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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

JKと幽霊

作者: So Sai

「お前って生きてる価値なくね?」


それは、とある夏の日の出来事だった。

放課後、1人の少年が複数人のクラスメイトに窓際まで追いつめられていた。


「お…オレは…。」

「あ?小さくて聞こえねーよ!!」


ガンッ!!!

クラスメイトの1人の膝蹴りが鳩尾に入り、少年はその場に咳き込みながら倒れた。


「もっかい聞くぞ?お前って生きてる価値なくね?」


膝蹴りを入れたクラスメイトが少年の髪を掴んで聞く。


「は…はい…。」

「そーだろ?そーだろ?分かってんなら、さっさとシネ。」


先程までヘラヘラと笑っていたクラスメイトたちが少年を見下す。


「シーネ。シーネ。シーネ!シーネ!!」


クラスメイトの1人が手拍子をしながらそう言うと、他のクラスメイトも連られて同じことをやり出す。


「シーネ!!シーネ!!」

「シーネ!!シーネ!!」


クラスメイトの声に、少年の中で何かが…崩れる音がした。

少年は俯いたまま、教室の窓からトンダ……。


「ばっ!マジかよ!!」

「本当に飛びやがった!!」

「俺知らねーぞ?」


少年が消えた教室から次々に声が聞こえる。しかし、その声はもう、少年には届いていなかった。


(はぁ。オレの人生もここまでか…。案外呆気なかったな…。お母

さん…お父さん…ごめんなさい…。今まで本当にありがとう。心

残りは妹かな…。あーあ。顔みたかったな…。ダメなお兄ちゃん

でごめんね。)


グシャッ!!!

4階という差程高くない教室から飛んだにも関わらず、少年の中では多すぎるほどの思いが巡った。


「キャー!!!」


誰かの悲鳴を最後に、少年は意識を手放した。



F「おじさん…私の部屋で何やってんの?」


Fが高校から帰ってくると、自分の部屋には見知らぬ男がいた。


「…え?」

F「え?じゃないよ。通報しますね。」


そう言ってFはポケットからスマホを取り出した。


お「ちょっ…ちょっと待って!?」

F「は?待つわけないじゃん…。物色はされてないみたいだけど、不

法侵入だからね?」


Fが警察に電話をかけようとしたとき、見知らぬ男は動きだした。


お「君、僕が見えるのかい??」


動いた男は宙に浮いていた。Fは目と口を開き、スマホを手から滑り落とした。


F「あ…またやっちゃった…。」


Fは急いでスマホを広い、男に背を向けた。


F「知らない。知らない。見えてない。見えてない。」


そう言ってFは両手で目を隠した。


お「いやいや!見えてるでしょ!?さっきまで話してたじゃ

ん!?」

F「……。」


Fは今度は耳を塞いだ。


お「お願いだよ!!助けてくれよ!!」

F「嫌だ。」

お「君だって見えるってことは知ってるんだよね?幽霊が成仏でき

なかったらどうなるか…。」


Fは振り返りながら言う。


F「悪霊になる。」

お「そう!だから、おじさんの名前と本当の姿を思い出す手伝いを

してくれよ!」

F「うっわ…。何も覚えてないなら無理。尚更嫌だよ。」


Fは嫌そうな顔をする。


お「お願いだよー!人助けだと思って…ね?」


男はあきらめずに説得を続ける。


F「私、人助けはするけど幽霊は助けない主義なの。」



「あいつまた1人で喋ってるー!!」

「気持ちわりぃー!!」

「頭おかしいんじゃないかしら?」



Fは唇をかみ締めた。


お「元は人間だよ?」

F「じゃあ、おじさんは元は可愛いハムスターだったからって触っ

たら病気が伝染るような捨てられたハムスターを助けるの?」

お「ハムスターって…。別に病気が伝染るわけじゃないじゃん……。」

F「私には伝染るの。こっちだって幽霊助けるのにそれなりにデメ

リットがあんだよ!!!」


Fは大声で怒鳴った。


お「……。」

F「分かったなら、出てって…出てってよ!!!」

お「分かったよ…。」


男は寂しそうに去って行った。


F「分かってる…おじさんが悪くないことくらい…。」




「ねぇ先生。Fちゃんがまた1人で喋ってるよ?何で?」

「仕方ないのよ。そういう病気の子なの。」

F「違うよ…違う…。ここに、いるんだもん…。このお兄さんがお母

さんに会いたいって…。そんな目で…私を見ないで…。」

「見えるならなんで助けてあげないの?」

「そーよ。」

F「だって…変な子って、病気だって言われるから…。」

「君のせいで、おじさん悪霊になってたよ?」

「何もしてないのに成仏できなくて可哀想。」

F「ちが!私は!!みんなと同じに…普通に……」

お「君に普通は一生やってこないんじゃない?」



F「おじさん!?」


Fは勢いよく飛び起きた。


お「どうした!?呼んだ!?」

F「ハァ…ハァ…夢…?」

お「凄い汗じゃん!!どうしたんだよ?」


男は洗面所にタオルを取りに向かった。


F(嫌な夢…見たな…。)


