表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喉元過ぎれば熱を忘れる  作者: 粗茶の品
10/71

家の外での日曜日


 日曜日なこともあってか、外ではいつも以上の人が道を往来していた。


 妹が家に友達を迎えているため邪魔にならないよう、そして昨日の不気味な頼み事を避けるために拓哉は出掛けている。

 紗良は今日の朝も一度同じことを頼んできた。もちろん拓哉は断ったが友達の前で直接有る事無い事いいそうなので外に逃げてきた。

 流石に本人がいなかったらこんな嘘はつかないだろうし、言ったとしても実証出来ないから信じられはしないだろう。


 何となくここら辺で1番大きい公園に来ているが、目的を持って来た訳じゃないから当然やることがなかった。

 周りを眺めると無邪気に遊ぶ子供達、それを見ている保護者らしき人、ベンチに座っているおじいさん、公園の横を通り過ぎる同い年くらいの人、その他諸々色んな人がいる。

 ふとスマホを取り出し時間を見ると12時30分と書いてある。11時半に家を出たから1時間程時間が経ったらしい。

 さっき図書館に寄ってそこを出た時は12時5分で図書館からここまで15分ほど時間がかかるので公園に10分程度いることになる。


 そろそろ昼時かと拓哉はベンチから立ち上がった。

 まだ昼飯を済ませてないのでお腹が空いてきた。家にはまだ戻れないから今日はたまに訪れるラーメン店に行くことにした。


 昼ご飯を済ませると拓哉はまたやることがなくなった。時間を確認すると今は13時20分程だ。

 目的はないがひとまずショッピングモールが近くにあるためそこに行くことにした。


 ショッピングモールの中は当たり前のように多くの人が行き交っていた。


 拓哉はまず本屋へと向かった。

 別に欲しい本がある訳じゃないけれど気になるものは見つかるかもしれない。


 本屋は人は多いが賑やかさ的にはあまり普段と変化はなかった。

 拓哉は小説が置いてある棚へ向かってしばらく面白そうなものがないか物色することにした。


「道原さん?」


 拓哉が本を見ていると聞き覚えのある声で名前を呼ばれた。声のした方を見ると浅羽が立っていた。


「奇遇ですね」


 浅羽は屈託のない笑顔を拓哉に見せた。

 浅羽は少し小柄で髪が肩まである可愛らしいタイプの女の子だ。


「そうだね。欲しい本でも買いに来たの?」


「はい。今日は好きな作家の新作の発売日でそれを買いに」


 浅羽は屈託のない笑顔を作りながら言った。


「道原さんも何か買いに来たんですか?」


「いや、今日はこれといったものはなくてなんとなく来ただけ。良かったら、お勧めの本とか教えてくれない」


「いいですよ。何か好きなジャンルとかあったりしますか?」


「特にはないかな。大体何でも読めるよ」


 拓哉がそう言うと浅羽は考え込んでしまった。


 これまで色んなジャンルを読んできたが苦手なものとかは特になく、面白いものは面白かった。それにバッドエンドが好きとかハッピーエンドしか認めないとかそういうこだわりもない。


「浅羽さんは何かある?」


「私もどんなジャンルでもいけますよ。ホラーとか異世界転生とかも好きですし」


「それじゃあ、今までで一番ハマったやつ教えてよ。あ、無理には決めなくていいから」


 浅羽はまた考え込んでしまった。

 少し間が空くと何かが決まったかのように顔を上げた。


「やっぱり1番を決めるのは無理ですね。近くにあるしこれとかどうですか?」


 浅羽は目の前にある本棚の端から1冊の本を取って拓哉に見せた。


「これは、ある女の子がある日死神と天使に出会うんですけど死神と天使は直接現実に干渉できないから女の子が協力して問題を色々解決していく話なんですけど、女の子の話とかがわかってくると感動してほんとに面白いんですよ」


 浅羽は内容についてなるべくネタバレにならないよう配慮しながら熱弁した。


 聞いているだけではちょっとよく分からないところもあったが拓哉は本とはそういうのでもいいと思っていた。

 わからないからこそ先が気になるし、わからないからわかった時の感動が膨れ上がるのだと。


「面白そうだね。せっかくだし買っていこうかな」


「面白いですよ」


 浅羽は笑いながら持っている本を拓哉に渡した。


 買うものもできたので拓也達はレジに向かった。


 会計が終わって店を出ると浅羽が「ごめんなさい」と言いながらスマホを取り出した。

 スマホを見ると浅羽は「えー」と呟いて肩を落とした。


「私は用事ができたのでもう帰ります」


「そっか。今日はありがとう」


「こちらこそありがとうございました」


 浅羽は笑顔を見せながらそう言うと振り返って立ち去っていった。


 時間を確認すると14時を過ぎたぐらいだった。


 紗良の友達がいつ帰るかわからないので15時ぐらいに帰ろうと思い、残りの時間はさっき買ったばかりの本を読んで過ごすことにした。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