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6-11

「王都に帰って来てから、一度も出せてないな。今朝やってみても駄目だったから、今やっても無理だろう」


「はぁ?」


 エクスカリバーを出現するやり方は分からない。でも何となくだが、シエルに秘密がありそうな気はしていた。2人でいるときにしか出せていないからだ。

 

 だが、初めて会う男にそんな推測を教えてやる義理もないだろう。


「うーん……、それだと困るんだけどな……。まぁいいか……」


 ブレアは椅子の背にもたれ、何やらブツブツと独り言を呟いている。

 何だかメンドクサイ事を言われそうな予感がしてきた。



「アンタをここに呼んでもらった理由なんだけさ、ちょっと俺を手伝ってほしいんだよね」

 

(予感的中かよ!)


「悪いけど、他を当たってくれ。俺はこう見えてそれなりに忙しいんで」


「アンタに大いに関係ある事なんだけどネ」


 ブレアは抱えていたファイルの中からモノクロの写真を数枚取り出し、テーブルの上にバラ撒いた。

 自分に関係があると言われ、ジャックは興味をひかれた。

 ジャックの元まで滑ってきた一枚を手に取ると、この世の者ではない何かが写っていた。


「これは……魔獣?」


 写真は鮮明ではないものの、球体の身体に大きな目が一つと裂けた口を持つ化け物の姿がうっすらと写っていた。ローズウォールへの小旅行で何体かの魔獣と遭遇したものの、この不気味さは未だに慣れない。

 


「場所はホープレスプラトゥ鉱山だ」


「ウチが保有している鉱山だな……」


 ジャックが最後にホープレスプラトゥ鉱山に行ったのは、パブリックスクールを卒業する年だった。長期休暇中、あまりに暇で行ったものの、鉱山労働者が汗水たらして働く様を小綺麗な恰好で見学するのが気まずく、その以降足を踏み入れる事はなかった。

 あの時みた鉱山労働者達は一体今どうしているのか……。


「今は西ヘルジア管理区域になっているはずだ」


「最高裁に勝てば戻って来る」


「戻ってきても、手に余ると思うぜ? 何しろこの有様なんだからな。ちゃんと見ろよ、これ全部、魔獣の写真だ。鉱山へ行ったジャーナリスト共がウチに送り付けてきやがった」


 ジャックはヨウムが咥えてきた複数枚の写真を見た。


 全て魔獣が写っている。

 昔行った、炭鉱集落内も写っていたが、同じ場所なのかどうか判別が難しいくらいに破壊され、見る影もない。


「こんなに魔獣が……? 何が起こったっていうんだ……」


「私はこの集落には行った事ありませんが、これは酷いですね……。人が住めるような状態ではなさそうです」


 ケインズも近くにあった写真を手に取り、眉を寄せている。


「この集落は、鉱山の粉塵爆発が原因で廃れたんじゃない。ある日突然魔獣共に襲われて落ちたんだ。ご理解いただけたかな?」


(ただの偶然で済ませる気かよ。舐めやがって……) 


 ジャックは写真をテーブルに叩きつけた。


「肝心な部分を抜いて話さないでもらえるか?」


 ブレアは一つため息を付き、睨み据えるジャックの瞳を静かに見返した。


「アンタ、思ったより単純には出来てないみたいだな。誤魔化せそうなら誤魔化してしまおうと思ってたけど……、しょうがないから教えてやるよ。2年前に起こった顛末を。あんたには聞く権利があるだろう」


「教えてくれ。何も知らされないまま、ただ半端に事後処理や、兄の捜索に関わるのはもうウンザリなんだ」


 2年前の事件について知る機会は今後ないのではないかと思っていたため、ブレアの申し出が意外だった。

 でもどんな些細な事でも聞いておきたい。知っているのと知っていないのとでは、今後ホープレスプラトゥ鉱山で起きた一連の事件への有効な対処法が違ってくるだろうからだ。


「この国はエネルギーが圧倒的に足りない。近い将来起こるであろう脅威に対処できないくらいに」


「脅威?」


「アストロブレームが太古の時代、隕石により壊滅した都市だというのは知ってるか?」


「初等教育で習うような内容だよねぇ」


 ケインズの回答に頷きつつ、何でそんな話を出すのかと、ジャックは疑問に思う。


「それが実は周期的に飛んできているというのは?」


「は……? アースラメント王朝になってからの歴史上ではそういう天災は無かったはずだけど……」



明日から実家帰省なので、親の目を盗んで投稿できそうならやりますっ!

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