世界のおはなし
あなたの心の声を聴く
底にあるものを拾い上げて
まるでそれは
骸を苗床にして生まれた言葉
言葉たちが
魚になり泳ぎ
小鳥になりさえずり
山の向こうへと響き
海を渡る
地平線を渡る
水平線の向こうに
どこか懐かしい
あなたがいる
私が今
この詩をしたためようとしている瞬間にも
日が暮れて
あなたはカタカタと
時の歯車を回す
古い映写機みたいに
スクリーンに映し出された夢に
ボンヤリとまどろみながら眼をこする
今日の気持ちを忘れないようにして
うたた寝する前に
宇宙みたいな
ゴム風船をふくらます
星とスヤスヤ眠るころ
何の罪もない子どもたちと遊ぶ
誰かの声がする
夢の中
何か言おうとして
忘れる
ここがどこかさえも忘れて
また夢からさめる
なんてことのない普通の一日が始まって
また忘れて
どこかへと向かうのか?
何かから生まれて
宇宙の扉とか
見たこともないはずなのに
妄想して
この惑星は特別製で
いつも何かが生まれて
いつも何かが──
また生まれる
そんなつぶやきを一人でかかえて
泡の中で眠りながら運ばれて
何処かへと
母なる闇へ──
闇は、何から生まれたのだろう?
宇宙より果てしない謎々は
アインシュタインでも解けなかった
だけどお腹が減る
トイレにも行く
大人になれば働かなくっちゃあいけない
そうやって
だんだん動かなくなって
いつかは──けど。
世界は本当の秘密を隠して僕らをクルクルと回す
僕らは時間そのものだから
消えてはまた──生まれて
何処へ行くのだろうか?
僕らは眠りから覚めぬまま……
目を閉じている。
いつか僕らが目覚めたのなら……
世界も神様も、びっくりするだろうか──?