Fはソファーから起き上がり水を飲むためにキッチンへ向かう。


F(いつ寝ちゃったんだろ…。)

お「もう起きて大丈夫なのか!?」


Fは洗面所から戻ってきた男と目が合った。


お「……?」


少しの沈黙が流れる。その間もFはコップに口をつけたままだった。


F「ブフォ!!!」


Fは急に口から水を吐き出した。


F「おじさん!?なんでここにいるの!?」

お「大丈夫?…いや、出ていこうとしても出て行けなくて…。」


男は申し訳なさそうに頬をかく。


F「出られなかった?」

お「うん。玄関から出ていったのにまた君の部屋のベランダに出た

んだよ。逆をやってもそう。」

F「え…。おじさん、地縛霊だったの?」

お「地縛霊?」

F「うん。自分が死んだことを受け入れられなかったり、自分が死

んだことを理解できなかったりして、死んだ時にいた場所とか

建物から離れないでいる幽霊のことを言ったりするんだけど、

もう1つその場所に特別な理由があって宿っちゃってる死霊のこ

とを言うんだけど…。多分、おじさんの場合は後者だよね…。と

りあえず、なんでうちに来たのか調べないとだね。はぁ…荷物全

部調べるか…。」

お「大丈夫?明日から土日だけど友達と遊ぶ約束とかない?」


おじさんがそう言うと、Fは暗い顔をした。


F「別に大丈夫。」

お「そっか?」

F「まぁ、とりあえずアルバムから調べよっか。」

お「お…おう。」


Fは早速押し入れを探り始めた。


F「荷物が少なくて良かったよ…。」

お「僕は何をすればいい?」

F「テキトーに座ってていいよ。私だけでさがすから。」

お「そ…そう。」


おじさんはとりあえずその場に座った。することもなく、キョロキョロと部屋の中を見回していた。


お(普通の部屋だなー。友達と遊んだりしないのかな…。それと

も最近の女子ってこんな感じなのかな…。)

F「あの…。」

お「ひゃい!?」


考え事をしていて、Fが目の前に来ていることに気づかなかったため、おじさんは驚き、声が裏返った。


F「ふふっ。あ、飲み物とかいりますか?」

お「え…?」

(笑った…。)

F「いや、さっきタオル持ってたんで、飲み物とか飲めるのかな?

