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喉元過ぎれば熱を忘れる  作者: 粗茶の品
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動き出す通知音


 拓哉は自分の部屋へと戻り机に置いてあるスマホを手に取った。

 通知は何もきていない。来るはずもないのだが。


 拓哉はロックを解除しアプリでメッセージを打ち始めた。

 このアプリは自分のものと相手のものが同じ画面に表示されてそのまま返信もできるものだ。

 宛先は加藤真央。拓哉の知り合いの中で最も一年生の事情を知っていそうな人物。


『相談したいことがあるのですがよろしいですか?』


 拓哉は送信すると一旦画面を消した。


 いつ返事が来るかはわからない。返信が来るまで本でも読んで待つことにした。

 しかし本を開いたと同時にスマホの通知音がなった。画面をつけて確認すると返信が来たらしい。


『一体何の用かな?』


 拓哉は返信を打ち始めた。


『中橋さんについて何か知ってますか?』


 どう切り出せばいいのかわからなくなったのでとりあえずこのまま返信した。


『それはどういうこと?あの子に何かあったの?』


『今日はそのことについでなんです。あまり人には知られたくないと思うので自分の中に留めておいていただけると助かります』


『何があったの?』


 拓哉は今回の件の経緯を話した。


 紗良の時とは違い名前を出したがいじめている人のことを知るには伝えなくてはいけないだろう。拓哉は伝えなくても良いほど器用ではなかった。

 それに加藤ならばなんとなく察せられると思ったからだ。


『それでいじめてる人に何か心当たりはありませんか?』


『だから最近来てなかったんだね。心当たりかぁ。教師に聞いても簡単には教えてくれなそうだもんね』


 教師に聞いてみるという手は拓哉も思いついたが個人的なものにも繋がるためそう易々と話してはくれないだろう。そもそも拓哉は中橋の担任が誰かわからない。ちゃんと事情を話せば教えてくれるだろうが。

 それにそうやって教師に話されるのも中橋にとっては嫌なことかもしれない。


『私はわからない心当たりに聞いてみるよ』


『必要な時以外は名前とか出さないであげてくださいよ』


『わかってる』


 一年生のいじめについて何か知ってる?みたいな感じで聞けばできるだけは抑えられるだろう。


 それからは何も送信されてこなかった。拓哉からも送るものは特になかったからスマホを閉じた。


 少し疲れたのでベッドで横になる。


 よくよく考えればこれは拓哉が勝手にやっていることで誰かに頼まれたからとかそういった理由はない。

 中橋にとってみればこれはいい傍迷惑でして欲しくないことかもしれない。

 そう考えれば自分がやったことは間違いな気がしてきた。

 申し訳ないという気持ちが溢れてくる。

 しかし動き出してしまった。もう止まらない。

 一旦このまま寝てしまおう。


 拓哉は目を閉じた。申し訳ない気持ちををゆっくり噛み締めながら。


 

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