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6-12

「まぁ、そこがポイントになるんだよな。一都市を滅ぼす規模の隕石が500年に一回のペースで落ちてきてる」



 それはジャックにとっては信じられない話だった。

 もし本当だとしたら、アースラメント王朝になってから2回はアストロブレームが滅んでいる事になる。


「んんん? 前にブレアは隕石はランダムに落下すると言ってなかったっけ?」


「あー言ったっけか……。宇宙にある惑星には当然重力がある。隕石にはこれら惑星の重力が影響して、飛ぶ方向が変わるんだ。スイングバイって言ったりするんだけど、太陽系を取り巻く天体群の中から飛んでくる隕石の軌道の計算は相当難しい。つまり予測不可能なんだよな。だけど何故か500年に一度、このアストロブレームにピンポイントで隕石が落下してくる。これが、複数の惑星の公転の周期等が500年に一度のルートを作り出しているからなのか、はたまたこの地の奥底に何かあるのかは未だに不明だが……」


「天体群っていうのは、星の集まりの事か?」


 ジャックは、普段ほとんど考える事も少ないような宇宙の話に混乱気味だ。

 

「そう。長周期彗星や非周期彗星、小惑星、惑星質量天体、これらが集まり、遠くから見ると雲の ように見える。そこにある惑星は、他の惑星等の接近等で隕石として流れてくるんだ」


「ふーん……、分かったような、分からないような」


 ウンウンと唸り始めたケインズにブレアは軽蔑の眼差しを投げ、一つ咳払いした。


「まぁ、別に隕石が流れる仕組みなんてアンタ達にはどうでもいいだろ。大事なのは500年に一度空から降って来る脅威があるって事」


「それを防ぐすべが昔からアストロブレームには有ったって事か?」


「そういう事。なかなか察しがいいな。その防衛法については歴代の王しか伝わらない魔術が関連するらしい。詳細はどの文献にも載っていないし、現王に聞いても秘密の一点張りだ。だがハッキリしている事がある。それは今後魔力を持たない王が即位する時期と隕石の落下の時期が被ったら、アストロブレームを中心にこの国が壊滅する事と、王の世代交代が繰り返されるうちに、その魔術の引継ぎが断絶してしまうリスクがある事だ。だから、俺たちは魔術なんていう非科学的なもんに頼り切るんじゃなく、科学技術で対応を図ろうとしている」


西ヘルジアの王と聞いて、まず真っ先に思い出したのは、病に伏せる現王だった。

 

(あの方が亡くなったら、シエルが即位する事になるのか……)


 ジャックにとってシエルはだんだん身近な存在となっている。

 友人同士でこのままだらだらと付き合いを続けていきたいところだが、即位したら遠い存在になるのだろう。


(ん……?)


 何故かシエルと会いづらくなる事を想像して、つまらないような気持ちになっている事に気づき、ジャックは顔を顰めた。


(そこまで付き合いが長いわけでもないのに……)


「どうかしたか?」


 顔を顰めるジャックに気づいたのか、ブレアは話を止めた。


「いや、何でもない。続けてくれ」


「そうか? まぁいいけど」


 ジャックは肝心な所を聞き逃すまいと、今度こそブレアの話に集中しようと自分に言い聞かせた。苦手な理系の話なので少し聞き逃すだけで、ついていけなくなりそうだ。


「隕石への対応策だけど、電磁誘導によって弾丸を加速して飛ばし、宇宙からの飛来物を打ち落とすようなやり方を考えている」


「電磁誘導……?」


「電磁誘導は発電機なんかでも行われているな。対隕石対抗装置は、電気伝導体製のレールを2本

平行に並べ、そこに弾を挟み込む事で発射させるんだ。これで巨大隕石が飛来してきても、撃ち落とせるんじゃなかろうかと!」


 ブレアはやや熱弁気味だ。

 おそらく化学兵器に関する話が好きなのだ。


「ふむふむ、それでさっきのブレアが言ってたエネルギー不足という話に繋がるの?」


「そいういう事だ」


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