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12-7

 30m程近づくと、エレインと思しき人影が扇子を広げ、扇ぎだした。

 いい態度である。


「御機嫌ようシエル様、ブレア様」


「御機嫌ようエレインさん」


 近付いてみると、エレインと侍女、屈強なが男2名いるようだった。


「この男性達は?」


「女だけで夜間歩くのは危険ですので、護衛なのですわ」


「そうなのですか。うちのルパートが優秀なので、不要だと思います」


「貴女を案内した帰りにわたくしの身が危険に晒されるでしょう?」


「まぁ、それもそうですが」


 なんだか釈然としないが、後で女2人で帰らせて何か起こっても責任が取れないため、強く言えない。


「案内しますから付いて来てくださいな」


 エレインは口元を扇子で隠し、歩き出す。

 先頭がエレインでその次にシエル、後ろからルパートとブレア、他の者達が続く。


 エレインはスタスタと広場を抜け、アースラメント宮殿方向に向かう。博物館を指定されたため、てっきりブライアンはそこに居るものだと思っていたのだが、そうではないらしい。


「どこに向かってます」


「ブライアンの所ですわよ」


 エレインは聞いた事にストレートに答えない。その事にシエルは眉根を寄せた。


「それは分かってます。どの建物に向かっているか教えてほしいんです」


「ウフフ、直ぐに分かりますわ」


 彼女は教える気がないのだ。


「ブライアンとは社交クラブで知り合ったの。彼の紹介でジャックと付き合う事になったのよ」


(む……)


 エレインが無理矢理話を反らそうとしているのに気づき、シエルは嫌な顔をする。

 その様子を嫉妬していると勘違いしたのか、エレインは嫣然と笑った。


「ジャックの事は何でもブライアンから教えてもらったわ。付き合って知った事もある。貴女が知らない彼の姿もあるのよ」


「マウント取らないと死ぬ病気です?」


 エレインの面倒な絡みに呆れ、睨み上げると舌打ちされる。

 シエルの大人しそうな見た目から、反撃しないだろうと予想でもしてたんだろうか?

 

 様々な庁舎が立ち並ぶ通りに入ると、後方から突然「うっ……」という呻き声が聞こえ、シエルは振り返った。

 ブレアがグラリと倒れるのが見え、慌てて走り寄ろうとした。

 だがエレインに腕を掴まれ、阻まれる。


「エレインさん!?」


「侍女に麻酔を打たせてもらいましたわ」


「麻酔!?」


 エレインの言葉をうなづけるかのように、女は注射器を持っていた。


(ブレアさんに仕掛けていくなんて!)


「シエル様を離してもらえます?」


 ルパートはブレアの方ではなく、シエルの身を守る為い動いた。エレインの首ギリギリにナイフを寸止めしていた。


「わたくしを殺したら、ブレア様を殺させるわ」


 エレインが連れて来た男達は、地面に倒れたブレアの頭に銃を突き付けている。


 早鐘を打つ心臓を落ち着かせようと、シエルはコートの上から銃を触る。



(男達を銃で撃つ? でも私が3人撃つよりも向うがブレアさん1人を撃ち殺す方が確実に早いよね……。というか、ブレアさんに打たれたのは麻酔なの? 既に死んでる何てことは……?)



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