って思っただけです。」

お「そ…そっか。今はいらないかな?」

F「そうですか。喉が乾いたら好きに飲んでくださいね。」

お「あ…りがとう…。」


Fはそう言い残し、また押し入れに戻った。



F「分かりましたよー!おじさんがどうしてここから出られないの

か。」

お「……。」


反応がないおじさんが心配になり、Fは急いで押し入れを出た。


F「おじさん!!!」


押し入れを出たFの目の前には床に倒れているおじさんがいた。


F「ダメ!!!見つけたんだから!!!悪霊なんかになっちゃダ

メ!!!」


Fが必死におじさんを揺らすと…


お「ん…んー。あ、ごめん。寝ちゃって…ってどうしたの?」

F「へぇ!?いや、別に!?」


Fは咄嗟に距離を取った。


お「お…おう…。」

F「あ!そうだ。見つけましたよ?」

お「本当!?」


おじさんはそう言うと、一気にFがとった距離を詰めた。


F「ちょっ…。この写真に写っている私の死んだ親戚の人におじさん

が似てるんですよ。」

お「写真見せて?」

F「あ、はい。」


驚いて握りしめてクシャクシャになった写真をFはおじさんに見せた。


F「この人。名前はY。どうですか?思い出せそうですか?」


Fは真ん中の上の列にいた人を指さした。おじさんに凄くそっくりだった。


お「んー。見た目はこの人なんだけど…どうもパッとしないし、成

仏も出来そうにないかな…。」

F「そうですか。じゃあ、私じゃなくてこの部屋に特別な理由が

あ……」

お「この子は?」


Fが諦めようとした時、おじさんは写真の右側に立っている男の子を指さした。


F「この男の子?おじさんとは似ても似つかないですよ?」


おじさんが指さした男の子はどっからどう見ても中学生だった。


お「うん。でも…何だかモヤモヤするんだ……。」

F「そう。この子はお兄ちゃんです。でも、産まれる前に死んじゃ

いました。」

お「産まれる前に?」

F「はい。私が産まれる前に。お兄ちゃんは12歳差になるはずだっ

たんです。でも、中学1年のときいじめられて自殺したってお

母さんから聞きました。」


Fからそう聞くと、おじさんは頭を抱え始めた。


お「いじめ……?そうだ…飛び降りた…教室の窓…。誰かの悲鳴…。」


おじさんはボソボソと呟いたが、Fには聞こえていた。


F「お兄ちゃん…なの…?」


Fの目には少し涙が浮かんでいた。


お「いや、まだ分からないけど、何か思い出せそうなんだ!!この

子の名前は?それを聞けばきっと全て思い出して成仏できるは

ず!!!」

F「え!?ちょっ…名前は聞いたことないんだよね…。お兄ちゃんと

しか…。」


Fは、少し俯いて話した。


お「お母さんなら知ってるんじゃない??」

F「お母さんはもう死んだよ…。」

お「じゃあ……」

F「あ!」


お・F「「お父さん!!!」」


Fは早速、田舎に帰る準備を始めた。



ガタンッ。ゴトンッ。

その日のうちに電車に乗り、現在19時。家を出てからずっと無言が続いていた。


お「あ…あのさ、こんなこと聞くのって失礼かもしれないけど、君

って友達いなかったりする…?」


おじさんがそう聞くとFはポケットから取り出したイヤホンを耳につけた。


お(やっぱ失礼すぎたかな…。)

「ごめ……」

F「これ、何も聞いてないから。」


おじさんが謝ろうとした時にFが言った。


お「え…?」

F「こうしてれば、イヤホン使って電話してるように見えるでし

ょ?」


そう言ってFは笑った。

さっきまでずっと窓の外を見ていた顔は向かいの座席に座っているおじさんの方へ向けられる。


F「お察しの通り、私は友達がいないよ?これもそれも全部この見

える力のせい。初めてあった時に、私には病気が伝染るって言

ったでしょ?あれに深い意味は別にないんだけどね。でも、小

さい頃から見えていた私は周りの人からずっと病気だって言わ

れてたの。だから私、あのとき私には伝染るとか言っちゃった

の。別におじさんが病気持ってるわけじゃないのにね…。ごめん

なさい。」

お「いや、別に大丈夫だよ…。そういえば、今更だけど名前聞いて

もいい?なんて呼べばいいかわかんなくて…。」


おじさんは「えへへ」と頬をかいた。


F「名前言ってなかったっけ?まぁ、君とかおいとかでもいいけ

ど、名前呼びたいならどうぞ。名前はF。」

お「F…。Fか…。今更だけど、よろしくね!」

F「え!?あ…うん…。こちらこそ…よろしく…お願い…します…。」


Fは照れたのか、俯いてしまった。

その後は他愛もない話が続いた。通路を通る人達が変な目でFを見ているのなんて感じないくらいに楽しい時間が続いた。


車「次はー、B山ー。B山ー。」



父「ん?あー、珍しく帰ってきたと思ったらお兄ちゃんのことが知

りたいって?そうだよな。お前ももう高校2年生だもんな。知

ってもいいか…。」


父は持ってきた湯呑みを握りながら言った。


F「お兄ちゃんの名前が知りたいの。」


Fは湯のみに入ったお茶を1口すすってから言った。


父「名前…名前はCだ。」

F「C…。」


Fは隣にいるおじさんを見た。


F(いや…何も起きない…。違ったか?)


そんなFに気づかないまま父は話し続ける。


父「Cはな、同じクラスにいたKっていうクラスのリーダー格のよう

なやつにいじめられて自殺したんだ。」

お(K…?)


