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喉元過ぎれば熱を忘れる  作者: 粗茶の品
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クラスの出し物に戻るまで


「先輩ってこの後暇ですか?」


 廊下を少し歩いていると浅羽の友達らしき女子生徒が拓哉に尋ねた。


「1時間ぐらいなら空いてるかな」


「じゃあ、一緒にまわりません?」


 女子生徒はなんだかウキウキしたような顔で誘ってくる。


 やることもないし、誰かと待ち合わせしている訳でもないから問題ないだろう。


「別にいいよ」


 拓哉が返事をしたのを聞くと女子生徒は「あ!」と何かに気づいたような様子を見せた。


「すみません。私、ちょっとやることあるんで先に行っといてくれませんか?あとで合流します」


 拓哉が返事するよりも先に言うことを言って女子生徒はさっさと行ってしまった。


 誘ったのだから、誘った本人は残っておいて欲しいというのが本音だった。しかし用があるのなら仕方がないだろう。


「どこ行ってようか?」


 拓哉は浅羽に話しかける。浅羽は何か驚いているようですぐに返事はない。


 勝手に話を勧められて、勝手にこんな状況にされたのだから驚きもするだろう。


「......外行ってもいいですか?」


「いいよ」


 浅羽に提案されると拓哉は受け入れて一緒に外に向かった。


 学校内は外、校舎内どちらも朝来た時よりも当たり前ながら人が増えていた。


 外にある屋台を適当に見て回る。


 食べ物を置いている屋台を見るとだんだんお腹が空いてきた。時刻は12時15分。昼ご飯にはちょうどいい時間だ。

 ふと横を見ると浅羽も屋台の方を見ている気がする。


「お腹空いたの?」


「え......えっと、その」


「俺もお腹空いてきたし何か食べて待ってない?」


「そ、そうですね」


 浅羽はうんと頷いた。


 拓哉達は近くにあった焼きそばの屋台に買いに行く。人も並んでいたので購入するまで少し時間がかかった。


 商品を受け取ると近くにあったベンチに座って黙々と食べ始める。何を喋ればいいのかわからなくてうまく会話を切り出すことができなかった。


「あ、いたいた」


 食事をしているとあの女子生徒がやってきた。随分と時間がかかったようだが何があったのだろうか。


 女子生徒はスマホを片手に持っている。浅羽も食べ始める前まではちょくちょくスマホを見ていたのでどこにいるのかやりとりをしていたのだろう。


「何してたの?」


「それは企業秘密ですよ」


 女子生徒はニコニコした笑顔で言う。前に出ると浅羽の横に座った。


「私もお腹空いてきたし、何か買ってこようかな?」


 女子生徒は席を立つとすぐにどこかへ行ってしまった。


「マイペースだね」


「すみません。いつもああなんです」


「謝ることじゃないよ。ああやって自分のペースでいられるのも長所だよね」


 きっと多くの人は周りを気にして自分の行動を制限するまたは変えてしまうと思う。その中で自分の意見を貫けるのは強みだと拓哉は思う。


 料理を食べ終わって拓哉は時間を確認した。12時40分、クラスでの仕事の時間は刻々と近づいていた。あの女子生徒はあれから10分ほど経っているがまだ戻ってきていない。


「ごめん。そろそろ時間だから行くよ」


 これ以上2人の間で行動するのは迷惑になるかもしれない。だとすれば早めに着くことになってもさっさと離れるべきだろう。


「ありがとう」


 拓哉は軽く一礼するとその場を立ち去った。


 校舎内は外よりも道が狭いからか人が多く感じる。

 少し歩いていると教室についた。


 拓哉は客に渡す係なので身だしなみを整える。ここに来るまでに男子用の更衣室に寄って着替えてきた。

 一応コンセプトが設定されているため、接客をする人は同じ服装をすることになっていた。


 ドアを開けて教室に入る。中には10数人の客が席に座っていた。


「ちょっと早いな」


 手が空いているらしい男子生徒が話しかけてきた。もちろん拓哉と同じ格好をしている。

 拓哉と同じ時間の他の人はまだそこまで来ていないようだ。


「まぁ、やることもなかったし。今どういう状況?」


「一旦は接客が終わっただけど。あ、いらっしゃいませ」


 話しているとちょうど客が入ってきた。どうやら休んでいる暇はないらしい。


 拓哉は早く来たがそのままクラスでの仕事を始めた。

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