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6-10

「あんたがジャック・フォーサイズか。兄貴に聞いたぜ、ローズウォールでは大活躍だったんだってなぁ? というか鳥を連れて外出とは変わってるな」


「クェ!」


 ヨウムはただの鳥のフリをする事にしたようだ。アルマの使い魔と知れたら面倒なことになるからかもしれない。緊張しているのか、爪に力が入り、肩に食い込むから痛い。


 ダグラス局長はズンズンとジャック達の所まで近寄り、印象的なアメジストの瞳でジャックを値踏みするように見た。


 顔はケインズとは全く似ておらず、ネコ科の動物をイメージさせた。


 年齢はシエルよりちょっと上くらいかもしれない。


「ダグラスさん、お目に書かれて光栄です」


 社会的地位はブレアの方が高いため、ジャックは非礼の無い会話を務めようとする。


「ブレアでいい。敬語もいらない。あんたの方が年上だし、あんたは俺の部下でもないからな」


 ブレアは口振りは友好的であるものの、人を舐め腐ったような態度だ。


(まぁ、本人がいいと言ってるんだ、タメ口でいかせてもらうか)


「俺に何か用でも?」


「まぁ、ちょっとな。ここで立ち話もなんだし、座って話そうぜ」





 ブレアに導かれ、2階のミーディングルームに入る。

 モダンな白い机と椅子が備えられており、ブレアは窓側に一脚離れている椅子にドカッっと座った。


「ブレア、君まだB&Bに滞在してるのかい?」


「ああ」


「そろそろ邸宅に戻らないと君のお母様が心配するよ」


「うるせーな! あんな気色悪い家にいてられるか!」


 他人の家の事情が垣間見れる会話に、ジャックは気まずくなり、兄弟から出来るだけ離れた椅子に座った。


 ブレアは机に肘をついてジャックの右腕に視線を投げた。


「その腕輪がエクスカリバーの変化形態か」


「話が伝わるのが早いな」


「まぁ、身内の中に口が軽い奴がいると、何でも聞こえてくる」


「ジャックさん申し訳ないですね~。久しぶりに弟に会って、話す内容に困ったもので、ついつい……」


 悪びれずヘラヘラとするケインズにジャックは白けた顔をしてみせた。


「ガキの頃古代王の伝説は熱心に読んだものさ。是非伝説の聖剣のマスターになった武勇伝を語ってくれないか?」


「よく言うよ。ブレアのお母様から伝え聞く話じゃ、君は伝説の類には一切興味を示さないような男の子だったらしいじゃないか」


「黙れ」


「ブレアは貴族のぼっちゃんなのに、ほんと品が無いね」

 

 ブレアは大学院を飛び級で修了する程の頭脳の持ち主だ。一般的な育てられ方をされていないんだろう。


「この国は平民より貴族の方が品がないんだよ。例えるなら綺麗な包装用紙に包んだ生ゴミだな」


「まぁ、同意出来る部分もある」



「キッタネッ!」


 ヨウムがポロリとついた悪態に、ブレアは目を見開くが、ただのインコだと思ったのか、スルーする事にしたようだ。


 


「だろ? で、どうなんだ? 聖剣は兄から聞いた話だと魔獣を引き寄せる性質があり、攻撃力としても大いに有効らしいけど」


 魔獣を引き寄せる性質、というのはジャックは初耳だ。

 ローズウォールから王都に移り住み、時々腕輪が発熱していたのは、もしかして本当に魔獣に狙われていた時だとでも言うのだろうか? だとすると、ヨウムは見張っていたのではなく、護衛をしていてくれたのか?

 不細工な鳥に心が温まったのが顔に出ていたのか、ブレアが一瞬気持ち悪そうな顔をした。


(しまった……)


「魔獣を引き寄せるかどうかは俺には分からない。魔獣への攻撃力は、通常の銃よりは有効だったな。もっとも俺はまだ大剣を使いこなせてないけど」


「へー、軍人でも訓練が足りない奴っているんだな」


「ブレア、ジャックさんに失礼だよ」


 武器を何でも使いこなせると思ったら大間違いだと言ってやりたくなったが、年長者としての矜持でなんとかこらえた。


「なぁ、エクスカリバー出して見せてくれよ」


ブレアは机から身を乗り出し、目を輝かせた。








明日の昼すぎ更新します(´・ω・`)

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