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しにたみ住人の同居人

作者: SuikA

リトは本名を理人という。名付け親の両親曰く、ドイツ語の光という意味かはよく知らなかったけどリヒトって名前何だか響き良くない?理系っぽく頭良くなって欲しいしなんかいい感じ!という願いを込められたという。

リトはお名前はどのような漢字をお使いになるかお知らせ下さいと聞かれれば、決まって理科社会の理に人間の人ですと説明するのであった。対して、にーしたはリトの名前の記入を求められればカタカナ2文字でリトと記した。リトはそれを初めこそ毎回訂正していたが、にーしたがあまりに覚え直さないのでついには諦めた。

リトは人付き合いの苦手を自負している。自分以上はいないと思っていたが、にーしたと出会って考えを改めることとなった。にーしたはリト本人からそれを伝えられると「井の中の蛙の上には上がいるね。」と真面目な顔で答えた。

リトは一日三食の食事をとても大事にしている。ある程度の自炊を難なくこなす事が出来、元々の性格がマメであると言える。人より少し器用な方ではあるが、それをアテにされてしまうとどうしようもなくウンザリしてしまう癖があった。

冷蔵庫の野菜室から葉物を数種類を取り出すと軽く洗い、まな板の上に乗せた後、包丁が一定のリズムを刻む。適当な大きさに揃えられた葉物を沸騰した湯の中に投入すれば一瞬にして緑華やぐ様はいつ見ても飽きる事がない。

「ウサギの餌かよ。」唐突に古い記憶が蘇る。顔こそ思い出せないくらいに朧げになってしまったが、その音だけは今でも明確に鼓膜を震わせた。

「ウサギの、餌かよ。」自分でも口に出してみると、いつの間にかにーしたが近寄っていた。

「ウサギ飼うの?」ネザーランドドワーフは小型で長毛種がいいなら……

にーしたは尚も喋り続ける。

「やっぱやめ。今、手一杯だからな。」とリトは遮るように言いながら鍋を泳ぐ青葉を引き揚げるべく洗い場にザルを用意する。

にーしたは食器棚から大皿一枚と小皿二枚を用意すると、少し悩んでから小皿の三枚目の手を伸ばした。

怪訝な顔を隠そうともしないリトを真っ直ぐ見据えると

「まだ見ぬウサギに。」とはっきり告げた。

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