SDGs(三十と一夜の短篇第84回)
この国はこれから少子高齢化、緩やかな衰亡へ向かいつつある。
人類は飽和しつづけるので、食料危機に備える。これからはゴキブリを主食とし、蛋白源を確保する。
牛を食うために飼育をつづければ、牛のゲップで二酸化炭素が満ちる。環境のため、牛は絶滅させる。
他生物の命を奪う肉食を廃止し、人類は昆虫食と菜食へ移行すべきである。
すべての人類が分け隔てなく、文明の恩恵にあずからなければならない。あまねく電気を行きわたらせ、等しく高い教育を敷衍する。
人類はただちに森林の伐採を止め、海洋汚染を止めなければならない。二酸化炭素を吐きだして地球を汚しつづけるというのなら、金を払って私の許可を得なければならない。2030年までに私が理想とする世界を実現させるべく、目標達成に向けて邁進する。
そんなでまかせガキでも信じねえ。