第12話:決意と帰路
真壁基氏と真壁碧純。
実家での滞在を終える朝。
朝陽が窓から差し込む。
佳奈子と忠信の承認を得て。
二人の関係は新たな段階へ。
穏やかな空気。
朝食のテーブル。
家族が揃う。
味噌汁の香り。
佳奈子が穏やかに言う。
「基氏、碧純、昨日話したこと」
「ちゃんと覚えててね」
「真壁家の跡取りとして、あなたたちに期待してるわ」
「あぁ、分かったよ、母さん」
「けど、急に言われても頭整理しきれねえよ」
「うん、ママ、私たち、ちょっと考えさせてね」
「でも、お兄ちゃんと一緒にいられるなら、嬉しいよ」
佳奈子が笑顔で頷く。
優しい目。
「そうね」
「急がなくていいわ」
「二人で幸せになってくれれば、それでいいんだから」
忠信が無骨に呟く。
箸を手に持つ。
「基氏、お前、猟の手伝い忘れんなよ」
「猪が増えてる」
「分かったよ、父さん」
「次帰る時にな」
朝食後。
二人は荷物をまとめる。
駅へ向かう準備。
佳奈子が玄関で見送る。
手作りの漬物を渡す。
「基氏、碧純、これ持って帰りなさい」
「つくばで食べてね」
「ありがとう、母さん」
「うん、ママ、ありがとう」
「また帰ってくるね」
忠信が縁側から。
手を振る。
無言の笑顔。
二人は水郡線に乗り込む。
電車の中。
ガタゴト揺れる。
山間の景色。
緑が流れる。
碧純が基氏に寄り添う。
肩が触れる。
「お兄ちゃん、ママ達が認めてくれて」
「なんか安心したよ」
「あぁ、俺もだよ」
「けど、世間がどう思うか、まだ分からねえな」
「うん」
「でも、私、お兄ちゃんと一緒なら」
「なんでも乗り越えられるよ」
「……お前、強くなったな」
「だって、お兄ちゃんがそばにいるからだよ」
基氏は碧純の手を握る。
温かい感触。
窓の外を見る。
山が遠ざかる。
つくば市への帰路。
アパートに戻る。
玄関を開ける。
荷物を解く。
リビングで一息。
ソファに座る。
「お兄ちゃん、夕飯どうする?」
「実家から持ってきた漬物あるだろ」
「それで何か作ってくれ」
「うん、じゃあ、簡単な炒め物にするね」
碧純がキッチンに立つ。
包丁の音。
油が跳ねる。
基氏は原稿に向かう。
机に座る。
新作の締め切り。
迫っている。
だが、心は軽い。
キーボードを叩く。
「母さん達が認めてくれたなら」
「もう逃げなくていいのか」
呟きながら。
執筆が進む。
碧純が料理を運ぶ。
テーブルに置く。
「お兄ちゃん、ご飯できたよ」
「山菜炒めと味噌汁だよ」
「美味そう」
「いただきます」
「いただきます」
食事を始める。
山菜の風味。
味噌の懐かしさ。
碧純がぽつりと言う。
「お兄ちゃん、私たち、これからどうする?」
「どうって……一緒に暮らすだろ」
「お前が学校卒業するまでは、ここでな」
「うん」
「でも、その後は?」
「ママ達、真壁家の跡取りって言ってたよね」
「あぁ、そうだな」
「俺、作家ならどこでも書けるし」
「大子で暮らすのもありか」
「私もいいよ」
「お兄ちゃんと一緒なら、どこでも幸せだよ」
基氏が笑う。
柔らかい声。
「お前、ほんと甘えん坊だな」
「だって、お兄ちゃんの彼女だもん」
「甘えてもいいよね?」
「あぁ、いいよ」
「お前、俺の大事な女だからな」
碧純が基氏に寄り添う。
肩にもたれる。
温もりが伝わる。
「お兄ちゃん、私、ずっとそばにいるよ」
「俺もだよ」
「お前と一緒なら、なんでもやれる気がする」
その夜。
