第15話:穏やかな日々と未来への一歩
真壁基氏と真壁碧純。
ネットの噂が一段落した朝。
つくば市のアパート。
リビングに朝陽が差し込む。
二人は朝食を食べる。
オムレツの香り。
味噌汁の湯気。
碧純が笑顔で言う。
スプーンを手に持つ。
「お兄ちゃん、今日のオムレツ」
「ふわふわにできたよ」
「どう?」
「あぁ、美味いよ」
「お前、ほんと専属シェフだな」
「でしょ?」
「お兄ちゃんのために頑張ってるんだから」
「ありがとな」
「お前、俺の大事な女だよ」
碧純が照れ笑い。
基氏の手を握る。
温かい感触。
「お兄ちゃん、噂のこと、少し落ち着いたね」
「私、安心したよ」
「あぁ、声明出して良かったよ」
「お前が学校で変な目で見られなくて済むなら、それでいい」
「うん」
「お兄ちゃん、私のこと守ってくれて、ありがとう」
「当たり前だよ」
「お前がそばにいるから、俺も頑張れる」
二人は笑い合う。
穏やかな朝。
一日が始まる。
碧純が学校へ。
制服のスカートが揺れる。
基氏は自室へ。
原稿に向かう。
キーボードの音。
編集者からメール。
新作の反応が届く。
『茨城先生、読者から大好評です!』
『噂もネタとして楽しんでるみたいですよ』
「……ネタか」
「まあ、収まってりゃいいけどな」
返信を打ちながら。
次作の構想。
「妹物以外も書いてみるか」
「お前との生活が落ち着いた今なら、挑戦できるかも」
呟きが漏れる。
新たな意欲。
夕方。
碧純が帰宅。
玄関を開ける。
キッチンから音。
基氏が料理中。
「お兄ちゃん、ただいま」
「また料理してるの?」
「お帰り」
「あぁ、お前いつもやってくれるから、俺もたまにはな」
「豚の生姜焼きだぞ」
「やった!」
「大好きだよ」
「ありがとう、お兄ちゃん」
テーブルに座る。
生姜焼きの香り。
食事を始める。
碧純がぽつりと言う。
「お兄ちゃん、私、卒業したらどうしようかな」
「お前がしたいことやれよ」
「俺、支えるから」
「うん」
「なら、お兄ちゃんと一緒に暮らして」
「料理上手くなって、ママ達のとこに帰るのもいいかなって」
「……大子か」
「確かに、母さん達も跡取りって言ってたしな」
「うん」
「私、お兄ちゃんと一緒なら、どこでも幸せだよ」
基氏が笑う。
柔らかい声。
「お前、ほんと甘えん坊だな」
「お兄ちゃんの彼女なんだから、甘えてもいいよね?」
「あぁ、いいよ」
「お前、俺の大事な女だからな」
碧純が基氏に寄り添う。
肩にもたれる。
温もりが伝わる。
「お兄ちゃん、私、ずっとそばにいるよ」
「俺もだよ」
「お前と一緒なら、なんでもやれる」
その夜。
二人はリビング。
寄り添ってテレビを見る。
佳奈子から荷物。
手紙と共に届く。
『基氏、碧純、元気にしてるみたいね』
『噂のこと、大変だったみたいだけど、二人で乗り越えたなら強くなった証拠よ』
『そろそろまた帰ってきてね』
『猪が増えてるから、基氏、猟の手伝いお願いね』
「お兄ちゃん、ママ、また帰ってこいって」
「あぁ、猪か」
「父さんが困ってるみたいだな」
「うん」
「私、お兄ちゃんと一緒に猟するの、見てみたいな」
「危ねえからお前は遠くで見てろよ」
「えー、つまんない」
「でも、お兄ちゃんがかっこいいとこ見たいな」
「かっこいいかは分からねえけど、頑張るよ」
二人は笑い合う。
家族との繋がり。
温かく感じる。
翌日。
碧純が学校。
教室でクラスメイトと話す。
窓から春の光。
「真壁さん、噂なくなって良かったね」
「うん、ありがとう」
