15-9
魔術師2人が加わると、そこからはだいぶこちらが有利になり、フンババに致命的な傷を負わすごとに、次々と捕らわれた魔術師達が光の中から現れる。
「グァァア……」
ジャックの渾身の一撃を受け、フンババの巨体が轟音を立てて地面に倒されると、最後の一人が白い光の玉から放出される。
「大丈夫ですか!?」
ジャックは外に出された魔術師の男に駆け寄る。
「え、ええ。なんとか……」
男は苦しそうに呼吸するものの、命に別状はない様子だ。
「ジャック、もうフンババは息の根を止めている」
先ほどまで暴れ回っていた巨体の生死を確認していたパリエロが、ジャックに近付き、肩を叩いた。
「やりましたね!」
「森に残るのが雑魚ばかりだといいんだがな」
厳しい戦闘が終わった事で、やや緩んだ空気が流れる。
魔術師達の顔に笑みが戻るのを見て、漸くジャックも緊張が解けてくる。
(犠牲者を出す事なく終わってよかった……)
時刻はすでに15時半を回り、大幅な計画の遅れが生じてしまっている。
「本隊と合流して、予定通りに残りの魔獣を討伐するぞ!」
「「「了解です!!」」」
パリエロの指示に、一行は気を引き締めなおした。




