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僕と黒剣  作者: 暗黒星雲
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第7話 魔法使いとの対決

 黒剣は拳銃を抜き構えていた。

 その落ち着いた姿勢はとても素人には見えなかった。


「さすがにやりますね。腕を遠隔操作して外にいると思わせるとは」

「褒めても無駄だ。お前は排除する」


 パンパンパン!


 警告も無しに銃弾を放つ黒剣。

 しかし、銃弾は槇田先生の手前で停止している。そして地面に落ちてしまった。


「物騒ですね。自衛隊のサイボーグはそんなに好戦的なんですか?」

「お前には関係ない」


 パンパン!


 再び射撃する黒剣。しかし、今回も弾丸は空中に制止した。

 これは魔法なのだろうか。


 黒剣は弾の切れた拳銃を放り投げ一気に距離を詰めた。そして右回し蹴りを浴びせる。何かの障壁に阻まれ、黒剣の脚はヒットしない。しかし、その障壁ごと槙田先生を吹き飛ばした。

 10m位後方に飛ばされた槙田先生は苦笑いをしていた。


「さすがは化け物。この膂力(りょりょく)は半端ないですねぇ」

「お前に言われる筋合いはない」


 槙田先生は両掌から次々と火球を放った。黒剣はそれをかわしつつ再び蹴りを入れた。今度も槙田先生は10m程すっ飛ばされた。


「強いな。私は無駄な戦いを好まない。ここは引いてくれないかな。彼は調査が済んだ後、無事に送り届ける」

「出来ない相談だ」


 今度は、槙田先生の右腕からいかづちがほとばしった。しかし、その雷は黒剣を捉えられなかった。


 今度は、黒剣がレーザー剣!? を抜いて切りかかる。

 何処から持ち出したのか分からなかったんだけど、その光る刃はレーザー剣だと思った。


 槙田先生は、黒剣の鋭い打ち込みをかわしもせずに受ける。

 例の障壁をも切り裂いているのだろうか、先生の額にうっすらと赤い筋が見えた。少しだけ皮膚を切っていたようだ。


「やりますね。肌を切られたのは初めてだ」


 槙田先生は額の傷を手で触り、切られていることを確認する。


「そろそろ本気を!?」


 そう言いかけて先生は口ごもった。黒剣の両腕がなくなっていたのに気づいたみたいだ。


「黒沢。腕はどうした?」

「さあ?」


 黒剣は笑っている。しかし、僕は見ていた。黒剣の両腕が先生の足首を掴むその瞬間を。


「逃げるぞ」


 黒剣は僕を肩に担いで走り出した。

 僕は大声で叫んでいた。

 

 両足を掴まれた槙田先生はその場でスッ転んでしまった。

 黒剣は僕を抱えたままジャンプして、道路わきの川へと飛び込んだ。その時、上空から一直線に落ちてくる光球が見えた。


「息を止めろ」


 そう言って黒剣は僕にのしかかって来た。そして水中に沈められた。大きな爆発音と物凄い振動を感じた。

 しばらくして水中から解放された。そこで、水が冷たかった事に気づいた。物凄く寒い。

 黒剣と一緒に反対側の河原へと上がった。

 向こう岸では道路が大きく陥没していた。そして、周囲には火災が発生し木々が燃え盛っていた。


 あの光球は何だったのだろうか。


「レールガンだよ。上空10000mで待機していたガンシップからの射撃さ」

「えーっと。マジですか」

「マジ」

「物凄い大仰なんだけど」

「だな」

「そんな武器が必要だったって事?」

「そういう事」


 よく分からないんだけど、槙田先生を相手にするって、そういう強力な兵器が必要だったんだ。


「ところで、黒剣はサイボーグなの」

「どう思う」

「分かんない」

「確かめてみるか?」

「え?」


 その瞬間、僕は黒剣に押し倒されていた。そして唇を奪われた。

 こんなずぶ濡れで、そして非常事態のど真ん中でのファーストキスだった。緊張して雰囲気も何もあったものじゃなかった。

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