「お前って生きてる価値なくね?」

「あ?小さくて聞こえねーよ!!!」

「シーネ!!シーネ!!」


F「どうしたの?」


急に頭を抑えだしたおじさんをFは心配する。


お「うっ…!?!?」

F「おじさん!?!?」



オレはクラスの中心にいた。いつだってオレは中心格だった。正直、いじめもサボりも犯罪もどうでもよかった。クラスの中心にいれればそれでよかった。そんなとき、オレの取り巻きの1人が言ったんだ。


「あいつ、ウザくね?」

K「あいつってどいつだよ?」

「あいつだよ。名前も言いたくねーよ。」


そいつが指さした先にはいかにもって感じの陰キャがいた。


K「あんなやつうちのクラスにいたか?」

「Kちゃん、それは酷いって!」


もう1人の取り巻きが笑いながら言った。どうせ思ってもいないこと。


K「でも、何であいつがウゼェんだよ?何もしてねーだろ?」

「はぁ?忘れたのかよ!?この間、コンビニでやった盗みをセ

ンコーにチクリやがったのあいつだぜ?」

K「あー、あいつだったのか。」

「おいおい、Kちゃんしっかりしてくれよ…。」


心配そうに言うが、どうせ思ってもいないこと。もうめんどくせーから、怒ってる方がAで笑ってる方Bな。本名はもう覚えてねーけど。


K「まだボケてねーっての。」


Bを1発殴ってから陰キャの方へ歩いていく。AとBはその場に残ってこっちを見ていた。


K「よぉ!えーと…名前何だったっけか?」

「C…です…。」

K「そーか。C、なんの本読んでんだ?」

C「え…あっ…。」


強引にCから小説を奪うとペラペラと中を見た。文字ばかりが並んでいるだけのこれの良さが未だにオレには分からない。


K「本、好きなのか?」

C「あ、うん。良ければ貸そ……」

K「いいや。」


そう言ったKの手元には既に本は握られていなかった。


C「え…?」

K「こういうの読んでるから周りの状況が理解出来ないんじゃな

い?自分の世界に入らないでたまには周りを見ねーと?」


そう言ってオレは、絶望しているCの肩を軽く叩いて立ち去った。


B「えー。本に罪はないんじゃない?」


「あーあ。」と言いながらBは窓から下を見ていた。


A「普通に正論すぎて草生えたわ。」

K「オレだって言うときは言うんだぜ?」


別に楽しくもないけど、取り巻きの2人が笑っていたからオレも笑った。

そこからは早かった。クラスの皆も察した様にCに近づかなくなり、無視を決め込んだ。きっと前にいじめた結果、鬱になったやつがいたからかな?



いじめが始まって3ヶ月、よく耐えた方だと思う。

オレはあいつの本をこの3ヶ月でどれだけダメにしただろうか。

その度にBに「あーあ。」と言われた気がしたが、あいつらは気づいてない。どれだけ痛めつけても、なぶっても、本をダメにされたときほど絶望した顔をしていないことを。本をダメにすることが1番あいつにダメージを与えられるということを。

そんなある日、あいつは本を読まなくなった。その事がオレは気に入らなかった。


K(もう、あの顔を見られないのか?ふざけんな…。)


オレは、1日待ってみたがCはその日1日本を読むことは無かった。

放課後、オレは我慢できなくなり、Cの机を思い切り蹴り飛ばした。

ガシャンッ!!!

大体の人数が帰った静かな教室にはその音がよく響いた。


K「なんで本読まねーんだよ?」

C「……。」

K「読めよ本!?!?あぁ!?」

C「……。」

K「あぁ!?なんとか言えよおい!!!」


バシンッ!!!

Kは黙って俯いていたCの顔を叩いた。


C「うっ…。」


Cは勢いのまま床に倒れ込んだ。


B「ちょっとK、やりすぎじゃない?そんな本読んでないくらいで

さ。」


Bは少し冷や汗を流しながら言った。


A「いいじゃん。K様が気に食わないんだからさ。好きなようにやら

せてやりゃ。」


Aは悪い笑みを浮かべていた。

2人はそう言いながらKの近くに集まった。

Cはヨロヨロと立ち上がった。


C「お前が…お前が!!本を読む度に窓から捨てるから、もうねーん

だよ!!!ふざけんじゃねーよ!!!」

K「え…?」

A「Kに目をつけられた時点でお前って生きてる価値なくね?」

C「お…オレは…。」

A「あ?小さくて聞こえねーんだよ!!!」


ガンッ!!!

