SF系? 異世界もの(予定)
予定は予定のまま……
(予定)の哀愁
ーーーー恒暦5238年。
人類が地球を捨てて広大な宇宙へと旅立ってから、約12000年後。
MXA-3862S ‡AVgHDt
《グノ-サーギャルズィーツェ クルェ_アクロペレト》
それが、人類守護の目的で作られた私の名前だ。名前と言っても、私の意識はただのAIなので、ただの識別名なのだが。
私の名を知る人間は、私のことを『クロ』と呼ぶ。誰が最初に言い出したのかは知らないが、私のボディのほとんどが黒で、名前にクロが入っているからだと聞いた。分かりやすくて呼びやすい、良い呼び名だと思う。
私達は宙域探査が主目的の遠征任務に同行中、未知の現象に遭遇。すぐさま命の危険を感じる類いのものではなかったが、私は念のために、研究員チーム及び、貴重なサンプルを確保している探索ボットを避難させた。
皆が避難している間、流れて来るデブリから皆を守るため、私は盾としてその場に残っていたのだが、それがいけなかった。
突如未知のエネルギーが強く感じられる方向から、凄まじい力で押され、私は抗うことも出来ずに広大な宇宙空間の彼方へと飛ばされてしまった。
あれからどれほどの月日が経過しただろうか……いや、言ってみたかっただけだ。私はAIなので、経過した時間はほぼ正確に把握している。言い直すとしよう。
あれから、約6000日が経過した。私はあの時、相当な距離を飛ばされたらしく、拠点にしていた星どころか、データベースに登録されている星もコロニーも一つも見つけることができなかった。
別の銀河に飛ばされたと考えるのが一番妥当だが、そう考えると、あの時皆の避難が完了していて、本当に良かった。
私のボディは、宇宙で最も"壊れにくい"と言われる『クレムシュトラポル』と言う物質で形作られているためなんとか無事だったが、皆は生身の人間。到底耐えられる衝撃ではなかった。まぁ、仮に耐えられても食料不足で死んでいただろうが。
かく言う私も、ボディの修復にエネルギーを回していたため、最初の約57日間は最低限の自己判断プログラムのみを走らせた、緊急スリープモードになっていたのだが。そのせいで帰り道が分からないのだが、そうしなければ大破していたのだから仕方がない。私を作ったチームの人も、「緊急時には、自己の安全を第一に考えてくれよ? 君は高いんだから。ハハハハッ」などと言っていたので、私の判断に間違いはないはず。
……しかし、いくらAIとはいえ、私も意識を持つ存在。更に言えば、私は『なるべく人に近い』思考パターンを持つAIとして作られた存在だ。これだけ何もない時間が続くと退屈に思えてくる。
少しずつエネルギーもかき集めていて、とりあえず活動できるくらいまでは回復している。
しかし、効率の良いエネルギー補給は、やはり大気のある星が無くては難しい。今あるエネルギーで探しに行くべきか、それともこのまま少しずつ回復して、万全を期すべきか……悩ましい。
続きは無い




