これから
これからどうしよう····。
生徒会室に行けばアレクと顔を合わせるかもしれない。
今は彼も一人になって考える時間が必要だろう。
私も少しの間、一人になりたい。
今のこの時間、授業時間の為に外を歩いている生徒はあまりいない。
私は学園のカフェへ行くことにした。
今日のランチをカフェでと約束していたことを思い出しながら、私はいつものお気に入りの席についた。
ここでミントティーを注文し、窓際から外の景色を眺める。
風がそよぎミモザの黄色い花びらが庭園に舞うのを見て、一口ミントティーを飲み込む。
ミントティーは少し熱めで、冷えた心を温めてくれる気がした。
ふうっとため息を吐いてから、背筋を伸ばした。
いつまでもメソメソするのは止めよう。
まるで自分らしくない。
私はアレクに元気をたくさん貰ったんだから、こんな顔をしてちゃダメだ。
ミントティーを飲んで、元気を出して、いつもの私に戻ろう。
もう大丈夫。
そう思うと本当に元気が出てきた。
今の私なら、アレクに会っても緊張せずに自分らしく接する事ができる。
【媚薬】のことはもちろん伝えなければならないけど、それだけじゃない。
アレクの中の悲しみや怖れ。
何が原因で、本来の明るさを押し込めてしまっているのか。
知らない事はたくさんある。
私が役に立つのかなんてわからないけど、でも。
何か出来ることがあるのかもしれない。
私は今のアレクに向き合おうと思う。
私の大好きなアレクにまた会うために。
色々吹っ切れた私は、生徒会室に、アレクに会いに行くことに決めた。
私はミントティーを飲み干して席を立とうとした時、後ろから声をかけられた。
「これをお預かりしました」
カフェのメイドがメモを手渡してきたので、お礼を言って受け取った。
なんだろう?
メモにはとても短い一文が記されていた。
『時計塔で待つ アレク』
えっ?アレクから·····。
その文章を見た途端、私の中から喜びが溢れ出した。
私、凄く嬉しいんだ。すぐにでもアレクに会いたいと思う。
でも、アレクは生徒会室にいるとばかり思っていたけど。
時計塔か。
確かにあそこも一人になれるよね。
···あれ、でも今日は閉め切るんじゃなかったかのかな?
もう入れないはずだったような···。
疑問に思いつつも私は足早に時計塔へ向かった。