Aの膝蹴りがみぞおちに入り、Cはその場に咳き込みながら倒れた。


A「もっかい聞くぞ?お前って生きてる価値なくね?」


Aはしゃがみ、Cの前髪を掴んで聞く。


C「は…はい…。」

A「そーだろ?そーだろ?分かってんなら、さっさとシネ。」


先程まで3人の後ろでターゲットにされないようにヘラヘラ笑っていたクラスメイトたちがCを見下す。


A「シーネ。シーネ。シーネ!シーネ!!」


Aが手拍子をしながらそう言うと、他のクラスメイトも連られて同じことをやり出す。


「シーネ!!シーネ!!」

「シーネ!!シーネ!!」


Kはさっきから何も言えないで固まっていた。Bが「シーネ」と言いながらKの背中を少し小突く。


K「はっ!!」


Kが現実に戻ってきたと同時に、Cは窓から飛び降りた。


「キャー!!!」


外から女子の悲鳴が聞こえてきたが、Kは目の前のことを整理することに忙しくて気づかない。


K(オレ…何やってんだろ…。誰かの人生壊してそんなにたのしい

か?何が楽しいんだ?)

A「次はお前な?」

K「え?」

A「何をそんなに驚いた顔してんだよ?前回、あいつが鬱になって

学校辞めたとき、俺が責任取ったろ?だから、次はお前の番だ

ろ?」


Kは冷や汗が止まらなかった。


K「あっ…あぁ…。いや、オレよりBの番じゃ……」

B「はっ?ふざけないでよ。俺は知らねーぞ?ヤメロって言っても

辞めなかったのお前じゃん。巻き込まないでくれる?この…ヒト

ゴロシガ。」


さっきまでCに向いていた見下した目は、今はKに向いていた。それはとても冷たく、今にも逃げ出したくなるような目だった。


A「やっぱお前が一番怖ぇーわ!ずっとついてくぜ?」

B「何言ってんだよ!俺ら幼なじみじゃん!てことで、じゃあな。

K。」


2人やクラスメイトはそそくさと帰宅を始めた。まるで、今あったことが全てなかったことかのように当たり前の顔をして。


先1「おい!今の悲鳴は何だ!?こ…これは…何事なんだ!!!」


遅れてやってきた先生の怒声が外で響いていた。Kはその場に動けないままでいた。


B「ハァ!ハァ!先生!!!うわ!?何だこれ!?」

先2「どうした!?」

生2「なになにー??」

A「それより、言わなくていいのか?」

B「あぁ。先生、落ち着いて聞いてください。Cを殺したのは"K"で

す。俺とAとこいつらクラスメイトも見てました!!!」


Bの声にKは窓から顔を出した。

下には、ブルーシートの塊と怒った顔の教員たちと必死になっているBがいた。


B「な!?お前らも見ただろ!?あいつが…KがCを窓から突き落と

すところを!!!」


Bは窓から顔を出しているKを指さして叫んだ。


生1「えぇ!?Kが人殺したの!?」

生2「ぽいよ!!」

K(Bは…何を言ってるんだ…?飛び降りたのはAが責めたからだ

ろ…?突き落とした…?何の話だ…?)

先1「K!!!今そっちに行くからそこでじっとしてろ!!!絶対に

動くなよ!?先生、ここをお願いします。」

先2「はい!」


最初に駆けつけた教員は急いで校舎に入った。


K(え…何で何で何で?何でオレなんだ?違う…ちがう…チガ

ウ!!!オレのせいじゃない!!!)


Kは突然走り出す。


先1「あっ!!!おいK!!!逃げてんじゃねー!!!」


逃げ出すKを見て、教員も走る速度を上げる。まるで鬼ごっこのようだ。


K(違う…オレじゃない…違う…オレじゃない…。)


Kはとうとう上履きのまま校舎外に出て行った。それを追いかけて教員も校舎外へ出て行く。


先1「K!!!止まりなさい!!!」

生3「わぁ!!!」

生2「キャー!!!」


教員の静止も聞かず、Kは野次馬を突き飛ばしながら進む。

Kが校庭を突っ切り、校門の向こうに行こうとした時……


先1「K!!!」

生1「危ない!?!?」

K「え……?」


プーーーーー!!!ドンッ!!!


先1「K!!!K!!!大丈夫か!?」

K「うっ…。」

(何だ…?何が…?頭が…。)

B「K!!!ごめんよ!!俺が告げ口なんかしなかったら!!!ごめ

ん!!ごめんよ……。」

K(あぁ…どうせこの涙も嘘なんだ…。こいつを信じたオレが…馬鹿

だったな…。あぁ…最後にあいつに…謝りたかったな…。)

お「この子は大丈夫なんですか!?」

先1「申し訳ございませんでした!!!」

生6「また誰か死んだの?」

生5「一日で2人!?ヤバくない?」

生7「明日は休校かな?」

生8「一生休校でいいよ!」

生6「それな!」

K(色んな声が…遠のいて…。このおっさん…誰だっけ…?)



