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9. カミラの、お願いなの

「これは──」


 女の子が目を覚まして言葉を発した途端、俺の目の前にクエストの受注画面のウィンドウが現れたのだ。



=======================


限定条件クエスト【カミラのお願い】


───────────────────────


発生条件:少女『カミラ』の状態異常を回復する

発生場所:始まりの街『アンダルテ』

推奨Lv:初期ジョブLv.15~

難易度:D

達成条件:『カミラ』をクゥアールン山岳の指定

     場所に送り届ける

未達条件:『カミラ』の死亡 又は ユーフォリア

     時間で2日以上経過


=======================



 ウィンドウを眺めていると──多少落ち着きを取り戻した女の子のお腹の虫が、ぐぅと鳴り響いたので、思わず俺のインベントリからポワーを出して与えた。

 すぐに女の子は、はむっと食らい付き、俺の隣で身体を起こしただけの体勢のまま、ムシャムシャと美味しそうに召し上がっている。

 あ、おかわりもあげよう。


「なあ、和希……」


「この子……トリガーNPCだったんだな」


「なんだそれ?」


「一定時期に接触すると起こる、ユニーククエストの発生源になるノンプレイヤーキャラクター、だな──」


「ねぇ、お兄さん、お姉さん、ごちそうさまなの。それに、助けてくれてありがとうございましたなの。それで……カミラのお願い、聞いてくれないの?」


 小学校低学年位に見えるんだが、随分と独特なしゃべり方の女の子だな……

 プログラマーの趣味か?


「どうなんだ……和希?」


「うーん……これ見る限りはただの護衛任務だし、難しく無さそうだな。難易度もDだし。クゥアールン山岳の指定場所、ってのが気になるけどな。零、一緒に受けてみようか?」


 残念ながら、俺にはさっぱり分からないこの世界の都合。

 情けないが、和希に委ねる他無いだろう。


「そうだな……なあ、カミラ? そこには何をしに行くんだ?」


「教団の寺院があるの。お父さんも、お母さんも、そこで待っているはずなの」


 何やら──、深い事情がありそうだ。


 それにしても、最近のゲームのNPCって言うのは、こんなにも感情表現豊かに接してくる物なのか?

 正直、ゲームキャラだと言われなければ、架空の世界の住人だなんて分からない位に精巧な動きをしているんだけど。


「……まあ、和希が大丈夫なら受けてみるか。どうせ街の外には出なきゃいけないしな」


「おう!」


「と言うことで、カミラ、一緒に行こうか?」


「やったーなの! レイお兄さん、カズキお姉さん、ありがとうございますなの! お兄さん達、道は知ってるの?」


 当然、俺は知る訳がない。

 頼みの綱の和希は──


「山岳までなら俺が分かるよ。マップで言うと、三つ先だね。ただ、指定場所が……分からないな。あんなところに寺院なんてあったっけ? もしかしたら、まだ未解放のエリアがあるのかな?」


 知っているかと思いきや、目的地までは知らないらしい。

 まあ、最初っから全てが分かっていたら面白さも半減するから、ある意味丁度いいのかも知れないけどな。

 なんて、小判鮫の俺が言ってみる。


「結界の中にあるの!」


「やっぱりそうか……零、ちょっとマズいかもな。難易度的には問題無いが、βには無い、新エリアだ」


「そうなのか? まあ、和希がいれば大丈夫だろ? どのみち俺は素人だしな」


 弓を射る事だけは任せて欲しい。

 後は、最近天気を変えれるようにもなったな。


「そうかな?」


「お願いしますなの!」


「カミラもこう言ってるんだ、行こうぜ!」


「……ああ!」


 そうと決まれば、この街ともしばらくのお別れだ。

(。◕‿◕。)ノ ヨロシクナノ

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