二人は寄り添って眠る。
新たな日常。
兄妹を超えた関係。
根付きつつある。
翌日。
碧純は学校。
教室でクラスメイトと話す。
窓から春の風。
「真壁さん、実家に帰ってたんだって?」
「どうだった?」
「うん、楽しかったよ」
「家族とたくさん話してさ」
「お兄ちゃんとも会えたんだよね?」
「いいなぁ」
「うん、お兄ちゃん、大好きだからね」
笑顔で返す碧純。
だが、心の中。
「お兄ちゃん、恋人でもあるんだよ」
呟く。
胸が温かい。
一方、基氏。
アパートで電話。
編集者から連絡。
スピーカーが鳴る。
「茨城先生、新作の進捗どうですか?」
「あぁ、順調だよ」
「もうすぐ送れる」
「良かった」
「読者、妹物楽しみにしてますよ」
「……分かった」
「けど、そろそろ違うジャンルも挑戦したいな」
「え、マジですか?」
「でも、茨城先生の妹物は唯一無二ですよ」
「そうか」
「なら、もう少し続けるよ」
電話を切る。
基氏は苦笑。
原稿を見つめる。
「お前のおかげで、妹物しか書けねえよ、碧純」
その夜。
碧純が帰宅。
玄関を開ける。
基氏がピザを注文済み。
箱がテーブルに。
「お兄ちゃん、またピザ?」
「あぁ、都会の味だろ」
「お前、好きだろ?」
「うん、大好きだよ」
「お兄ちゃんもね」
二人は笑い合う。
ピザを食べる。
チーズが伸びる。
未来を語る。
「お兄ちゃん、私、卒業したらどうしようかな」
「お前がしたいことやれよ」
「俺、支えるから」
「うん」
「なら、お兄ちゃんと一緒に暮らして」
「料理とかもっと上手くなりたいな」
「いいよ」
「お前、俺の専属シェフになれ」
「やった!」
「お兄ちゃん、私のことちゃんと見ててね」
「あぁ、見てるよ」
「お前、俺の大事な女だからな」
二人は手を握り合う。
新たな決意。
胸に抱く。
数日後。
基氏が原稿を仕上げる。
パソコンを閉じる。
碧純がキッチンで。
夕飯の準備。
「お兄ちゃん、新作終わった?」
「あぁ、やっとだ」
「お前のおかげでな」
「私のおかげ?」
「そうだよ」
「お前がそばにいるから、書けた」
「嬉しいよ」
「お兄ちゃん、私、もっと頑張るね」
「あぁ、頼むよ」
「お前、俺の大事なパートナーだからな」
碧純が笑う。
鍋をかき混ぜる。
「お兄ちゃん、私たち、ママ達の期待に応えられるかな」
「応えられるさ」
「お前と一緒なら、なんでもできる」
実家での対話。
二人の絆を強める。
佳奈子の思惑通り。
真壁家の未来。
見えてきた。
だが、その夜。
基氏が考える。
ソファに座る。
世間の目。
将来への不安。
「お前と幸せでも」
「世間がどう見るか……」
碧純が近づく。
基氏の隣に座る。
肩を寄せる。
「お兄ちゃん、何か悩んでる?」
「あぁ、ちょっと世間のことだよ」
「俺たち、兄妹って知られてるからな」
「うん、私も少し怖いよ」
「でも、お兄ちゃんと一緒なら、大丈夫だよね?」
「あぁ、大丈夫だよ」
「お前がそばにいれば、なんでも乗り越えられる」
碧純が基氏の手を握る。
強く握る。
笑顔。
「お兄ちゃん、私、頑張るよ」
「俺もだよ」
「お前と一緒なら、なんでもできる」
つくば市での生活。
続き、二人の物語。
新たな章へ。
実家の承認。
絆を深める。
だが、世間の目。
未来への不安。
まだ影を落とす。
二人の愛。
試練を乗り越えられるのか。
それは、二人だけの秘密。
幸せに満ちた未来。
時間だけが知っていた。




