元カレからの手紙
初投稿作品です。
私‐本多 千尋‐には高校生時代、一人彼氏がいた。その彼‐鈴木 晃‐からもらった手紙を今でも大切にしている。その手紙は彼にフラレてから3ヶ月後ぐらいに渡されたものだ。何回目かわからないが、気づいたら今日も読んでいる。
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千尋へ
こんなふうに手紙で伝えるのはずるいと思うが、許してくれ。
僕は君をフッたが僕はまだ君のことが好きだ。これ以上仲良くなったら後々しんどくなるだろうから別れを告げたんだ。
要するに僕が怖かったからフッたんだ。ごめん。
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会えなくなって数年立つけど、私もアキラのことはまだ好きだよ。
アキラは今何してるの?何回読んでも同じことを考える。
窓に雨が打ち付け始めた。
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謝ってばかりだから楽しかったことを書こう。
初めてのデートは楽しかったね。ちーの私服はいつもと違う雰囲気で可愛くて良かったなぁ。
体育祭のときも楽しかったな。リレーで1位になったとき、ちーが駆け寄ってきて「かっこよかったよ。」て言ってきたとき本当に嬉しくて死ぬかと思った。
あとバレンタイン。僕にチョコを渡すとき、ちーはすごい赤くなってて可愛かったよ。
他にもいろんなことがあったな。
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「本当にあの頃は楽しかったなぁ。」
私は少し鼻声になりながらつぶやいた。
本当にたくさんの思い出があり、あの頃の私が一番幸せだったかもしれない。
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楽しかったこともあったし、しょうもないことで喧嘩したこともあった。
それも全部含めて君と一緒にいれた期間はほんとうにたのしかった。
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私も一緒にいれて本当に良かった。
雨が強くなり、窓に激しく打ち付ける。
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最後になるけど、これを読んでいるということは僕はもうこの世にいないのだと思う。
僕が死んだことなんか気にせず人生を楽しんでほしい。
君が幸せだと僕も嬉しいから。
晃より
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私は最後まで読み、その場で崩れ落ちて泣いた。
アキラは難病にかかり、病気が見つかったときには治せないほど進行していたらしい。
私は突然フラれて混乱したが、アキラのことが好きだったから復縁しようと思っていた。
しかし、アキラは学校に来なくなった。心配になり彼の家に行ったところ、手紙を渡され、彼の親に真実を告げられた。
「私、アキラが死んだときから何も楽しくないよ。」
雨が窓を打ち付けるなか、小さく嗚咽の音が響いた。
別視点の「大切な人たちへの手紙」を書きました。
シリーズにしているのでぜひ読んでください。