクを開く。
ベッドに座る。
アニメを物色。
「お兄ちゃんの趣味、もっと共有したいな」
「次は何観ようかな」
画面をスクロール。
『青春豚野郎』の続き。
再生する。
笑顔で。
基氏が自室。
原稿を進める。
キーボードの音。
呟く。
「お前が俺の趣味に付き合ってくれるなら」
「未来も一緒に作れるな」
翌朝。
基氏がリビング。
コーヒーを淹れる。
碧純が朝食。
トーストを焼く。
「お兄ちゃん、アニメの続き観たよ」
「お兄ちゃんの気持ち、ちょっと分かった気がする」
「そうか」
「何が分かったんだ?」
「二次元って、お兄ちゃんの逃げ場なんだね」
「でも、真剣にやってるのも分かるよ」
「お前、理解者気取りか?」
「そだね~」
「三次元でもっと支えたいなって」
「お前がいるだけで十分だよ」
「お兄ちゃん、それポイント高いよ」
二人が笑う。
朝食を囲む。
穏やかな朝。
夕方。
碧純が帰宅。
キッチンで。
シチューを作る。
基氏がソファ。
原稿を読み返す。
「お兄ちゃん、シチューできたよ」
「ありがとな」
「いただきます」
「いただきます」
「お兄ちゃん、今度一緒に史跡巡り行こうよ」
「いいな」
「どこにする?」
「日立の一本杉かな」
「お兄ちゃんの趣味、もっと知りたいよ」
「お前が楽しけりゃ、俺も嬉しいよ」
「お兄ちゃん、それポイント高いよ」
二人が笑う。
シチューを食べる。
温かい夜。
絆が深まる。




