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5. side/麞

 通知されたクエストの詳細を見て、俺はニヤけ顔が止まらなかった。



=======================


解放クエスト【解放者達への手向け】 《達成済》

達成者:レイ (順不同、1名)


───────────────────────


=======================



 レイ……、コレ、零なんだろ?

 アイツならやりかねない、こんなバカみたいな話。

 順も不同も無いって、一人なんだから。

 椅子に腰掛けて、さっきから前屈みになりながら文字をなぞり続けていた。

 目線はもうディスプレイに釘付け。


「ぷッ、くくく──」


(クジカ)さん……どうしたんすか? 急に笑い出したりして……」


 ここは、クランハウスの歓談室内。

 同じサブリーダーのネミンが声を掛けてくる。

 近くで他の寛ぐ仲間達は、怪訝な顔付きでこっちを見ていた。

 ちょっと、恥ずかしい──


「いやぁ……ね、昔からの知り合いが、とんでもないバカげた事やってそうだからさ」


「それって……まさか、さっきの解放クエストのヤツですか? 知り合いなんすか?」


「多分……ね。大方、弓で撃ち落としたんだと思うよ」


「──はあ? 相手は、黒竜っすよ? しかも、弓って」


「そういうヤツなんだよ、零は──」


 別に規格外な訳じゃない。

 見た目も至って普通の高校生。

 だけど──


「なんか……カッコいいんだよな」


「そ、そっすか……」


 今まで散々断られ続けて、やっと今回は俺の誘いに乗ってくれたんだ。

 ここはゲームの世界。

 リアルとは別だ。


「さて──と。遅れてきたヒーローを、迎えに行ってやろうかな」


「まさかソイツ、ウチのクランに──入れないっすよね?」


「多分……ね? クラン規約的に、普通には入れないし。しかもアイツ、変態だし」


「──え?」


「弓の……、だけど。βからやってるどの弓術士のヤツらよりも、最初の時点から既に強いと思うよ。文字通りレベルが違うから」


「ああ、そういうヤツですか……」


 椅子から立ち上がろうとして──、不意に入口の扉が勢いよく開け放たれた。

 姿を現したのは、クランリーダーのアリー。

 息を切らして室内に駆け込んで──


「クジやん、ネーみんっ!」


「あ、リーダー」


「よう、アリー」


「ねえねえ、聞いてよ聞いてよっ! レイって子さぁ、ウチに入れようよっ!」


「えッ!? どうしたんだよ、いきなり──」


 何か、凄く嫌な予感がする──


《スキルレベルがアップしました》


「私、見ちゃったのっ! ビューン、ビューンって! 解放クエのレイドボスを、弓で四発だよ? カッコよかったぁ……」


「リ、リーダー、落ち着いて──どういう事っすか?」


「わたし、特例使うねっ! 絶対逃がさないぞっ! 天涯っちとかウリたん辺りも動くだろうから。ほら、二人とも行くよっ!」


 アリーの言葉に、サーっ、と血の気が引いたのが分かった。


「────」


 何で?

 どうして?

 よりにもよって、ウチのクランリーダーが──


「ちょっ、ちょっと、リーダー、分かったから。麞さん──」


 私の事を無理やり立たせて、アリーの両脇にはネミンと私、腕を掴まれながら歩き出した──

=======================


クランネーム:【戦姫】 在籍:53名

リーダー:アリー

サブリーダー:麞 

       アサハキット・ネミングウェイ

       茉莉亞

『新規参加は誰でも大歓迎☆ ただし、リアル女子(・・)限定◎ ワイワイ攻略、楽しくお話しましょう♪ ※1人につき1回だけ、男の子の勧誘もok! (無事に2人がくっついたら、まとめてクランを追い出してあげちゃう♡)』


=======================


。゜゜(つД≦。)°゜。 ニゲテーーー

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