B「なぁ、K?」

K「え…?」


急に体と意識をくっつけられたような不思議な感じがした。


B「お前、いつも1人だよな?良かったら俺らと行動しない?」

K「いいの…?」

A「マジかよ…。」


嫌そうな顔をしたAをBは叩きながら言う。


B「いいに決まってんじゃん!!!な?A!」

A「お前のそういうお人好し本当に腹が立つ。」

B「いいじゃん!いいじゃん!」

K「ありがとう…。」

C「あははは!!!」

K「え?」


突然、どこからともなくCが現れた。


K「お前…。」

C「信じた?今の言葉信じた?」

K「え?」


Kは2人の方を見る。2人はKを見て嘲笑っていた。


C「どう?絶望に落ちた?ねぇ!!今どんな気持ち?教えて

よ!!!」


CはKの首元を掴む。


K「それは…オレがやった…。」

(こんなの間違ってる…。立場が逆なんて…。)

C「さぁ、教えてよ!!!」

K「うっせーんだよ!!!」


KはCを思い切り殴った。


C「チッ。」


CやB、Aなど周りのものがどんどん消えていく。


K「あぁ…。謝る機会…逃したな…。」




K「う…ん?どこだ…ここ…?」


Kはとりあえず起き上がり、目の前にあった鏡を見て固まる。


K「え…えぇぇぇぇぇぇ!?!?」


鏡の元まで急いで飛んでしっかりと鏡を掴んだ。


K「オレ!?オレ!?写ってない!?!?てか…え…トンデル…。あ…

あぁ…オレ…死んでるのか…。」

(違和感はない。むしろ、死んでるって言葉がしっくりくる。)


鏡を元の位置へ戻し、ボーッと見つめていた。


F「おじさん…私の部屋で何やってんの?」

K「……え?」



K「あ…あぁ。全部思い出した……。オレがしてきたこと……なんで死

んだのか……。」

F「え…じゃあ……。」


Fは驚いたまま動けずにいた。


K「そうだ。オレがKだ。」


Kの言葉にFは1層目を開く。Fの父は何事かとあたふたしている。


F「そ……んな……。今まで助けてた人が…兄殺しの犯人だったなん

て……。だから…だから私は嫌だって…もう幽霊は助けないっ

て……」

父「幽霊ってまさか!?」


父は急いで引き出しから眼鏡を出してかけた。父の目にはKの姿に戻ったおじさんがいた。


父「お前!!!」

K「!?」

父「息子を…Cを殺した…Kなのか?」

K「そうだよ。」


父は泣き出した。


父「息子だけじゃなく…娘までも私から奪っていくつもりなの

か!?こいつがこの力のせいでどれだけ苦しんできたと思って

る!!!」


父はKの胸ぐらを掴みながら叫ぶ。しかし、Kは徐々に光を放ちながら薄れていく。


K「知らねーよ!!!興味もねぇ!!あいつの妹だろ?苦しめばい

いさ!!!あいつのせいでオレは苦しんだんだからな!!!」


Kは父を見下し嘲笑っていた。いつかのクラスメイトのように。


父「ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!!!」


父はKめがけて拳をふるった。スカッ。


父「成仏しやがった……。」


Kは既にいなくなっていた。


F「お父さん…私…ごめんなさい……。あんなやつ……」


父は足元で泣き崩れていたFを抱きしめる。


F「あんなやつ…悪霊になっちゃえば良かったのに……。成仏なんて

しないでお祓いされちゃえばよかったのに……ごめんなさ……」

父「いい、いいんだよ……。大丈夫…大丈夫…。お前は何も知らなか

ったんだ。お前は何も悪くない。大丈夫、大丈夫。」


父はFの顔を優しく撫でる。

Fはたまらなくなって声を上げて泣いた。父は何も言わずに優しく頭を撫で続けた。


これは、見えるFのいつもの休日のお話。


〜完〜

今回も他のサイトに投稿した作品です!

一日に全ての作品をこっちに以降出来て良かったです!


誤字脱字がありましたらビシバシコメントで教えてください!


P.S.何人が読んでくれたのか見る方法とかあるのかな…?

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