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3-6

(どうしたものか……)


「そうだローサー家周辺の12の結界石の調査が終わりましたよ」


 アルマは昨日の結界解除の原因調査をマーシャルら魔術師協会の調査部に頼んでいた。


「どうだったの?」


「これは、クロですね。人為的な結界解除と考えます。ごく僅かですが、魔術の跡が残っていました」


「やはりそうなのね……」


 シエルは自然に消えたと思っていたようだったが、アルマはそうは思わなかった。結界が無くなった事で外部からあらゆる者を侵入させやすくし、エクスカリバーは古代王の魂を実体化させる事が出来た。

 ジャックがそのタイミングでこの地へ来たのはタイミングが良すぎる。

 ジャックから軽く状況を聞いたところ、実体化した古代王に誘導されたという事のようだったが、単なる偶然で片づけてもいいのだろうか?


 狭い貴族社会で魔術を使える者がいるなら必ずアルマの耳に入るが、ジャックの事は聞いたことがないので、彼はおそらく魔術を使えない。ジャックが結界を解いたわけではないだろう。

他に結界を解いた者がいるはずだ。

 今後の為、その者が分かり次第ジャックとの関連は調べる必要がある。


「王家に反逆心を持つ者の仕業か……」


「そう決まったわけではないわ」


 モス卿は王室師団で、ジャックの上司にあたるはずだ。

 自分の部下がエクスカリバーを所持したと知ったらどう思うだろうか?もしもの事を考え、アルマは慎重に返事をした。思い込みで部下を処罰するような人間ではないのだろうが、偶然に巻き込まれただけの可能性のあるジャックの今後の昇進に暗雲が立ち込めたら気の毒だ。


「アルマ様、明日の王都行きの件なのですが、護衛は私の隊の者20名に任せていただいてもよろしいでしょうか?」


 アルマはモス卿がいきなり振ってきた王都行きの話に首を振った。


「わたくしも連れて行きたい魔術師が複数名いるので、一般兵はそこまでの数はいらないわね。3名程度でちょうどいいくらいかしら」


「それだと少なすぎるのでは……」


 モス卿の疑問も尤もなのだが、信用してない人間を何人も傍に置きたくないし、という言葉は紅茶と共に飲み込んだ。


 アルマが明日シエルを連れてローズウォールの地を去り王都へ移る事を決めたのは昨夜の事だった。

 この話はかなり前から有ったのだが、繰り上がったのは、一昨日国王が病に倒れたという理由が大きい。

 シエルにはまだ話をしていないので、帰って来たらすぐに伝えるつもりだ。


 また、ジャックがエクスカリバーを所持し、王都へ戻るので、王都を守る障壁の強化を考えなければならない。


 魔獣の行動については謎が多いのだが、近年ではエクスカリバーを狙う動きが目立つ。

 破壊したいのか?奪いたいのか?

 どちらか分からないものの、王都の様な人口密集地で魔獣暴れられたらローズウォールよりも犠牲者が多くなると思われる。


 ローズウォールに多く在住している魔術師達も王都へ移住させるつもりだった。だが生活の基盤が ローズウォールな者達も多いため、それは徐々に……でいいだろう。


「車両ですが、御料車のスペアを改造し、より装甲の強度を上げたものを用意しております」


 中央鉄道会社のケインズ氏にアルマは返事を返す。


「期待しておくわ……」


 王都とローズウォールは弱い魔獣の侵入なら防げるくらいの魔術の障壁が張られているのだが、その間の地点は何もない。

 近年、出没する魔獣の数が多くなっているので、何にも遭遇しないで王都にたどり着けるかどうか微妙なところだと元老院が判断し、王室師団を派遣してきたのだった。


 とある事情で一昨日からシエルがこの国にとって警備優先度が上がってしまっているため、厳重体制を受け入れざるをえない状況なのだ。


 その事についてもアルマは頭が痛かった。



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