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喉元過ぎれば熱を忘れる  作者: 粗茶の品
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1週間の終わりかけ


「道原って、好きな人いる?」


 図書室に入ってからの知り合いの第一声がそれだったので道原拓哉は思わず驚いた。


「いや、いないけど。一体何?」


 こんな問いかけをしてきた知り合いこと水田晃一は拓哉に妙に真剣な顔を向けた。


「そうなんだ。ちょっと聞いて見たかっただけ」


 こちらの顔をじっと見つめてきたのでそんなことなら少しでも仕事を手伝って欲しいと思いながら拓哉は水田から顔をそらした。


 こういう場合は大抵裏がある、そう言った経験が多いわけじゃないけれど何となくそう思った。


 今は学校の図書委員でこの場にいる。

 この学校の図書委員は各学年の各クラスから1名を選び、特に大きな用事のない場合は放課後割り振られた1週間を3名で仕事をする。

 仕事と言っても大したものではなく、本の貸し出しの受付と棚の整理ぐらいだ。

 

「すまん。俺これからちょっと用事があって」


「今日もか?」


 拓哉は若干呆れながら言った。

 今日は木曜日だがこの1週間今のところ毎日こう言って仕事の途中で帰っている。

 3名のうちのもう1人は体調が悪いらしくこの1週間ずっと休んでいて水田に帰られると拓哉は1人で仕事をしないといけなくなる。


「その顔信じてないな。今週はほんとに用があるんだって」


「わかった、わかった。さっさと行ってこい」


 図書委員はその役になると一年間やり続けなければいけなく、放課後の仕事の3人組は最初に決めることになっていて希望がなければ変更はない。

 水田とは1年の頃からずっと一緒にやり続けてきて仕事をすっぽかすような奴ではなかったため本当に用事はあるんだろう。


 1人になったとしてもやること自体は大変ではないし仕事に対しては問題ない。

 しかし、元々複数人でやることを1人は休んでいるため仕方ないとはいえ、自分だけでやらなければいけなくなるということが引っかかってしまう。

 最初から1人でやる仕事だったとしたらこんな考えも出てこなかっただろう。


 そんなことを思いつつ拓哉は手を追い払うように動かしながら言った。


 水田は置いていた鞄を持つと「すまん。また明日」と言って出て行った。



 最低5時半までこの仕事を続けないといけないのであと約2時間ほどある。


 拓哉は読みかけていた本を開き、暇な時間を潰すことにした。



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