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11-5

「家って買うだけで終わるわけじゃないですからね。管理とかメンテナンスに人が必要になったり、固定資産税を払わないといけなくなったり、その為に自分の事務処理増える事を考えるとイライラしてくるんです」


「ブレアさんて若いのにストレス多そうですね」


「ええ、だから余計なストレス増やさない様に回避してるって話です」


「私に関わってるから、ストレスはうまく回避できてなさそうですよ?」


「興味あるものはストレスないので!」


 ブレアと弾んでるのかいないのか分からない会話をしているうちに、レンディング伯爵邸前に着いたようだ。


「ここが伯爵邸なんですか?」


 窓越しに見る邸宅は暗闇に白っぽく浮かびあがり、門扉からエントランスまで赤い絨毯が敷かれているようだ。

 先に降りたブレアがドアを開けてくれ、手をさしのべた。


「お手をどうぞ」


 エスコートなんていらないと思うものの、運転席に座ったルパートが「マナーを守れ」と伝えてくるため、しょうがなくブレアの手をとり、自動車から降りる。


 ブレアが門扉に立つガードマンに招待状を見せると、丁寧な歓迎の言葉とともに通される。


 幻想的に照明が配置された庭を通り、エントランス に入る。声をかけるまでもなく、伯爵邸の使用人がブレアの名前を呼びながら近寄って来た。


「ブレア様ようこそおいでになりました。ご一緒のご令嬢は?」


「ミッドランド伯爵家のシエル・ローサー嬢だ。分かっていると思うが、紹介する時には彼女の名前を先に言ってくれ」


「貴女があのシエル様でございましたか。成る程、お似合いのカップルでございますね」


「え!?」


 盛大な誤解を生んでそうで、訂正しようと慌てるが、ブレアが適当に返事をして、シエルをエスコートしながら去ろうとするので、機会を逃した。


「あの! 誤解されると困るんですが……」


「エスコートくらいで噂をたてる程お子様はいないと思いますよ。使用人には誤解させたままでも構わないでしょう」


「うーん……ちょっと嫌かもしれません!」


 シエルがエスコートするブレアの手をブンブン回して離そうとするのと、ブレアがシレッとした顔で手を握りしめる謎の攻防戦をする間に、大広間に続く扉が開いてしまった。

「レイディ ・オブ ・ミッドランド ・シエル・ローサー嬢、ロード ・オブ ・ノースフォール ・ブレア・ダグラス様でございます!」


 レンディング伯爵家の使用人による紹介で、既に大広間にいた貴族達の視線が集まった。


 その中の一つにシエルと同じ、アンバーの瞳を見つける。



(アルバート王子……)


「シエルさん、腹くくってください。行きますよ」


「くくります……、噂の一つや二つ、我慢します……」


本日の投稿はこれで終わりです!

皆さん良いお年をお過ごしください!!

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