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喉元過ぎれば熱を忘れる  作者: 粗茶の品
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文化祭2日前


 拓哉とクラスメイトは教室で文化祭の準備に勤しんでいた。


 文化祭まであと2日。今日の皆んなの気合いは昨日よりも断然入っているように見えた。

 拓哉のクラスは喫茶店をやることにしているがなかなかうまくできているとクラス全員が思っていて当日が楽しみになっている人が多いようだった。


 窓の外を見ればもう陽が傾いてきている。

 最初のほうはほとんどの人が準備を手伝っていたけれど、部活や他の用がある人が教室を出ていって今教室の中にいる人はクラスの半分ぐらいになっている。


「道原。これ持っていくの手伝ってくれるか?」


 クラスメイトの1人が話しかけてくる。手を見るとちょっとした小道具を手一杯に持っていた。


「わかった」


 拓哉は立ち上がると指で指し示された袋を持ってその男子生徒と歩いていく。


「なぁ、道原」


「何?」


 男子生徒が廊下の途中で話しかけてきた。


 この人はクラスの中では喋る方だ。おちゃらけた賑やかしキャラの一員としてクラスの中では見られている。


「道原って姫崎さんと仲いいの?」


 拓哉は思わずため息が出そうになった。


 夏休みが明けてからしばしば聞かれることがあったが最近は落ち着いてきていてもう聞かれることはないと思っていた。


「仲悪いとは思わないけど」


「いつから仲良くなったの?」


「いつって......、夏休み前ぐらい?」


 姫崎と図書室であったのが6月の下旬ぐらいだったはずだからおそらくそれぐらいだろう。


「そっか」


 男子生徒は急に黙ってしまった。


 何か思うところがあったのだろう。大体の聞いてきた人はもう少し質問してきたからこんな場合は珍しかった。


 準備室について荷物を置く。大体のものは使われて買ったもののほとんどが加工されて今ここに保存されている。

 荷物を置くとすぐに教室に戻った。


「それじゃ。俺先に帰るよ」


 あれから少し経って次第に人も少なくなっていく。気がつけばもうほとんどの人がいなくなっていた。


「今日はこれくらいで終わりにしましょ」


 学級委員の女子がクラス内にそう伝える。ちなみに学級委員の男子は部活で先に帰っていた。


 拓哉もやっていた作業をやめて片付けに移る。やっていたといってもちょっとしたことではあるが。


 教室内に誰もいないことを確認すると学級委員が鍵をかける。そのまま学級委員が職員室に鍵を返しに行ってくれた。


 拓哉はゆっくりと廊下を歩く。


 この時間まで残ることがそこまでないから拓哉は不思議な気持ちになっていた。もの珍しくなんとも言えない感情を抱いている。


「道原くん」


 声のした方を向くと姫崎が立っていた。


「どうしたの?」


 姫崎は先に教室を出ていたからてっきりもう帰ったのだと思ったがどうやらそんなことではないらしい。


 姫崎は拓哉と肩を並べて歩く。姫崎の顔は夕陽で少し赤くなっていた。


「ねぇ、文化祭。図書委員でも仕事あるんでしょ。いつから?」


 図書委員はスタンプラリーをやることになっている。スタンプ自体はその場に設置してあるのだが図書室で受付を順にやることになっていた。


「11時からだったと思う」


 拓哉は運のいいことに早めの時間に組み込まれることができた。


「クラスは確か1時からだったよね」


 拓哉は「うん」と返事する。


 図書委員は早めに組み込まれたがクラスは多そうな時間帯に入ることになった。やれと言われればやるだけだがそれでも少し気が重くなる。


「そのあとは空いてるの?」


「たぶん何もなかったと思う」


 部活に入っているわけでもなければ何か個人的に出し物的なことをやる予定もない。


「そ、それじゃ、さ。一緒に、回らない?」


 姫崎は少し歯切れ悪く言う。


 何だか照れているような気がするが夕陽で赤くなっていて顔の赤さはよくわからない。


「クラスのが終わってからならいいよ」


「やった」


 姫崎の口元が少し綻んだ気がした。


 何がかはよくわからないが嬉しいと感じてくれているのなら何よりだ。

 このような誘いがあるということは姫崎の番は拓哉よりも前にある、もしくは結構後にあるということだろう。クラスで一斉に決めたのに拓哉は特に覚えていなかった。


「俺でいいの?もっと他の女子とかじゃなくて」


 別に嫌なわけじゃないし文句を言うつもりなんてさらさらないけど拓哉は純粋に気になった。


「うん。もちろん」


 姫崎は拓哉に笑いかける。それを見て拓哉はドキッとした。

 なんだか嬉しいような気もする。


「それじゃあ、当日どこで会うとか決めとかないとね」


「そうだね。どうしよっか?」


 拓哉と姫崎は文化祭当日の予定について話し合った。その間はほぼほぼ会話が途切れることなく続いた。

 まだ前日でもないのに話がはずむ。しかし、いつの間にか話が脱線していることもあった。

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