「ちょっとびっくりしたけど、大丈夫だよ」
「お兄ちゃん、優しいんだね」
「私もそんなお兄ちゃん欲しいなぁ」
「うん、お兄ちゃん、大好きだよ」
笑顔で返す碧純。
心の中。
「お兄ちゃん、恋人でもあるんだよ」
幸せが溢れる。
その夜。
基氏が新作のアイデア。
碧純に話す。
リビングのソファ。
「お兄ちゃん、次、何書くの?」
「妹物も続けるけど、異世界冒険も挑戦してみようかなって」
「え、ほんと!?」
「私、読みたいよ!」
「なら、お前が最初に読む読者な」
「感想頼むよ」
「うん、お兄ちゃんの作品なら、なんでも好きだよ」
基氏が碧純を抱き寄せる。
優しく抱く。
「お前、俺の大事な女だよ」
「支えてくれよ」
「お兄ちゃん、私もお兄ちゃんのこと支えるよ」
「一緒に頑張ろうね」
「あぁ、一緒にな」
二人は抱き合う。
未来への一歩。
数日後。
基氏が編集者に電話。
新企画を提案。
スマートフォンが鳴る。
「茨城先生、異世界冒険ですか!?」
「読者、驚きますよ」
「あぁ、妹物も続けるけど、新しい挑戦だよ」
「どうだ?」
「面白いです!」
「ぜひ進めましょう!」
電話を切る。
基氏はほっとする。
新たな道。
「お前のおかげで、新しいこと始められるよ、碧純」
その夜。
碧純が夕飯を作る。
キッチンで。
シチューの香り。
二人はテーブルで未来を語る。
「お兄ちゃん、私、卒業したら」
「お兄ちゃんと一緒に大子に帰るの、楽しみだよ」
「あぁ、俺もだ」
「作家ならどこでも書けるし、母さん達も喜ぶだろ」
「うん」
「ママ達に、私たちのことちゃんと話そうね」
「あぁ、正直に言うよ」
「お前と一緒なら、なんでも乗り越えられる」
「お兄ちゃん、私もだよ」
「ずっとそばにいるからね」
二人は手を握り合う。
穏やかな日々。
噛みしめる。
数日後。
基氏がネットを確認。
噂の波紋。
ほぼ消える。
小さな書き込みだけ。
『茨城基氏の声明、信じるよ』
『新作楽しみにしてます!』
「これで落ち着いたか」
基氏が呟く。
肩の力が抜ける。
碧純が学校から帰宅。
笑顔で言う。
「お兄ちゃん、今日、噂のこと誰も言わなかったよ」
「あぁ、良かったな」
「お前、心配しなくていいぞ」
「うん」
「お兄ちゃん、私、学校でも頑張るね」
「あぁ、頼むよ」
「お前、俺の大事なパートナーだからな」
碧純が笑う。
基氏に寄り添う。
「お兄ちゃん、私たち、ママ達の期待に応えられるよね」
「応えられるさ」
「お前と一緒なら、なんでもできる」
週末。
二人は大子へ。
実家の玄関。
佳奈子が迎える。
「基氏、碧純、お帰りなさい」
「母さん、久しぶりだな」
「うん、ママ、私たち、帰ってきたよ」
忠信が縁側。
農具を手に持つ。
「基氏、猪狩り頼むぞ」
「分かったよ、父さん」
夕飯のテーブル。
家族が揃う。
鍋を囲む。
「基氏、噂はどうなった?」
「あぁ、なんとか収まったよ」
「碧純、学校は?」
「うん、大丈夫だよ、ママ」
佳奈子が笑う。
優しい目。
「二人で乗り越えたのね」
「強くなった証拠よ」
「あぁ、母さんのおかげだよ」
「うん、ママ、パパ、ありがとう」
忠信が頷く。
静かに言う。
「基氏、お前が跡取りなら安心だ」
二人は顔を見合わせる。
笑顔が広がる。
つくばに戻る。
アパートで。
二人の物語。
新たな未来へ。
噂を乗り越え。
絆が深まる。
佳奈子と忠信の応援。
未来への道。
世間の目。
試練があっても。
二人は愛と信頼で。
乗り越える決意。
それは、二人だけの幸せな未来だった。